遊戯王ZEXAL II  第135話

第135話「未来をこの手に!銀河決戦終結!!」



カイトを、ミザエルの超時空龍(ネオ・タキオン)のダイレクトアタックが襲う!

アストロスーツモードのオービタルが、バリアライトを開放し、その力でダイレクトアタックの衝撃からカイトを守る。



衝撃に耐える中、カイトとオービタルの会話。



 オービタル「カイト様、もしオイラがスクラップになったら、

       オボミさんに、勇敢に戦ったとお伝え下さい。」



 カイト「断る。」



 オービタル「え〜〜っ!」



 カイト「そんな事は、自分で伝えろ!」



 オービタル「カイト様・・・。」



健気にも、オービタルは自分を犠牲にしてでもカイトを守り抜く覚悟なんですね。

既にスクラップになる気でいる弱気なオービタルを叱咤するのも、カイトらしい。



その時、モニター越しにデュエルを見守るオボミが「頑張って、あなた。」と。

その声を聞いたオービタルが、こんな所で負けないと、奮起する。



いきなり「あなた」って。(笑)

もうすっかり夫婦気分なオボミちゃんが、何だかかわいいです。



大ダメージを受けたカイトとオービタルの体はボロボロ。

LPは残りわずか。

しかも場にモンスターはなく、手札も0。



そしてカイトのターン。

これが運命を決めるドローとなる。

身体へのダメージで、ドローさえ困難なカイトに、オービタルが力を貸し、二人の力でカードをドロー。

 「これが俺と・・・。」「オイラの・・・。」「「運命のドロー!」」



引いたカードを裏守備表示でセットし、ターンを終了するカイト。

ミザエルは、装備カードの効果で攻撃力が半減した超時空龍を、マジックで一度除外し、

再び復活させる事で、超時空龍の攻撃力を元に戻す。

さらに、新たな装備魔法で、超時空龍は攻撃力を半減させながら繰り返し攻撃が可能となる。



最初の攻撃で、裏守備表示モンスターのリバース効果が発動し、カイトはLPを回復。

さらにその効果で、破壊されたモンスターを、もう一度裏守備表示にセット。



二度目の攻撃でも、カイトはLPを回復するが、破壊されたモンスターは除外され、再びセットする事はできない。



三度目の超時空龍の攻撃。

ダイレクトアタックの衝撃に耐える、カイトとオービタル。



四度目の攻撃にも、耐え続けるカイト達。



そして、最後の五度目の攻撃が、カイト達を襲う。



ダメージを受け続けたカイトのLPは残り100。

オービタルのアストロスーツもボロボロになり、ヘルメットに亀裂が入る。

一時気を失うカイトだが、呼びかける遊馬の声に、意識を取り戻す。



遊馬は、モニター越しにミザエルに語りかける。

こんな戦い、意味がねえんだ!と。

この戦いの全ての原因は、ドン・サウザンドにある、と説得しようとするが。



ミザエルは、そんな事は関係ない、バリアン七皇として、バリアンの為に戦うと言う。

遊馬達は、ドン・サウザンドとベクターによって、アリト、ギラグ、ドルベ、メラグが犠牲になった事を伝える。

ミザエルが守ろうとしたバリアンは、もう居ない。

アストラルは、ミザエルが超時空龍を使い続ける限り、ドン・サウザンドの呪縛から抜け出せない、と説得する。



前回の疑問点、オーバーハンドレットを遺跡のナンバーズで打ち倒したのに、

ミザエルがバリアン態で居続ける理由が、これで分かりました。

超時空龍をドラッグルーオンで打ち倒しても、ミザエルがバリアン態でいられるのは、

ドン・サウザンドの呪縛から抜け出せていないから、なのか。

超時空龍に強い執着を持つミザエルに、その力を手放せ、と言うのは、難し気がしますが、果たして・・・。



私の超時空龍が、ドン・サウザンドの呪い・・・。

ミザエルはその事実に動揺する。



ミザエルを説得しようとするアストラルの言葉を遮り、カイトは言う。

こいつをネオ・タキオンから解放するのは、俺しかできない、と。



それは、同じドラゴン族使い、銀河眼使いで、似たもの同士のカイトだから、なんだろうな・・・。



ボロボロになりながらも、再び立ち上がり、デュエルを続けるカイト。

心配する遊馬に、カイトは言う。



