遊戯王ARC-V  第75話

第75話「反逆者の呪縛」





続く黒咲とデニスのデュエル。

デニスの場には攻撃力4500のアンティーク・ギア カオス・ジャイアント。



黒咲は二枚のトラップを発動させ、カオス・ジャイアントを破壊しようとするが、

カオス・ジャイアントはマジック・トラップの効果を受け付けない。

さらに、バトル中の相手モンスターの効果も受け付けないカオス・ジャイアントが

レヴォリューション・ファルコンを破壊。

黒咲は手札のモンスターの効果で、ギリギリLPを残し、ターンを凌ぐ。



会場で暴れるカオス・ジャイアントを見た遊矢が、自分の中のユートの怒りを感じ取る。



デニスが黒咲を煽ろうと、ハートランドで自分がしてきた事を語り出す。



黒咲は引き当てたRUMで、破壊されたレヴォリューション・ファルコンを蘇らせ、

ランクアップして、RR-サテライトキャノンファルコンを召喚し、その効果で、

墓地のRRの数だけ相手の攻撃力を下げていく。

五体分の効果で、遂にカオス・ジャイアントの攻撃力は500に。

サテライトキャノンファルコンの攻撃が的中し、カオス・ジャイアントは破壊され、

デニスが敗北する。







アカデミアがこのシティに紛れ込んでいると言う零児の指摘に、咳払いする評議会。

この様子だと、ロジェがアカデミアだと知らずに引き込んだのではなく、

最初から知っていて、承知の上でロジェを利用しようと企んでいた可能性がある?

ロジェがもたらした技術の数々が、この次元のものではない事に、

評議会は最初から気付いていたのかもしれません。



デニスの豹変ぶりに、メリッサも唖然。「凶暴化してない?」と慌ててます。

レヴォリューション・ファルコンをいたぶる様に、さらに会場をも破壊する勢いの、

カオス・ジャイアントの暴れぶり。



それを見た遊矢が、自分の中の、ユートの怒りを感じています。

遊矢がユートを感じる時、ユートの影響を受ける時は、大抵「怒り」の感情が関係しているように見えます。

遊矢自身の怒りに、ユートが同調したり。

目の前でハートランドの惨劇を再現された時、

遊矢に引き起こされるのは、ユートの感じる怒りと心の痛みだったり。



ユートの存在は、「怒り」の感情と何か関係があるのか?

ユートのエースモンスターであるダークリベリオンが、持ち主の優しい性格に反して、

あれ程禍々しい姿なのも、「怒り」の感情と関係があるのかな?



黒咲「俺はどれだけ追い込まれようとも、生き延びる。

   そして必ず、貴様を叩きのめす。

   鉄の意志と鋼の強さを持って!」



「鉄の意志と鋼の強さ」というフレーズが再び登場しました。

黒咲はこの言葉が好きなのかな?

印象的な台詞としてすっかり有名になってますね。



黒咲のその強靱な精神を「プロデュエリスト養成校で学んでいた時に教わったのかな?」

などと言い出すデニス。



黒咲がプロデュエリスト養成校で学んでいた、というのは、驚きです。

アカデミアが侵攻してくる前の、平和だった頃の事でしょうね。

あの、イライラして人を寄せ付けないような、人を信頼しなさそうな黒咲が、

かつてはプロデュエリストを目指していた・・・。

とても意外でした。



そう言えば、地下デュエル場で歓声を受けている時の黒咲は、まんざらでもないように見えました。

シンクロ次元に来て早々、仲間を探そうともせず、地下デュエル場に居たのは、

その歓声が心地よかったから、かな。

プロを目指していたのなら、観客の前で声援を受けながらデュエルする事が、本当は好きなんですね。



以前の黒咲の台詞。(33話、vs素良戦)

