遊戯王ZEXAL II  第133話

第133話「別れは刹那…哀しき兄妹の宿命」



ドルベがその身を挺してメラグを守り、ベクターを倒す力を託したラグナ・インフィニティが

ベクターのソウル・マリオネッターを破壊・・・したはずだったが。



攻撃を受けた時、ベクターはドン・サウザンドの玉座のもう一つの効果を発動していた。

バトルは強制終了させられ、ベクターに止めをさせなかったメラグ。

さらにベクターは、ソウル・マリオネッターをカオス化し、ランクアップさせる。

CNo.43 魂魄傀儡鬼神 カオス・マリオネッターが現れる。



一方、銀河眼誕生の地、月に到着したカイト。

月面到着前にオービタルのアナウンスで「あと1フォトンマイル」なんて単位が出てきたり。(笑)



このシーンの冒頭(CM明けAパートの出だし)、

赤くバリアン色に染まった地球が画面手前、その奥に月があり、

月の両側に、青く光る天体と赤く光る天体が、月を挟んで対になって並んでいます。

この青と赤の天体が、もしかして、アストラル世界とバリアン世界??



シャトルは突然、制御不能となり、月面に出現した石版に衝突して大破。

カイトはアストロスーツモードに変形したオービタルを纏い、無事月面に降り立つが。



シャトルが無くなったら、どうやって地球に帰るんだろう?

ヌメロン・コードの鍵を手に入れても、地球に戻れない?



アリトとギラグのデュエルが続く。

アリトの場にはマジックで戦士族から獣族に変更したモンスターが二体。

(前回から少しだけデュエルシーンが省略されてる?)



残りLPは僅かのアリトがエクシーズ召喚したのは、No.64 古狸三太夫

107話で登場した、ギラグの遺跡のナンバーズ。

その時、ギラグの腹の中から飛び出したポン太の魂がアリト達の前に現れ。

自分はナンバーズの精霊、ポン太だと名乗り、ギラグを正気に戻すためにアリトに協力すると言う。



ポン太登場シーンでクルクル回るポン太の仕草がかわいい。



 アリト「頼むぜ、ポン太!」



ギラグの為に、ギラグの親友のアリトと、前世でギラグの相棒だったポン太が力を合わせる、という、

この展開も嬉しいです。



古狸三太夫の生み出した影武者狸トークンとトラップで、

ジャイアント・ハンド・レッドの攻撃力を0にし、攻撃力を上げた古狸三太夫で攻撃。

ジャイアント・ハンド・レッドは破壊され、ギラグの本当の記憶が蘇る。



「お前の運命は我に書き換えられる。」

炎に包まれた喜楽の前に、謀反を起こした部下達を従えた黒フードの男が言う。

喜楽の背後に No.64 のカードが落ち、黒フードの男が投げた No.106 巨岩掌ジャイアント・ハンド が喜楽の体に吸収される。



この描写を見ると。

遺跡のナンバーズはもともと本人の中に存在していたが、

黒フードの男(恐らくドン・サウザンド)によって遺跡のナンバーズは抜き取られ、

代わりに、ドン・サウザンドの呪いの力を宿したオーバーハンドレットナンバーズが埋め込まれた事で、

恨みや憎しみを増幅させられた魂が、死後、バリアン世界に転生する、という解釈でいいのかな?