 カイト「遊馬、覚えておけ・・・。

     誰にでも必ず、別れは来る。

     いつか、突然に・・・。

     それは、お前と・・・アストラルにもだ。

     だから、俺で慣れておけ・・・!」



この台詞があまりにも悲壮で・・・。



カイトは自分の死を、もう覚悟している。

そして、遊馬とアストラルの別れの時を、(どういう理由からなのかは分かりませんが)予見しています。

「だから、俺で慣れておけ」って、そんな・・・・。



ここまで追い込まれ、それでもデュエルを続けるカイトの覚悟に、ミザエルは目を見張る

俺達の未来の光は、まだ消えてない、と言うカイト。



突如、カイトの場に光子竜皇(プライム・フォトンドラゴン)が蘇る。

光子竜皇はORU(オーバーレイユニット)の数だけターンが経過した後に復活できる効果があったのだ。



しかし、最強のドラゴン使いは私だ!と、ミザエルも諦めはしない。

トラップ、オーバー・タキオン・ユニットを使い、超時空龍の効果を発動可能に。

ターンは巻き戻され、超時空龍の連続攻撃を可能にした装備魔法を無効化し、

その攻撃力は元に戻る。



さり気なく、オーバー・タキオン・ユニットのイラストに、しっかりミザエルの姿か描かれてます。(笑)



さらに超時空龍の巻き戻し効果で、光子竜皇は復活前の状態に戻されそうになるが。

フィールドに留まる光子竜皇。

超時空龍が巻き戻したのは、このターンに発動した効果のみ。

このターン以前に効果を発動している光子竜皇には、巻き戻し効果は及ばないのだ。



カイトは言う。

時を遡る頃は出来ても、俺の未来を支配する事はできない。



それでも攻撃力を下回る光子竜皇では攻撃できまい!とミザエルは言うが。

カイトの「それはどうかな?」発動。



光子竜皇と超時空龍の攻撃が衝突する中、カイトはミザエルに語りかける。



 ミザエル、なぜお前はドラゴン使いになった?



 お前に何があったかは知らぬ。

 だが、お前は、人を信じる事が出来ずにドラゴンを信じた。



 貴様の、その荒涼とした目。

 あの石碑に描かれているドラゴン、その目とよく似ている。



荒んだミザエルと、石碑に描かれた伝説のドラゴンが、似ている・・・・?



ミザエルの回想。

戦火に焼かれ、虐殺されていく町の人々。

物陰に隠れていた金髪の少年は、両親を殺され、泣きながら砂漠へと逃げ延びる。

灼熱の砂漠を一人で彷徨い、やがて疲れ果てて倒れる少年。



その時、少年の手の中にカードが現れ。(これが No.46 神影龍ドラッグルーオン?)

意識を取り戻した少年の前に、光輝くドラゴンが姿を現す。



ミザエルの遺跡回、ジンロンのいた場所が中華風なのに、ミザエルが金髪で西洋風なのはなぜか?と疑問でしたが。

ミザエルは戦火を逃れて、シルクロードを渡ってきた西洋人、と考えると納得がいきます。



幼い頃に戦で両親を殺され、勇者となった後も国民に裏切られ。

ミザエルが、人を信じられず、ドラゴンだけを信じてきたのは、そういう過去があったからなのか・・・。



ミザエルが度々、「愚かな」「下等な」「下世話な」などと人間を見下す発言をしていたのも。

前世でこうした過去があったから。

記憶は無くとも、前世での人間に対する不信感は、バリアンに転生した後も消える事はなかった。



私を哀れむのはよせ!と言うミザエルに、カイトは言葉を続ける。



 哀れんでなどいない。

 最強のドラゴン使いは、お前だ。



 俺は、弟と親父を救いたい。

 その一心でドラゴンを利用しただけだ。

 ギャラクシーアイズの力を。



 だが、そのたった一枚のカードとの出会いが、

 俺を導き、俺をここまで強くした。



 俺は、ギャラクシーアイズに導かれ、

 遊馬に、アストラルに出会い。

 凌牙に、沢山の仲間に出会い。

 そして、お前に出会う事ができた。



 そいつらは、孤独で、誰も信じる事が出来なかったこの俺に、

 人を信じる力を教えてくれた。



 なぁ、ミザエル・・・。

 もし、次に出会える事があったなら、

 お前に何があったのか、聞かせてくれないか?



