遊戯王ZEXAL II  第146話

第146話「絆よ永遠(とわ)に…かっとビングだぜ、オレたち!!」



冒頭は、遊馬とアストラルの会話のシーン。

星空を眺めながら、屋根の上で語り合う二人。



 遊馬 「なあ、アストラル。

     ナンバーズが集まったらお前、その先どうすんだよ。」



 アストラル 「使命を果たし、アストラル世界に戻るだけだ。」



 遊馬 「そっか・・・だよな。

     で、それからどうすんだよ?」



 アストラル 「それから?

        その先の未来など、考えた事がない。」



さも興味が無さそうに答えるアストラル。

遊馬は不安定な屋根の上でバランスを崩しそうになりながら、アストラルに向かい合い、続ける。



 遊馬 「なんだよ、張り合いがねえな。



     俺はいっつも考えるぜ!

     俺達の未来を。



     すっげぇキラキラしてて、眩しくて、スカッとする未来を。

     いつかお前にも、俺の未来を見せてやっからな。」



 アストラル 「君の未来・・・。」



 遊馬 「あっ、でもそんときはお前、いねえかもしれねえんだな。」



 アストラル 「遊馬・・・。そうだな。」



苦笑するアストラルに、遊馬がムキになって言う。



 遊馬 「あっ!お前今、俺が、寂しそう、コイツ別れる時泣く、とか思っただろ!」



無言の笑顔で答えるアストラル。



 遊馬 「この野郎!だったら俺は、絶対泣かねえからな。

     別れの時、お前と本気デュエルして、絶対勝って笑ってやる。

     約束したぜ!」





これは・・・。

回想だとすると、一体、いつの頃の会話なのか?



ヌメロン・コードや、バリアン世界を消滅させる使命に言及していない所を見ると、

アストラルが自分の使命を思い出す以前の出来事だと思われます。



ナンバーズが集まったらどうするのか?と遊馬が問うのは、

やはり、アストラルとの別れを予感しているから、なんだろうな。



そして、前回アストラルが言っていた、

「君にはいつか交わした、私との約束を果たしてもらう!」とは、この事だったのか!

二人の約束は、これまで描かれたシーンには無かったんですね。



別れを予感していたからこそ、こんな会話があった。

二人とも、今日この時がくる事を、覚悟していたんだな・・・。



今回はOPはなく。

遊馬とアストラルのシーンに、テロップが挿入。

静かな出だしです。



回想が終わり、場面はデュエルに戻る。

アストラルの場には、ORUを二つ残したホープ・ルーツ。

遊馬の場のモンスターは、全て破壊されてしまった。

さらに、永続トラップの効果で、ホープ・ルーツはあと一回攻撃が出来る。



アストラルがホープ・ルーツで、遊馬にダイレクトアタックを仕掛ける。

これが通れば、遊馬は敗北のピンチ。



呆然とする遊馬が、内心で呟く。



 お前との別れの時の本気デュエルで、俺、笑うって・・・。



 デュエルで、笑う?



 デュエルってもっと、ワクワクして、ドキドキして、楽しいものなのに、

 なのに、俺・・・。

 いつの間にか、泣いてばっかで・・・。



 俺、無くしてたのか。

 心の底から笑うって。



 あいつ、俺にそれを思い出させようと・・・。



 ・・・アイツ!!



遊馬が約束を思いだし、アストラルの真意に気付く。



遊馬はトラップを発動させる。

カードをドローし、それがトラップなら、バトルを無効にして発動できる。



アストラルは約束を思い出させる為に、こんな事を・・。

そんなアストラルを、どんだけクソ真面目で不器用なんだよ!と言う遊馬。



 笑ってやる。

 お前に勝って、心の底から。

 見せてやる!俺の未来を!



遊馬の右手が光輝き、カードをドローする。



 最強デュエリストのデュエルは、全て必然。

 ドローカードさえもデュエリストが創造する。

 シャイニング・ドロー!



その姿を見て、アストラルは確信する。



 遊馬、やはり君は・・・。



 あの古の戦いで別れた、紛れもない私の分身。



 もう一人の私・・・。



これは・・・・・・・・・・・・・・!!!

そういう事だったのか!!