遺跡のナンバーズは、本人が生前に宿していた力、と考えると、

オーバーハンドレットを遺跡のナンバーズで倒せば、ドン・サウザンドの呪縛が解ける、という設定も納得がいきます。



遺跡のナンバーズが、七皇の前世に縁のある遺跡に眠っていたのも、

それぞれが本来宿していたナンバーズをドン・サウザンドによって抜き取られた場所 = 七皇が前世で命を落とした場所、

だと考えると頷ける。



ドン・サウザンドによる記憶の改ざん、とういうのも謎でしたが。

各遺跡の伝説自体は真実で、

死ぬ直前にドン・サウザンドからオーバーハンドレットを植え付けられた時の記憶だけが消されていた、という事のようです。



高潔な魂を持ち、死後はアストラル世界に転生するはずだった者達を、

バリアン世界に落とす為に、仲間や親友、国民に裏切られるように仕向けたのも、

恐らくドン・サウザンドの仕業だと思われますが。



そう考えると、ドン・サウザンドさえ居なければ、バリアン達は

前世でも今世でもこんなに苦しむ事は無かったのかな・・・・。



ベクターも、アリトやギラグと同じように、記憶を改ざんされているのか?という所が気になります。

前世のベクターにも、他の七皇同様に、その魂がアストラル世界に行ける程の高潔なものだったとしたら。

ナッシュの回想からみられる前世のベクターは、とことん残忍な性格でしたが、

本当は、人を信じる事ができるような事件が、死ぬ間際にあって、その記憶がドン・サウザンドによって消され、

人を信じない残忍なベクター、のまま死んでしまったのかな・・・。



ベクターとメラグのデュエル。

ベクターはマジックで、メラグのラグナ・インフィニティの効果発動を封じる。

さらに、カオス・マリオネッターの効果で生み出した魂魄トークンで、ラグナ・インフィニティに三回の攻撃。

バトルでは破壊されずダメージも無効にする魂魄トークンが攻撃する度に、カオス・マリオネッターは攻撃力を上げていく。



魂魄トークン、がその名の通り、メラグの魂を形取った人形で、それを何度も破壊させるという、

この演出の残酷さがベクターらしい。



倒れたギラグが意識を取り戻す。

アリトと共にドン・サウザンドに操られていた事を思い出すギラグ。



 アリト「手間かけさせやがって・・・。」



だが、デュエルはまだ終わっていなかった。

アリトが発動させたカウンタートラップで、その強力な効果の代償に、プレイヤーはダメージを受けなければならない。

アリトは自分の命と引き替えに、ギラグをドン・サウザンドの呪縛がら救う覚悟だったのだ。



 アリト「ギラグ、お前は俺の一番のダチだからよ・・・。

     やっとダチらしい事ができたかな。」



この時の、アリトの、ちょっと自嘲気味に笑う演技も良かった。



ドン・サウザンドと戦う前に、こんな所で遊馬に手傷を負わせる訳にはいかなかった、と理由を語り、

遊馬に別れを告げるアリト。



 アリト「遊馬、お前と会えて、熱かったぜ。」



会えて嬉しかった、じゃなく「熱かった」と表現するあたりも、アリトらしい。



(余談ですが、アリト役の比上孝浩さんにとってゼアルは初の長期作品だったそうで、

収録現場で居残りして音響監督と一緒に何度もテイクを重ねたのも、この作品が初めてだったと、語ってらっしゃいました。

もうアリトの出番は無いのかな・・・。お疲れ様でした!)



LPが0となり、倒れ、消えてゆくアリト。



バリアンはデュエルでの敗北で死ぬのか?という疑問ですが。



オーバーハンドレットを持ち、バリアン態に変身できる状態では、敗北しても死なない?

(過去のバリアンvs遊馬戦)

オーバーハンドレットを遺跡のナンバーズで打ち倒され、ドン・サウザンドの呪縛から解放され、

バリアンの力を失った状態での敗北は、死に繋がるようです。

(今回のギラグvsアリト戦)

同じバリアン同士のデュエルだと、敗北した方が死ぬ?

ベクターvsドルベ・メラグ戦)

バリアンの生死は、ドン・サウザンドの力が影響してる、と考えればいいのかな。



少し気になったのが、ギラグはどの辺りまでベクターとドン・サウザンドの悪事について知っていたのか?という事です。

アリトを闇討ちし、遊馬に味方した真月の正体がベクターだった事。

眠りについたギラグ達を、洗脳状態で復活させたのがドン・サウザンドの力だった事。

この辺りの真実をギラグは知っているのかな・・・。



ベクターは攻撃力18600になったカオス・マリオネッターで、ラグナ・インフィニティを破壊。メラグは敗北する。

死に際、メラグが思うのは、凌牙の事・・・。



その瞬間を目の当たりにしたナッシュは、メラグではなく、「璃緒」と呼んでいたのが、印象的です。

メラグもまた、ナッシュの前に璃緒の姿で語りかけてます。

前世で国王とその妹として生きた記憶よりも、バリアンのナッシュとメラグとして生きた記憶よりも、

つい最近まで、人間の神代凌牙と璃緒として生きた記憶の方が、二人の中では大きいのかもしれません。



 璃緒「凌牙。あなたと共に、二つの運命を歩めて幸せだった・・・。

    でも、もうお別れ。

    生きて・・・。

    あなたは、これからも強く生きて。

    そして、忘れないで・・・。

    あなたは決して、一人じゃ無い。

    さようなら、凌牙・・・。」



床に転げ落ちる指輪。

それは、幼い頃の思い出の詰まった、兄妹の絆の象徴。



璃緒が昏睡状態だったWDC中、凌牙がどんな状態だったのかを、璃緒が知っていたかは不明ですが。

妹思いの兄が、自分を失ったらどうなってしまうのか、璃緒には分かっていたのかもしれません。

もしかしたら、凌牙はヤケを起こして自分の命を粗末にしてしまうかもしれない。

それを承知の上で、「生きて」と言ったのかな。



 璃緒「これが私の運命の終焉・・・。」



消えてゆく璃緒が一人呟く。

回想に、幼い国王と妹姫の姿が。

一面に咲き乱れる花と蝶に囲まれ、美しい景色の中で、仲睦まじく手を繋ぎ寄り添う兄妹。

兄妹と言うより、幼い恋人同士のようにも見えました・・・。



 璃緒「(凌牙・・・もっと、あなたと・・・。

    一緒に居たかった・・・!)」



消える直前の、一瞬の表情が、泣きながら微笑んでいる様にもみえました。

思い出の中の兄に向けた笑顔だったのかもしれません・・・。



ベクターに吸収された二つの光は、ドルベとメラグのオーバーハンドレット?