ミザエルに語りかける、カイトの穏やかな表情・・・。

それは、カイトの別れの覚悟を意味していた・・・。



今なお銀河眼との絆を強く信じ続けるミザエルに対し、

カイトは自分は銀河眼を「利用しただけだ」といい、

ミザエルのように最初からドラゴンを信じてた訳ではなかった事を告白しています。

だから「最強のドラゴン使いは、お前だ」と認めたのかな。



それでも「ギャラクシーアイズに導かれ」、

遊馬達と出会い、仲間達と、銀河眼との絆も芽生えた。



カイトは過去の自分が、誰も信じる事が出来なかった事、

それがかつての己の欠点であった事を、認めています。



WDCまでは、カイトは誰にも頼らず、自分一人の力でハルトを救おうとしていた。

弟の命の危機に、父親の豹変、Mr.ハートランドの過酷な訓練と指令、師であるVが突然去った事。

人を信じず、頼ろうとしなくなったのは、こうした事が関係しているのだと思います。

思い詰めたカイトは、たった一人で戦う決意をする。

その為には犠牲も厭わず、悪魔に魂を売ってまで・・・。



そのお陰で、強靱な精神を持つようになりましたが。

人を信じないままではいけなかった事を、今のカイトはちゃんと分かっている。

それを教えてくれたのが、遊馬だった。



かつては同じように人を信じなかったカイトだからこそ、

人を信じずに、ドラゴンに強く執着するミザエルを、理解する事ができた・・・。



そして最後に、ミザエルに「次に出会える事があったなら」と語りかける。

ミザエルの荒涼とした目がドラゴンに似ていると言ったのに対し、

私を哀れむのはよせ!と返した事からも、

ミザエルの過去に何かがあった事を、カイトは察している様です。



もしも時間が許すなら、ミザエルをもっと知り、理解したかった、のかな・・・。



カイトが別れの言葉を終え、いよいよ光子竜皇の効果を発動さする。

復活した光子竜皇の攻撃力は、取り除かれたORUの数をかけた数値となり、

超時空龍の攻撃力を上回る。

超時空龍は破壊され、ミザエルが敗北する。



ミザエルの中から飛び出す No.107の時空竜、

カイトの中から飛び出す No.46のドラッグルーオンと、No.62 の光子竜皇、

三枚のドラゴンのカードが集い、 地下から黄金に輝くドラゴンが姿を現す。

これこそが、ヌメロン・コードを起動させる鍵となる、No.100 ヌメロン・ドラゴン。



ヌメロン・ドラゴンのカードを手にしたカイトに、オービタルが話しかける。



 オービタル「やりましたね・・・カイト様。」



 カイト「オービタル、お前もよくやった。」



 オービタル「やっと・・褒められた・・で・・あります・・・

       大好きな・・・カイ・・・・。」



滅多に褒めないカイトが、オービタルを最後に褒めてくれました。

最後の言葉を言い終われずに、遂に機能を停止するオービタル・・・。



モニター越しにオービタルの最後の勇姿を見届けたオボミが

「あなた・・・ありがとう・・・。」と、泣きながら微笑むかのうような表情。



そして、カードを手にしたまま、その場に倒れ込むカイト。

遊馬は、まだお前との決着がついていねえ!と、カイトに呼びかけるが。



 そうだったな。

 だがそれは、またにおあずけだ。



 泣くな、遊馬。

 お前は、最後の希望だ。



 父さん、俺は後悔なんてしてない。



 ハルト、父さんを頼む。



モニター越しにカイトの最期を見届けるフェイカーとハルトが、悲しい・・・。



フェイカーは、ここでもカイトに「許してくれ・・・」と言っています。

カイトを苦しめ、彼の人生を大きく狂わせてしまった過去の自分の行いを、今も悔いている。

現在のフェイカーはちゃんと良心を取り戻しているんですね。

しかし、かつての自分の所業が、巡り巡って、最終的にカイトを今の状況に追いやった事を、

父親としては、やはり悔やまずにはいられない・・・。



兄さん!と繰り返し叫ぶハルト。

まだ6歳(くらい?)の幼いハルトに、大好きな兄の死を直接見届けるのは、流石にかわいそうだと思えました。

ハルトは、兄の死を受け入れ、それを乗り越えて行けるのかな・・・。



ミザエルはカイトに近づき、力なく震えるカイトの手からヌメロン・ドラゴンのカードを受け取る。



 ミザエル・・・行け。

 自分の信じる道を。



遂に瞼を閉じるカイト。

警告音と共に、ヘルメット内部に点滅する Operation System Shutdown の文字。