「かつて俺の故郷でもデュエルは最高のショーだった。

 そうだ、最高の・・・。大人も子供もだれもがそれを無邪気に楽しみ、

 デュエリストたちはみなの憧れの的だった。」



この台詞を言った時の彼の思いを考えると、切なくもあります。

平和だった頃は、黒咲にとってもデュエルは戦争の道具などではなく、最高のショーで。

彼自身も、デュエリストに憧れを抱いていた・・・。それなのに・・・。



だとしたら、遊矢がデュエルで観客の心を掴み、笑顔にしようと苦戦する姿を、

黒咲はどんな心境で見ていたのかな・・。

今でこそ、黒咲にとってデュエルは敵を倒す手段になっていますが、

本当は遊矢同様に、人を楽しませ、笑顔にする為にデュエルしたかったはずです。

いつか遊矢ともエンタメデュエルのあり方について、二人で語り合って、

理解し合える時が来たらいいですね。



デニスが語る、ハートランドでの出来事。

ハートランドで大道芸のデュエルをしていたデニス。

見物する人々の中から、一人の少女を見つけ出したデニス。

トラピーズ・マジシャンが彼女を連れ出し、デニスがショーの手伝いを申し込む。



「だけど、彼女が見つかった時、楽しい時間は終わった。

 ほんと、酷いよ。もっと大道芸をしていたかったのに。」



という事は、ハートランドで大道芸をして、大人も子供もみんな笑顔にしていた時、

それはデニスにとって「楽しい時間」だったのか。

根っからのエンターテイナーで、人を楽しませるのが好きなんでしょうね。

仮面が剥がれる前の、いつものデニスも、決して演技や作り物の人格などではなく、

それもまた、彼の一面なんだと思えます。



彼女を見つけてしまった事で、ハンティングゲームのゴーサインを出さなければならなかった、と言うデニス。

廃墟とかしたハートランドで、ユーリと合流。

元スタジアムだったらしい建物を指し、あの難民キャンプの一角がレジスタンスの拠点となっていると説明し、

キャンプの中で、水汲みする少女に手を振り、「あのブレスレットの子だ」と、ユーリに教える。

彼女と知り合いの僕が、直接手を下す訳にはいかないから、と。

それに「それはプロフェッサーが僕だけに命じた仕事だ」とユーリは答える。



行き止まりに追い込まれる少女が、デュエルディスクを構える。

ユーリ「やろっていうのかい?じゃじゃ馬だな。」

その少女の名前は、黒咲瑠璃。



アカデミアの侵攻に先立って、ハートランドに潜入し、

大道芸をしながら瑠璃を探す任務をデニスは受けていたらしい。

瑠璃を見つけ出し、侵攻開始の合図を送り、さらに、瑠璃誘拐の手引きをしたのも、デニス。



からしても、許しがたい所業ですが。

大道芸人としてデニスと知り合った瑠璃にとっても、これは残酷です。

キャンプで手を振るデニスを怪しむ様子が瑠璃になかったのを見ても、

瑠璃はあの時点で、デニスを疑ってはいなかったのでしょう。

隼がプロデュエリスト養成校に通っていた事実をデニスに語ったのも、

デニスを信頼していたから・・・。

そのデニスが、故郷を破壊する合図を出し、自分と兄がレジスタンスとなる原因を作り、

そして自分を浚う手引きまでしていたなんて・・・。



今の瑠璃は、この事実を知っているのかな?

今でもデニスの事を信じているのか?

真実を知ったら、裏切られたと、酷く傷つくでしょうね・・・。



素良が今回少しだけ写りました。

スタジアムの隅で、黒咲達のデュエルを見ていたようですが・・・。

何しに来たのか??

柚子やセレナを浚う為?

それとも、デニスの監視?

今回は大きな動きは見せませんでしたが・・・。

本性を現したデニスを見て、同じアカデミアとして、素良はどう思ったかな・・・?