対エリファス戦で、アストラルなしの遊馬が一人でシャイニングドローした事。

一馬が「遊馬が、俺達を選んでくれた」と言った事。

一馬との会話で、アストラルが「あなたは気付いていたのですね。遊馬は・・・。」と言いかけた事。



これで全て辻褄が合います。

遊馬の正体は、アストラルの分身だった・・・。



ドン・サウザンドとのいにしえの戦いで、

アストラルの力は50枚のナンバーズとなり、人間の世界にばら撒かれる。

この時、同時にアストラルは自分の一部も失っていた。

その分身は、どういう経緯かは分かりませんが、九十九一馬と未来の子として、人間世界に生まれる。

「遊馬が、俺達を選んでくれた」とは、そういう意味だと思います。

一馬は自分達の息子が、アストラルの分身だと、何かの切っ掛けで知ったのでしょう。

だから、アストラルと遊馬が出会う様に仕向けた。



全く性格の違う二人が、分かり合い、これだけ強力な絆を築けたのも。

二人が合体し、奇跡の力、ゼアルになる事が出来たのも。

遊馬がアストラルの分身だったから。



あるいは、これまでの数々の奇跡も。

諦めない直向きさ、あのベクターにさえ手を差し伸べる、異常なほどの博愛ぶりも。

遊馬の、そうした常人ではない特殊な性質も、これが関係していたのかもしれません。



運命の人との出会いに、魂の片割れ、自分の分身、などとロマンチックな表現が使われる事がありますが、

遊馬とアストラルは、正しく、運命の二人だったんだな、と感じます。



遊馬が引いたのは、トラップカード、マスター・ピース。

ホープ・ルーツのダイレクトアタックは無効となり、マスター・ピースの効果を発動させる。

このターン、破壊され墓地に送られたガガガガンマンとガガガザムライでエクシーズ召喚を可能にする。

遊馬が召喚したのは。



 今こそ現れろ フューチャーナンバーズ 0(ゼロ)

 天馬 今ここに解き放たれ 縦横無尽に未来へ走る

 これが俺の 天地開闢!俺の未来!

 

 かっとビングだ、俺!

 未来皇ホープ



トラップカード名の「マスターピース」は、ゼアル放送開始時の最初のOPテーマ曲。

口上の中のキーワード、「縦横無尽」「天地開闢」も、マスターピースの歌詞に登場する文句です。

歌詞もOPアニメも、遊馬とアストラルを象徴する内容で、視聴者にとっても二人の出会いを思い出させる、

感慨深い曲だけに、このカード名、この召喚口上は嬉しい。



因みに、カードデザインを担当された長森佳容さんのツイッターより。

カード名も過去主題歌やかっとビングなど出ててイメージはすぐ湧いてきた、との事。

この後登場する、かっとビングチャレンジのカード名も、ホントは違う名前だったのが、

デザイン案をかっとビング絵にしたら、名前もそうなった、そうです。



スタッフの間でも、最初の主題歌「マスターピース」が愛されてるんだな、と感じました。



遊馬の新たなナンバーズ、ランク0の未来皇ホープ

これが、遊馬の未来。



小鳥が、何だか遊馬に似ている、と言っています。

確かに、未来皇ホープの頭部の形状が、遊馬の特徴的な髪型を思わせる形。



まだ未来は決まってない。

それがランク0の可能性だと遊馬は言う。

それを聞いたアストラルも、実に君らしいナンバーズだ、と微笑む。

遊馬は宣言する。



 アストラル、このお前との最後のデュエル、

 楽しんで楽しんで楽しみぬいて、最後に絶対、笑ってやる!



攻撃力0の未来皇ホープで、攻撃を仕掛ける遊馬。

またブラフなのか?

警戒するアストラルが、ホープ・ルーツの効果を発動。

ORUを未来皇に与え、ホープ・ルーツの攻撃力を、

相手モンスターとのランクの差かける100に、相手のORUの数を掛けた数値、

つまりランク差1×100×未来皇のORUの数3で、300に。

2000から300に攻撃力を下げたホープ・ルーツ。



遊馬は未来皇の効果を発動。

未来皇はバトルでは破壊されず、バトルダメージを0にして、

更に、バトルした相手モンスターのコントロールをバトルの間だけ得る。

ホープ・ルーツのコントロールを得た遊馬が、ルーツでアストラルにダイレクトアタック。



LPを削られたアストラルが言う。



 君は新たな可能性を見つけたなら、それがブラフなどである訳がない。



今回の未来皇の攻撃は、ブラフでは無かった。

アストラルにはそれが分かっていた様です。

だから効果を使って、ルーツの攻撃力を下げたのか。



前回、ブラフを使った遊馬が、続けて同じ戦法を使うハズがなく。

遊馬も、同じ戦法が二度もアストラルに通用しない事は分かっている。

相手の手の内を読んだり、ブラフを使ったり、使わなかったり。

この二人らしい、見ていてワクワクするデュエルです。



観戦する小鳥も、何だか二人とも楽しそう、と。

アストラルが真意を隠したままデュエルしていた前回とは違い、

今は二人ともデュエルを楽しんでいる様にみえます。

二人にとって、これが最初で最後のデュエルなのだから、

精一杯デュエルを楽しんで欲しいと、見ていて思いました。



アストラルの反撃のターン。



 遊馬、ランク0、無限の可能性があるのなら、

 私は更に、上へ行こう!



