劇場版遊戯王の感想 1



劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』観てきました!



感想を何回かに分けて書いていきたいと思います。

まずは、初回の感想を。



映画の内容のネタバレになりますので、まだ観ていない方は読まないようにお願いします。






ざっと感想



130分ものボリュームがあり、ストーリーもぎっしり詰まっていて。

正直、全部把握しきれない感じです。

内容をよく咀嚼する為に、もう二・三度は観たい。



前回の映画、超融合が、シンプルなストーリーで、三世代の主人公を集結させたお祭り映画。

見終わった後に爽快感を感じさせたのに対し、

今回の映画は、遊戯達のその後を描くドラマ重視なお話でした。



一ファンとして、遊戯王に魅せられた者として、彼らのその後を見届ける。

そんなお話だったと思います。



「原作を知らない人でも、誰でも楽しめる」というタイプの映画ではなく、

(知らなくても映像的には楽しめると思いますが)

原作を読んだ人に向けた、原作ファンの為の映画、とも言えます。



それぞれのキャラクターのドラマや因縁が分からないと楽しめない映画なので、

原作を読んでいない人は、映画を観た後でも構いませんが、

出来ればこの映画を観る前に読んで欲しいかな。

アニメ化された「デュエルモンスターズ」(通称:DM)を観るのも良いのですが、

アニメは原作から多少改変されている部分もあるので。




海馬について



今回の映画に先立ち、週刊少年ジャンプに掲載された高橋和希先生の書き下ろしを見て、

心配だったのが、海馬の事です。



アテムに対する、この強い執着心。

それに、どう決着をつけるのか?

書き下ろしにあったように、アテムとデュエルする為なら命すら厭わない、となると、

彼が行き着く先は、果たして・・・?



千年パズルを回収し、現世に再びファラオを蘇らせようとするが、それは叶わず。

ここで大人しく諦めて、アテムはもうこの世に居ないという現実を受け入れて、

大人になるのかな・・・と思ったら!!!



諦めてなかった!!

現世に呼び戻す事が出来ないなら、自分が冥界へ行けばいい!!

その発想は凄い!(笑)



ここで、書き下ろしの内容と繋がるんですね!!

この結末、前もって書き下ろしを読んでおかないと、強引で意味不明な展開に思えてしまう所です。



結局、諦める事なんて無かった。

海馬のロードに、諦めなんてない!

諦める必要もない!

どこまでも海馬らしい結末だと思いました!




アテムについて



果たして、アテムは蘇ってしまうのか?

これも鑑賞前に気になってました。



彼は既に冥界の住人。

ならば、戻ってきてはいけない。

というより、戻ってきて欲しくない。

あのキレイな結末を台無しにして欲しくない。

と、鑑賞前は思ってました。



これも予想外の展開でした。

アテムは戻ってきた。ただし、一瞬だけ。



城之内を救ったのも、やはりアテムだったんですね。

あの異次元の特殊な空間だったからこそ、

アテムは城之内の意識と繋がって、彼を救う事ができた。



映画に登場したアテムには、一言も台詞が無かった。

そこに、彼は既に主人公ではない、という事を強く感じさせます。



この映画の主人公は、現世を生きる遊戯と海馬。

アテムはあくまで、彼らを見守り、見届ける存在。

そして、これから先の彼らの人生は、彼ら自身が主役なのだと。

そう思えました。




マハード



最後のトドメは、マハードだった!!

ブラックマジシャンは、元はと言えばマハードの魂がモンスターとなったもの。

だから、冥界に戻ったアテムが召喚するのは、ブラックマジシャンではなく、

その魂の元である、マハード。



このシーンからも、アテムが以前の闇遊戯とは違う存在になった事を感じさせます。

本来のファラオに戻ったから。

記憶も、神官の仲間達も取り戻した今のアテムだから。

彼が従え、召喚するのは、ブラックマジシャンではなくて、マハードなんですね。




映画の結末



それで、その後海馬はどうなったのか?

アテムとのデュエルの決着は?

海馬は現世にちゃんと帰ってこれたのか?

それとも、そのまま冥界の住人となり、永遠にアテムとデュエルを続けて行くのか・・・?



そこが描かれていないのは、視聴者の想像にお任せする、という事ですね。

バトル・シティの最後、遊戯と城之内の決着が描かれなかったように、

そこは詳しくは語らず。

余韻を残して、読者に、視聴者に、想像の余地を与える。

こういう終わらせ方、私は好きです。



個人的な予想だと、

その後、海馬は無事現世に帰ってきて、

後の世界に影響と与える存在になったんだと思います。

そのまま現世に戻らず、彼の存在は伝説となった・・・となると、何だか切ないですし。




原作との繫がり



原作ファンが疑問に思っていた事のいくつかが、この劇場版で明かされてます!