デニスに煽られ、「アカデミアに行くのはお前をぶっ潰してからだ!」という隼の怒りに、

ユートが同調しています。

今のユートは遊矢の中にいますが、レジスタンスの仲間であり親友の隼のデュエルを、

こうして見守ってくれているんですね。



サテライトキャノンファルコンの効果で、相手の攻撃力を削っていく隼。

「貴様に未来を打ち砕かれた俺の妹、瑠璃の悲しみを知れ!」

「志半ばにして道を閉ざされた、俺の唯一無二の親友、ユートの憎しみを知るがいい!」



隼にとって、ユートは単なるレジスタンスの仲間などではなく、「唯一無二の親友」なんですね。

デュエルを見守る遊矢の隣で、隼の怒りに同調するユート。

そのユートの持つ感情が「憎しみ」である事も、よく分かってくれています。

二人の絆の強さを感じさせるシーンです。



ユートの行方については、遊矢による断片的な説明しか聞いていない隼ですが、

「志半ばにして道を閉ざされた」と表現しているのは、

遊矢がダークリベリオンのカードを持っている事などから、

生存が絶望的な状況であると理解しているようです。

・・・いや、実際は死んだ訳ではないと思いますが・・・。

死んではいないし、きっとまた帰ってくると、信じたいです・・・。



怒りの形相でスクリーンを見つめる遊矢の瞳が、赤く輝き。

ユート「分かるか?この思いが!」

遊矢「ああ、分かるよ。分かる。けど・・・。」

  「こんな・・・こんあ怒りや憎しみをぶつけるだけのデュエルなんて・・。」



遊矢の瞳が赤く輝く時、逆鱗化の兆候を見せる時、

今回もまた「怒り」の感情が影響しています。

あの赤い瞳、逆鱗の力は、「勝利への強い欲求」や「怒り」など、

強い感情が関係しているのか?



二度もアクションカードを取り逃がすデニス。

「クソ!エンターテイナーである事を捨てた僕は、

 アクションカードにも見放されたか!?」



この台詞は、仮面を外し、エンタメを捨てた自分を後悔しているようにも聞こえます。

ハートランドで楽しく大道芸を続けていたかったと言うデニスは、

ここでもやはり、正体を明かさずに「楽しいお調子者のデニス」でいたかったのかもしれません。



敗北時のデニスの台詞は、負け惜しみや罵倒ではなく・・・。

「黒咲・・・君の勝ちだね・・・。」



この最後の呟きは、

デニスは自身の欲望や悪意でデュエルしていたのではない、と感じます。

彼がしてきた事は確かに残酷ですが、

本当は、そんなに悪い人ではないんじゃないかな・・・。



隼が倒れたデニスを前に「俺一人で殲滅してやる!」と言い、

ディスクのディスプレイをタッチし、ネジを回し。

発動しないシステムにイラつく。

零児がデュスクに細工し、カード化する機能を停止させてあったようです。



この大観衆の前でカード化などされては困るし、

怒りに任せてその機能を使わせない為には、

この細工をしておいて正解ですね。



カード化出来ないならと、今度はつかみかかってデニスを殴ろうとするも、

係員に阻止される隼。

瑠璃を騙した事もあって、その怒りが収まらないようです。



デニスを確保するよう指示するロジェ。

セレナはデニスの目的が自分の監視だった事を察知する。



デニスに会いに行こうとする零児は、評議会に阻止されてしまう。

事を荒立てたくない、この次元に次元戦争を持ち込まないで欲しい、と。

評議会は、アカデミアと知っていながらロジェを招き入れ、

さらに零児達をも受け入れます。

どちらか一方を味方するわけでなく、上手く利用し、双方から利益を得ようとしているのか?

だとしたら、零児が望むように、対アカデミアでシンクロ次元の協力を得る事は出来ない??



遊矢「ユート・・・。

   お前は、あれ程の怒りや憎しみを抱え込んでいながら、俺に言ってくれた・・・。

   デュエルで笑顔をって。

   その思い、俺は受け継ぐ!」



ユートが遊矢に影響するのは、その「怒り」の感情ですが。

ユートの本当の願いは、その感情とは反する「笑顔」である事を、遊矢は理解してくれています。



今は肉体を失っているユートですが、

隼は彼の怒りを、そして遊矢は彼の本当の願いを、理解し、受け継いでくれている。

存在が消えても、絆は消えていないと、感じさせてくれます。

ユートは死んでいない。

彼らの中で、今も生き続けている。



今回、瑠璃の容姿がようやく判明しました。

髪は長く、イヤリングや髪飾りもあり、おしゃれです。

髪飾りやブレスレットは羽がモチーフですね。

兄がRR使いである事も関係しているのかな?

兄弟揃って、名前もデッキテーマも鳥関連なのでしょうか?



今回の回想だけで、衣装も二種類披露!

平和な時はロングスカートのワンピース。

レジスタンスになってからは、動きやすいパンツスタイルです。



柔らかそうな黒髪で長髪のヒロインは、遊戯王では初めてかな?

(柔らかそうでない髪型の女の子キャラはいましたが。)



ある方が言っていたのですが、

エンタメを信条にしていたデニスと、かつてプロを目指していた隼と、二人は実は似た者同士で、

この二人で観客を沸かすデュエルをしていたにも関わらず、

次元戦争がそれを続ける事を許さなかったのだと思うと、その理不尽さが切ないですね。





作監:川村裕哉)

(脚本:田村竜)