 全ての光よ 力よ

 我が右腕に宿り 希望の道筋を照らせ!

 シャイニング・ドロー!



アストラルが引いたのは、ハイパーランクアップマジック、アルティメット・フォース。

ホープ・ルーツをランク10のナンバーズにランクアップさせる。



 現れろ ナンバーズ99

 砕け散り我が魂の記憶

 今 一つの星となりて 天命を貫く霹靂となれ!

 これがナンバーズの終焉にして頂点!

 希望皇龍ホープドラグーン!



この召喚シーンで、これまで登場したナンバーズ達がCGで登場しました。

これだけの数が揃うと、それだけで壮観です。



アストラルはホープドラグーンの効果で、墓地のビヨンド・ザ・ホープを効果を無効にして復活させる。

破壊とダメージを無効にし、バトルした相手モンスターのコントロールを得る未来皇なら、

二体の攻撃を凌げそうだが。



 遊馬 「くっ、ビヨンドまで・・・。

     だが、未来皇ホープの効果の前じゃ・・・。」



 アストラル 「それはどうかな?」



ホープドラグーンで未来皇に攻撃を仕掛けるアストラル。

遊馬は未来皇の効果を発動させ、ホープドラグーンのコントロールを得ようとするが。

ホープドラグーンの更なる効果で、未来皇のコントロールを得る効果は無効化され、ホープドラグーン以外の全てのモンスターを破壊しようとする。



遊馬は未来皇の効果で、未来皇を破壊から守った。だが。

ビヨンド・ザ・ホープは破壊され、その攻撃力分、3000のダメージが、遊馬に!

アストラルの狙いは、未来皇の破壊ではなく、この効果ダメージだったのだ。



ダメージの衝撃に吹き飛ばされながら、遊馬が未来皇ホープのもう一つの効果を発動。

遊馬の受ける効果ダメージを無効にする。

何とかこのターンを凌ぎきった遊馬。



心と心をぶつけ合い、心の底からデュエルを楽しむ二人に、観戦する仲間達も嬉しそう。

そんな二人を、アンナは「お似合いの二人だぜ!」と。



いよいよ、遊馬のターン。

そして、恐らくこれが最後のターンになると、遊馬も覚悟を決める。

久しぶりの、遊馬の豪快なバク転。

第1話の遊馬を思い出させます。



そして、この爽快なBGMは。「遊馬のテーマII」(SOUND DUEL2収録)かな?

遊馬とアストラルが初めてゼアル化した時の印象が強い、思い出深い曲です。



遊馬が未来皇ホープホープドラグーンに攻撃し、その効果でホープドラグーンのコントロールを奪取しようとする。

アストラルがホープドラグーンの効果でこれを防ぎ、希望皇を破壊。

対する遊馬も希望皇の効果で自身の破壊を無効に。

ここまでは、先程のアストラルのターンと同じ展開。

しかし、勝負はここから!



遊馬はトラップ、かっとビング・チャレンジを発動!