そして、白く霞む視野・・・・。



宇宙服の生命維持装置の機能が停止し、極寒の月面で体温を守る保温機能が失われ、

寒さでヘルメット内部の水分が凍り付いた・・・という描写だと思われます。

意外な所で、描写が細かい・・・。



カイトはミザエルに対し、こうしろという具体的な事は言いませんでした。



人を信じられないミザエルに、似たもの同士であった自分が理解を示す事で、

その頑なな心を溶かした。



後は何も言わずとも、分かってくれるはず。

だから、ヌメロン・ドラゴンのカードを託した・・・。

今のミザエルなら、そのカードを間違った事には使わないと、カイトには分かっているんだろうな・・。



カイトの最期を見届けたミザエルの目に、涙が。

ドン・サウザンドへの怒りをあらわにする。



その頃、ベクターはナッシュを迎え撃とうとしていた。



カイトの死に、うなだれ、嘆き悲しむ遊馬。

アリト、ギラグ、そしてドルベ、メラグに続いて、カイトの死まで・・・。

次々と仲間を失っていく遊馬の精神は、果たして大丈夫なのか・・・?



遊馬はカイトの最期の言葉を思いだし、

俺はもう泣かねえ、この戦いに勝つまではと、小鳥とアストラルに告げ、立ち上がる。



今回もEDはカイト追悼の特別版でした。

キャラが死ぬ度に、追悼EDになるのかな・・・。







カイトはデュエルには勝利しましたが、命を落としてしまいました。

これまでデュエルで敗北して消えていったキャラ達は、赤い光の粒子となる描写があり。

粒子に分解されたのなら、全てが解決したら、生き返るかもしれない、という希望がありますが。

カイトは分解もされずに、肉体そのものが死んでしまった、となると、復活の可能性はもうないのか?



誰かが言ってましたが、これではカイトは勝ち逃げではないか?と。

それは遊馬に対しても、ミザエルに対しても、言える事です。

特に遊馬にとってはカイトは目標であり、いつか勝利して乗り越えたい最強のライバルであったはずなのに。



一方のミザエルは、デュエルに敗北しても消える事はありませんでした。

もしも、133話の所で書いたバリアン死亡の法則が合っているなら。

オーバーハンドレットを遺跡のナンバーズで倒され、真実の記憶を取り戻したが、

ミザエルの場合は時空竜に執着し、オーバーハンドレットを使い続ける事で、

完全にはドン・サウザンドの呪いが解けていない。

ドン・サウザンドの力を持ち続けているから、デュエルで敗北しても死なない。

と解釈していいのかな。



もしかしたら、地球を出発する前から、カイトは自分の死を覚悟していたのかもしれません。

例え自分が生きて地球に帰る事が出来ないとしても、ミザエルを説得し、

手に入れたヌメロン・コードの鍵をミザエルに託す事も、予め想定していたのか?



ここまでカイトが命を賭けて、ヌメロン・コードの鍵を手に入れようとしたのは、

単に世界の危機を救う為だけではなく、遊馬の為だけでもなく、

他の理由もあったのではないか?と思えました。



もしかしたら・・・。

人の魂を狩った、ナンバーズハンター時代の罪の償いの為にも、何か自分の命を捧げられるものを探していたのかな。

ハルトが助かり、父と和解でき今、他には何もいらないと。

カイトには、自分自身の幸福を願った事がない様に思えます。



ここまでしっかりと死の描写をされたカイトに、本当に復活の可能性はないのか?

気になるのが、OPの手の中のカイトのカット。

あの手は、一体何者なのか?



結局、最後までミザエルは時空竜を信じ続け、

時空竜もまた、ドン・サウザンドの呪いから生まれたカードではありますが、

ミザエルを裏切るような事はありませんでした。

時空竜が大好きなミザエルだからこそ、

このドラゴンとの絆だけは、裏切られなかった事が、見ていて救われた思いがしました。





人間を見下した発言を繰り返していたミザエルに、人間嫌いになった理由が前世にあった事、

カイトが同じくかつては人を信じていなかった事で、ミザエルに理解を示した事など、

これまでのキャラの設定や描写、心情の変化が、きちんと繫がり、短い台詞の中で、見事にまとめられています。



長期シリーズの作品において、こうした細やかな描写が出来るのは、

シリーズ構成の吉田さんだからこそ、なのでしょうか。

こうしてキャラの心情を丁寧に描いてくれた事が、嬉しいです。



作監:宍倉敏)

(脚本:吉田伸)