特に原作において、シャーディーは神出鬼没で、その存在自体が謎めいてました。

原作ではその詳しい理由や説明はなく。



ここで、その謎が明かされるとは思いもよらなかったので、嬉しい!

もう忘れ去られた原作の設定の一ピースだと思ってたけど、そんな事は無かった!

高橋先生はちゃんと覚えていてくれたし、それを拾って、ここで回収してくれた!

原作ファンには、嬉しいですね!!



あと、七つの千年アイテムについても言及がありました。

それぞれのアイテムが謎の力を持っていて。

バクラ、マリク、ペガサスのように、持ち主が邪悪になってしまう者と、そうでない者がいて。

アイテムの全てに邪悪な力があるのか?影響を受ける者と受けない者が居るのか?

というのが疑問でした。



この辺りも曖昧な設定なのかな?と思ったのですが。

映画によれば、七つの内、三つに邪悪な力が、三つに正義の心が、そして残り一つ、

千年パズルに、その両方を統べる力が宿っていたのだと。

なるほど!そういう設定だったのか!



世の中には、設定にやたら拘り、

設定に整合性を求めてしまい、「これはどうなったんだよ?」と指摘する、

いわゆる「設定厨」みたいな人もいますが。

(個人的には設定の整合性に拘りすぎると、物語が楽しめなくなるし、

多少の矛盾があっても気にしないのですが。)

そういう原作の設定に拘っていた人にも、この映画で納得してもらえたんじゃないかと思います。




デュエルについて



映画のデュエルはどうなるのかな・・・?と。

これも鑑賞前の疑問でした。



現在のOCGのルールは、DMが放送されていた頃のものとは違います。

はるかに進化して、新しい召喚法も増えて・・・。

遊戯達に現在のルールに当てはめたデュエルをさせるには、無理がある。

世界観設定的にも、後の時代に登場する予定のシンクロ召喚などを使わせる訳にはいかないし。



だからと言って、当時と同じデュエルをさせたら、面白くない!

という訳で、映画用に、新しいデュエルをちゃんと考えてくれたんですね。

それが、次元領域デュエル。



よく分からないけど、何か凄いです。(笑)

モンスターの攻撃力・守備力は、カードの設定通りですが、

その設定通りの最大値の力を引き出すには、デュエリストの精神力が必要。

なので、召喚する度に、海馬と遊戯が「うおおおぉぉぉぉぉ!!!」と叫ぶのが、

何だか面白かったです。(笑)



藍神(ディーバ)のターンは、何度も次元召喚の繰り返しで。

これじゃ相手は手も足も出ない!と思えました。



そして、鑑賞後に他の方も言ってましたが、「何でもあり」ですね。

気迫と気合いで、何でも召喚できる。

こうなると、精神での勝負です。



そんな世界でのデュエルなので、海馬が地面から神を召喚したり。

アテムがマハードを召喚したり。

これはこれで、いろいろ面白いです。



でも、全編がこの途方もない次元領域デュエルなのではなく。

海馬と遊戯のデュエルだけは、DM同様の、当時のデュエルだったのが嬉しい。

LP(ライフポイント)や攻撃力守備力表示だけが新しく。

新しい召喚法などは使わず。

ここだけ、あの頃と同じデュエルでした。

これが、とても良かった!




デュエル作画と演出



これはもう、凄いの一言!



アニメで時々、やたらとデュエルシーンがかっこいい回がありますが。

あれが延々と続く感じです。

デュエル中の派手なアクション、ポーズ、指の形、大胆な構図、瞳のアップからのカメラの引き。

どれも凄い!

髪や襟が衝撃や風でなびいて、よく動く所も好きです。



デュエルの台詞も、工夫されてます。

TVアニメの方だと、視聴者の分かりやすいよう、カードの効果を発動するとき、

必ず効果説明の台詞があったり、ターンの経過が分かるように、ターン宣言があったりするのですが。

この劇場版のデュエルでは、長ったらしい効果説明は極力省き、勢い重視の演出と台詞になってます。



ルールが分かる人にはそれぞれの効果がある程度分かるのかもしれませんが。

説明が省かれた分、ちょっとデュエルが分かりづらいかな・・・。

でも、長すぎる説明台詞で観客を飽きさせない工夫は良かったと思います。




ファンサービス



アニメ版、DMでお馴染みの、AGO城之内が!!(笑)

それも、序盤の賑やかな日常のシーンじゃなくて、

ここぞ!という場面で使われていたのが、面白かったです。

加々美さん、相変わらず遊び心をお持ちでいらっしゃる!




ED



最後のスタッフロールには、TVアニメシリーズでもお馴染みの方達の名前が!!

素晴らしいメンバーでこの映画が作られたのが分かります。



スタッフの皆さん、お疲れ様でした!

そして、高橋和希先生、新しい遊戯王を、ありがとうございました!







バクラ、藍神やセラ、マニ達やプラナ達については、

設定が複雑なので、理解する為に、もう少ししてから語りたいと思います。