このトラップカード、イラストがカード名通り、夕日に向かってジャンプする遊馬の後ろ姿です。



自分のターンのバトル中、攻撃したモンスターエクシーズの効果を無効にして、

もう一度攻撃が出来る。

効果を無効にした未来皇が、再びバトルを可能に。

しかし、未来皇の攻撃力は0。効果を使えずにこのまま攻撃すれば、自身が破壊されダメージを受けてしまう。



遊馬は更にトラップを発動する。

ブレイビング・メモリー



こちらのカード名は2期OP曲、「BRAVING!」からですね。

イラストは、皇の鍵を胸に握りしめる遊馬。



ナンバーズ同士でバトルする時、互いの墓地にあるナンバーズ一枚につき、500を

バトルする未来皇ホープの攻撃力に加える。

互いの墓地のナンバーズの合計は8枚。

未来皇ホープの攻撃力は、これで4000。

だが、このままでは攻撃力はホープドラグーンと同じ。



その時、ブレイビング・メモリーの更なる効果が発動。

自分のモンスターは、このターン、バトルでは破壊されず。

相手モンスターを破壊してダメージを与えられなかった時、

もう一度バトルが出来る。



ホープドラグーンだけが破壊され。

アストラルの場はガラ空き。

そして、未来皇はあと一回の攻撃が可能。



遊馬がいよいよ、未来皇ホープでアストラルにダイレクトアタックを宣言。

その時、アストラルが永続トラップ、運命の扉を発動。

そのカードイラストは、あの扉の姿。



ダイレクトアタックを無効にし、このカードを特殊召喚する。

更に次のターン、墓地からナンバーズを除外し、1枚につき500のダメージを相手に与える。

ここで決着を付けなければ、

次のターン、アストラルの墓地のナンバーズ7枚×500で3500のダメージを受け、遊馬は敗北してしまう。



この扉は、二人が出会うきっかけとなったもの。



 この扉を開く者は、新たなる力を得る。

 しかし、その者は代償として、一番大事なものを失う



遊馬は気付く。



 アストラル・・・そうだ。

 俺にとって、一番大事なもの。

 それは・・・ それは、お前しかいねえ。

 だが、俺は、お前を・・・。



涙ぐむ遊馬を、アストラルが叱咤する。



 恐れるな!



 君の手に残っている一枚が何かは、分かっている。

 その手で切り開くんだ、未来を!



 未来を恐れるな、遊馬。



遊馬は悟る。



 アストラル、まさか、お前、

 俺に別れる勇気をくれる為に。



アストラルは笑顔で答える。



 君が私にデュエルを挑むなど、100年早い!



未来皇ホープのダイレクトアタックが無効化された、このタイミングで、

遊馬の手にある、未来を切り開くカード、とは、やはり・・・。



遊馬が速攻魔法、ダブル・アップ・チャンスを発動。

モンスターの攻撃が無効になった時、攻撃力を二倍にしてもう一度攻撃する。



攻撃力8000となって舞い戻った未来皇ホープの胸には、皇の鍵が。

これが、本当の最後の攻撃。



 (アストラル、俺は忘れない。

 共に戦い、泣いたり笑ったり、ケンカしたり仲直りしたり。

 いつも、いつも俺の側には、お前がいてくれた。

 でも、これからは・・・。)



 かっとビングだ、俺!

 俺は未来を切り開く!

 ホープ剣フューチャースラッシュ!



未来皇ホープが扉の鎖を断ち、運命の扉は破壊される。

LPが0となったアストラル。

遂に、このデュエルに決着が。



倒れたアストラルが、差し伸べられた遊馬の手をとり、起き上がる。

二人の頭上に、ヌメロン・コードが姿を現した。

いよいよ。二人の別れの時。



 遊馬 「分かってる。絶対泣かねえ!」



 アストラル 「私は君の笑顔が大好きだった。

        忘れないで欲しい、その笑顔を。

        かっとビングを。」



離れてゆくアストラルに、遊馬が呼びかける。



 アストラル!

 かっとビング!

 それは、勇気を持って一歩踏み出すこと!

 それは、どんなピンチでも決して諦めないこと!

 それは、あらゆる困難にチャレンジすること!



 忘れねえ、お前の事

 絶対忘れねえ!



遠のく遊馬を見つめながら、アストラルも答える。



 私も決して忘れない、遊馬!



涙を流し、微笑みながらヌメロン・コードの中へ消えてゆくアストラル。





明かされた、アストラルの真意。

それは、遊馬に、自分と別れる勇気を与える事だった。

バリアン世界を消滅させる、などと嘘をついて、本気のデュエルを遊馬に挑ませて。

アストラルはこうまでして、遊馬に約束を思い出させようとした。

遊馬が自分との別れを乗り越えられるように・・・。(泣)



アストラルとの別れは、これまでも二度ありました。

最初は対III戦で。

そして二度目は、カオス化したNo.96とのデュエルで。

あの時は、一見、アストラルの死を受け入れたかのように振る舞う遊馬でしたが、

無意識にアストラルを求めていると、IIIに指摘されていました。



あの時の様子からすると、遊馬がアストラルとの別れを受け入れるのは、とても困難に思えます。

それを察していたのか、「俺で慣れておけ」とカイトに言われてしまう始末。



エリファス戦の時も、エリファスは予言していました。

アストラルと共に戦いたいという思いが、いずれ、アストラルを失いたくないという恐怖に変わる。

その思いが枷となり、戦いに敗北するかもしれない、それがカオスの愚かさだ、と。

今の遊馬は、正にその通りで、アストラルとの別れに未来に、まだ恐れを抱いている。



別れが目前に迫ったアストラルにとって、唯一の気がかりは、きっとこの事だったのでしょう。

だからこそ、何としても約束を思い出させたかった。

本気のデュエルを通して。

デュエルに勝って、心から笑って。

別れの未来を恐れずに、未来を切り開いていく勇気を。



自分がいなくなった後も、遊馬には笑顔でいて欲しい。

その優しい思いに、心打たれました・・・。



永続トラップ、運命の扉の意味。



代償として遊馬が失う、一番大事なもの、とは一体何なのか?

第1話からの謎でした。

その答えは、やはりアストラルだった。



あの扉は、ゼアルという新たな力を得る覚悟を遊馬に問い、

いずれ訪れるアストラルとの別れを予言していたに過ぎない、と思います。

扉は今まで一度も、遊馬に代償を払えと要求した事はありません。

だから、「大事なものを失う」は、契約ではなく、予言なのだ、と解釈しました。



最後のシャーク戦でも、遊馬は扉の言葉を思いだし、

失う「一番大事なもの」は自分自身の事ではないか?と考えていました。

こちらはミスリード、とも思えますが。

自分らしさを見失いかけた事も、扉の予言に含まれていたのかもしれません。



加えて、アストラルが気付いた、遊馬が気付かずに失ってしまったもの。

デュエルでドキドキ、ワクワクして、心の底から楽しむ事。



これら三つをまとめて、力の代償に過酷な運命に巻き込まれ、

遊馬が失う可能性を、扉は言っていたのでしょうか。



結局、遊馬は何も失っていない。

自分らしさを失わずに、デュエルを楽しむ心を取り戻し。

アストラルとの別れは避けられませんが、未来へと踏み出す覚悟と勇気を、アストラルがくれた。

運命の扉の破壊は、失うという予言の破壊でもある。

そう思えました。





場面は変わって。



デュエル飯片手に、制服姿で遅刻遅刻と慌てて走る遊馬。

その胸には、今も皇の鍵が。

スケボーに乗った鉄男も一緒です。



 こうして俺の戦いは終わり、いつもの生活が戻ってきた。

 ただ、今までと少し違うのは・・・。



チャイムと共に、璃緒に遅刻を宣言される遊馬。



 璃緒 「残念ながらアウトですわね。

     罰としてトイレ掃除一週間かしら。」



 遊馬 「いもシャー、そこを何とか・・・。」



 璃緒 「はい、二週間に決定。」



璃緒が怒ってます。(笑)

相変わらず、遊馬は璃緒とは呼ばず、いもシャ呼びなのか。



璃緒の後ろには、キャットちゃんと、制服姿のIIIが!!!

ハートランド学園に転入してきたのかな??

確かIIIの年齢は15才だったと思いますが、

ネクタイの色が赤だから、遊馬と同じ学年?(中学一年?)

制服姿のIIIは、3期EDにありました。あれはこの結末を暗示していたんですね。

今はIII(スリー)ではなく、本名のミハエル・アークライトを名乗っているのでしょうか?



更に背後には、遊馬を取り囲む仲間達の姿!!



アンナがいます!アンナも転入してきたのかな?

制服のアンナも3期EDにありましたね。



その隣に、アリトとギラグ!

アリトは赤ネクタイで、遊馬と同学年?

ギラグは青ネクタイ、シャークと同じ中学二年かな。



ギラグの肩には、ポン太!!

ギラグの最期の時、「もう離れないだポン。ずっと一緒だポン!」と言い、

共にベクターに飲み込まれていったポン太の魂。

その言葉通り、二人が今も一緒に居るのが嬉しい。



小鳥はセイちゃん、サチちゃんと一緒です。

華道部の愛華さま、漫研の有賀千太郎の姿もあります。



そして、ドルベとミザエルの姿も!

ネクタイの色は青。こちらもシャークと同学年?

二人で並んでいる所をみると、相変わらず仲はよさそうです。



遊馬のモノローグが続く。



 そうだ。

 アストラルはヌメロン・コードを使ったんだ。

 そして七皇を、人間としてこの世界に戻してくれた。



少し離れて、シャークが遊馬を見守っている。



 シャーク 「相変わらずだな、あのバカ。」



岩山をゆく、一馬と未来。



 それだけじゃねえ。

 アストラル世界に行ってた、俺の父ちゃん。

 そして、母ちゃんも。



アストラル世界は魂の世界。

そこに今まで居た、という事は、死者になったのかと思ってましたが。

七皇が戻ったように、魂の世界から人間の世界に戻れたんですね。



一馬に関しては、まだ謎が多いです。

どこでどうやって、アストラル世界の危機や、遊馬の正体を知ったのか?

Dr.フェイカーの策略で異世界に落とされた時、なぜ無事だったのか?

どうやってアストラル世界へ行ったのか?

遊馬にこれから起こる事を事前に知ってたのは、遊馬の正体を知っていたから・・・だと思いますが。

一馬にとっては、どこまでが想定内だったのか?

結局、これらの点については明かされないままでした。



母親の未来は、どうやってアストラル世界へ行ったのか?

恐らく一馬の後を追ったのだと推測されます。

人間界に留まってもよかったのでは?という意見もありました。

幼い遊馬を置いていってしまうのも、可哀相な気がします。



シャークが人間を捨て、バリアンのナッシュとして生きる覚悟を決めた時、

妹の璃緒も兄と同じ道を選んだ様に、

未来も子供達が自立すると信じて、一馬と共に歩む事を決めたのかもしれません。



5年前に両親が失踪してから、遊馬は随分と寂しい思いをしただろし、

明里も一人で家族を支えながら、

恐らく両親の手がかりを得るためにネットニュースの記者の仕事を選んだ事を思うと、

家族が戻ってきた事が、とても喜ばしく思えます。



 勿論、カイトやシャークも戻り・・・。



IVが、居ます!

ここはスタジアムかな?自分の姿を写した巨大スクリーンの前で、カードを手に構えてポーズ。

デュエルチャンピオンに戻ったのかな?或いはプロになったのか?

大会で活躍しているのかもしれません。

大会には今もIV(フォー)の名で登録しているのか、

それとも本名のトーマス・アークライトを名乗っているのでしょうか?



場所は変わって、ここはDr.フェイカーの研究所かな?



 カイト 「オービタル、このデータをすぐに解析しろ。」



 オービタル7 「かいこまり!」

 オボミと子ロボット 「かいこまり!」



 ハルト 「かしこまり、兄さん!」



カイトも戻ってきた!視力も大丈夫そうです!良かった・・・。

月でのカイトの死はかなりショックでしたが、今は笑顔で幸せそうです。

ミザエルもカイトも蘇ったのなら、死に際の、ミザエルとの約束は。

「もし次に出会える事があったなら、

 お前に何があったのか、聞かせてくれないか?」

あの約束は、果たされたのでしょうか?



オービタルも直ってる!!

オービタルと一緒にオボミが居るという事は、本当に夫婦になったのか。(笑)

そして、二人の子供らしき小型のオボットが二体!!

以前にBSでの再放送時のショートコントで、

小鳥が、オービタルとオボミの子供をカイトに作ってもらおう!と提案する話がありましたが。

それも伏線だったんですね。

やっぱり、カイトが作ってくれたのかな?



ハルトも笑顔で、オービタル達と一緒に敬礼のポーズをとってます。

カイト達の研究を手伝っているのかな?

とても元気そうです。



 今はトロン達と共に、異世界の研究を再開した。



Dr.フェイカーと、V、カイトと一緒に、トロンの姿。

トロンは・・・子供の姿のままですね。仮面を付けてます。

いつかは元のバイロンの姿に戻るのかなと思っていましたが。

ナッシュvs遊馬戦で、二つの世界の衝突を防ぐために、最後の力を使い果たして消えたのは、

別に死んだ訳ではなかったのかな。

(一度死んでヌメロン・コードで蘇ったなら、バイロンの姿になっても良さそうですが。)

元の姿に戻らないのは残念ですが、

これまでしてきた罪を思い、その罰として本人も今の姿を受け入れているのかもしれません。



 そう、みんなとワイワイ騒いだり、デュエルしたり。

 そんな、いつも通りの生活が戻ったのさ。



ナンバーズクラブのみんなも元気そう。

賑やかな遊馬の日常が描かれてます。



 ただ一つ、あいつが居ない事を除けば・・・。



屋根の上で、星空を一人で眺める遊馬。

いつもアストラルと二人で語り合った場所ですね・・・。



 全て、いつも通りの・・・。



夕暮れ時、堤防で小鳥と一緒の遊馬。

その表情は、少し寂しそう・・・。

その時、皇の鍵が輝き出す。



遊馬の名を呼ぶシャーク。

気がつくと、周囲にはシャーク、カイトと、璃緒、

トロン三兄弟、ドルベ達七皇の姿が。



 シャーク 「いつまでしょぼくれていやがる。さぁ、行くぞ!」



 カイト 「アストラル世界に、新たな危機が迫っている。」



場面は変わって、アストラル世界。

稲妻が走り、異変が起きている様子。



 エナ 「かの地に、カオスの力が集結している。」



 エリファス 「ヌメロン・コードの力により、アストラル世界はバリアン世界と一体となり、

        カオスを受け入れた。」



 エナ 「ですが、それはまた新たな戦いを・・・。」



エリファスが生きている!

エリファスもヌメロン・コードの力で蘇ったようです。

アストラル世界はカオスを受け入れた。

バリアン世界は滅びず、バリアン世界の人達も救われたのかな?

しかし、カオスとの本当の戦いは、これからなのか・・・。



エリファスとエナが一緒に居ます。

アストラル世界のあり方について、対立していたあの二人が、

今は和解し、アストラル世界を救う為に協力してるようです。



 エリファス 「行くのか?アストラル。」



 アストラル 「はい。」



アストラルも無事だ!

アストラル世界に戻っただけで、使命を終えて消滅した訳ではなかったんだ。

この笑顔をみた限り、遊馬達との記憶も、消されてはいなさそうです。



ここで、1期のあのOP曲、「マスターピース」が流れる!



小鳥の手を取り、空を飛ぶ遊馬と仲間達。



 小鳥 「ちょっちょ、ちょっと!遊馬、待ってよ!」



小鳥ちゃん。遊馬の今度の冒険にも、ちゃんと付いてきてくれそうです。

慌ててる所を見ると、今回は遊馬の方から強引に連れ出したのかな?



 シャーク 「あいつには大きな借りがある。」



 璃緒 「今こそ私達の力を合わせる時。」



神代兄妹は、やる気満々です!



 カイト 「異世界へ行く準備は、既に出来ている。」



 オービタル 「かっとビングであります、カイト様!」



遊馬や小鳥、人間になったシャーク達がこうして飛行できるのも、

カイト達の異世界研究と科学力のお陰のようです。



 V 「今こそ私達が動くとき。」



 IV 「たっぷり俺様のファンサービス、見せてやるぜ!」



 III 「遊馬と共に、どこまでも僕は戦う!」



 トロン 「我ら家族の絆の力を解放する!」



三兄弟も相変わらずの調子です。



Vがまた「動くとき」と言ってます。(笑)

33話の初登場時の「今はまだ私が動くときではない」(脚本:吉田伸)

112話での再登場時の「我々が動くときがきたようだ」(脚本:雑破業

117話では遊馬に対して「今は君が動くべきときではない」(脚本:雑破業

と続いて、今回146話で「今こそ私達が動くとき」(脚本:吉田伸)

と、またこのネタを持ってきてます。

ネットでもよくネタにされてますが、脚本家さん達(吉田さんと雑破さん)もこのネタを気に入っているのかな?



そして、IVはやっぱり「ファンサービス」なんですね。(笑)

IIIは遊馬との友情を大事にしているのが分かります。

「僕は君の剣となり、その身を守る盾となろう」と言ったあの決意も、変わっていない。



今度はトロンも一緒です。

最後にもう一度、復讐を捨てたトロンとしてのデュエルも見たかったな。

「解放する」と表現する所も、トロンらしい。



 ドルベ 「蘇った我ら七皇の力、アストラルのために使おう!」



 ミザエル 「真のドラゴン使いのデュエル、味わわせてやる!」



 アリト 「ヘヘッ、やったろうじゃねえか。燃えてきたぜ!うぉ〜っ!」



 ギラグ 「おう!久しぶりに暴れてやるよ!」



人間になった七皇に、バリアンの力は残っているのかな?

カイトに「最強のドラゴン使いはお前だ」と言われた今のミザエルは、

堂々と「真のドラゴン使い」を名乗れますね。(笑)

ギラグはポン太を肩に乗せ、ここでも一緒です。



 ベクター 「ジャンジャジャーン!」



      「よかれと思って、俺様も手を貸してやるぜ。」



 遊馬 「お前!」



 璃緒 「あら、ベクター。今度は大人しくしててね。」



 ベクター 「さぁね。だがお前達と暴れるのも悪かねえ。」



ベクター!!

学園の日常風景にはいませんでしたが、ちゃんとベクターも蘇っていた!

この結末を暗示する6期EDのラスト、これまで登場したキャラが勢揃いするカットに、

ベクターの姿がないと言われていました。

それは、ベクターだけが復活を許されない、悲惨な結末を示しているのかと思っていたのですが・・・。

学園の方にベクターの姿が無いのは、学校には通っていないのかな?

学園に戻ったら真月零として振る舞わなくてはならないから、ベクターにはそれが面倒なのかもしれません。



お得意の「ジャンジャジャーン!」と「よかれと思って」も健在。

今のベクターは「よかれ」と「よからぬ」の両方を使っていそうです。



そして、今のベクターは、遊馬に力を貸すつもりらしい?

これは大きな変化ですね。

また裏切る可能性も捨てきれませんが・・・。



それを知ってか、璃緒が釘を刺してます。(笑)

璃緒は、優しいな・・・と感心しました。

仲間を殺し、前世と今世と二度も自分を殺し、兄を苦しめた相手を、今は受け入れてくれている。

多分、兄・凌牙から、ベクターの最期、遊馬の言葉にベクターが心を取り戻した事を聞かされたのでしょう。

凌牙がベクターを仲間として受け入れたから、璃緒も同じように受け入れたのだと思います。

他の七皇の仲間達も同じように、受け入れてくれたのかな。

許してはいないと思いますが、ベクターがこれ以上仲間を傷つけるような悪さをしなければ、仲間として協力してくれそうです。



あれだけの悪事をしでかしたベクターが、何の罰も受けずにいるのは許せないと思う人もいるかもしれません。

けど、無邪気でどことなく憎めない魅力のあるキャラで、個人的には最後は何らかの形で救われて欲しい、と思ってました。

そして、あの最期。

遊馬の言葉で、無いと言われていた心を、確かに取り戻した。

ナッシュと遊馬のデュエルでは、冀望皇バリアンのORUとして一緒に戦う姿がみられ、

ナッシュに仲間として受け入れられていたのが分かります。



今はこうして七皇と共に蘇り。

仲間に受け入れられ、囲まれて。

それは本当に良かったと思えます。

ベクターは救われたんだと感じました。



 アストラル 「誰でも、いい心と悪い心が戦っている。

        だが、そこから逃げ出さなければ、誰とでも分かり合える。

        遊馬、私は戦い続ける。

        誰もが、分かり合える日がくるまで。」



アストラルの胸の中には、もしかしたらまだカオスのシミが残っているのかもしれません。

それでも、そのカオスを消去するのではなく、共存して戦い続ける覚悟が、アストラルにはある。

だから、これから始まる戦いも、きっと大丈夫でしょう。



最後に、遊馬の横顔を見つめ、微笑む小鳥。



 小鳥 「遊馬!」



 遊馬 「ん?」



 小鳥 「私も遊馬のその笑顔、大〜好き!」



 遊馬 「え?え!?」



顔を真っ赤にする遊馬!!

小鳥、やっと「好き」て言えた!!

歴代の遊戯王ヒロインの中でも、これが言えたキャラは少ないです。



あなたが好き、ではなくて、笑顔が好き、とやや遠回しな表現なのは、まだ照れがあるのと、

アストラルの言葉「私は君の笑顔が大好きだった」を受けての言葉なんですね。



小鳥は時折、遊馬を意識する素振りがありましたが、遊馬の方は殆どなく。

今回、小鳥のこの言葉に、遊馬が顔を赤くした、という事は、

遊馬も年相応に、ちゃんと小鳥ちゃんを異性として意識してくれてる証拠ですね。



 小鳥 「さぁ、取り戻しに行くんでしょ?

     一番大事なものを。」



 遊馬 「おう!」



 アストラル 「これが私の、かっとビングだ!」



 遊馬 「待ってろよ、アストラル!

     いくぜ、みんな!

     かっとビングだ、俺!」



遊馬とアストラルの再会が約束されています。

物語も、ゼアルらしく、かっとビングで締めくくられました。



最後は、遊馬とアストラルの物語として完結したと思います。

全員が復活するこの結末を、好まない人もいると思いますが。

やはりゼアルはハッピーエンドで終わらなくては。

幸福や復活の代償とか、悲壮感は、ゼアルには必要無いでしょう。



Mr.ハートランドを含む四悪人についてや、一馬の件など、明かされていない謎もありますが。

それはこの物語の主題とはそれほど関係なく、そこに拘る必要もない。

ゼアルを嫌う人が多かったのは事実としても、

それは観る側の望む物語ではなかっただけ、ではないでしょうか。

一人一人のキャラの物語は、よく描かれていたと思います。





崩れの少ない丁寧な作画。

よく動き、よく回るデュエルアクション。

力強い手や拳のアップ、影の付け方、手と指先の豊かな表情。



最後にゼアルに関わった全てのスタッフさんに、感謝の気持ちを伝えたいです。

三年間、お疲れ様でした。

そして、ありがとう。



作監:豊田暁子(原田大基))

(脚本:吉田伸)