そこに、ドン・サウザンドがギラグの元へ急げ、と言う。



 ドン・サウザンド「よからぬことが起こったぞ。」



どうでもいい事ですが、「よからぬ」のフレーズが使われたのは、これで七回目、かな?



月に到着したカイトの前に、ミザエルが現れる。

ミザエルに敗れたVとIIIを、ミザエルは「誇り高き兄弟だった」と言っています。



カイトは、この月こそ、ヌメロン・コードの鍵が眠る場所だと言う。



遊馬達はアリトの死を嘆き悲しむ。

ベクターとドン・サウザンドへの怒りをあらわにするギラグ。

そこに、ベクターの嘲笑と共に、多数の鋭利な触手が遊馬達を襲う。

ギラグは咄嗟に遊馬を庇い、触手に貫かれてしまう。

アリトの遺志を引き継ぎ、一番のダチだったアリトが守ろうとした者、遊馬を、今度は自分が守ろうとしたのだ。



後は頼んだぜ、と言い残し、消えるギラグ。

この時、ポン太の魂が再び現れ。

「もう離れないだポン。ずっと一緒だポン!」



ギラグの石像回では、洗脳されていたとは言え、最後にポン太の魂を丸呑みした非道なギラグでしたが、

今は洗脳が解け、ポン太と仲良く一緒に消えていくが、救いでした。



アリトとギラグのオーバーハンドレット(かな?)と、ポン太の魂(No.64?)の三つが、ベクターに回収される。



デュエルで勝利しなくても、七皇仲間の魂(オーバーハンドレット?)は強制的に奪えるのかな?

ドルベとメラグの力を得た今のベクターだからこそ可能なのか?



ベクターの言葉に、ドルベとメラグの死を知らされる遊馬達。

ベクターは七皇の全ての力を手に入れ、遊馬を倒し、ヌメロン・コードで全能の神になる!と、自身の野望を宣言する。



サルガッソ後のベクターの目的は遊馬への復讐だけかと思ってましたが、

最終的にはヌメロン・コードも手に入れようとしている?

ドン・サウザンドに自分が利用されている事には、気付いていないのかな・・・。



その時、ナッシュが閉じ込められていた異空間から自力で脱出した事を感知したベクターは、

遊馬との決着を後回しにし、去って行く。



月で、カイトの解説が続く。

神の力を持つカード、ヌメロン・コードは、その存在だけでは機能しない。

それを機能させるには、特殊な鍵が必要。

その元となるのが、二体の銀河眼(ギャラクシーアイズ)。



カイトは遺跡で、ヌメロン・コード誕生の伝説が示された石碑を見つけた。

回想で、石碑の前に現れたジンロンが、カイトに伝説を語る。



 ドラゴンとは、人間よりはるかに長い寿命を持ち、万物の知恵を持った存在。

 それゆえ人間達はドラゴンを敬い、時には畏怖し、共に生きてきた。



 世界の始まりには、一匹のドラゴンがいた。

 じゃが、己しか存在しない孤独から、ドラゴンは全ての力を使い、

 この世界を創造したのじゃ。



 しかし、力を使い果たしたドラゴンは、その命を終えようとしていた。

 ドラゴンは己の死を憂いた。

 己が創った世界の未来を見守る事ができないことを。



 そして、最後の力を振り絞り、一粒の涙をこぼしたのじゃ。



 ドラゴンの思いと真実をはらんだその涙は、

 果てしない宇宙をさまよい、やがてある星に辿り着いた。



 その星が地球。

 そして、その衝撃で月が生まれたのじゃ。



 ヌメロン・コードは自身を地球に。

 そして、鍵となる部分を月に置いた。



 更に、今の危機を見越し、ドラゴンはナンバーズの力を借り、

 その存在を秘めたるものにした。



 全ての過去・未来を書き換える、神の力に、ドラゴンの呪いをかけて。



今回語られた、この世界創世の話「世界の始まりは一匹のドラゴン」と、

89話でアストラルが言っていた、「世界はたった一枚のカードから生まれた」が、

どう繋がるのかが今一分かりませんが。



余談ですが。

遊戯王GX 177話で、ダークネスが十代に語った、世界創世。

 「真実の始まりはあまりにも遠く、遙かな昔。

  何も存在しない暗闇に最初に一枚のカードが生まれた。

  そして表と裏が決まり、世界の始まりが訪れた。

  やがてそこに星々は生まれ、そしてこの世界は築かれた。」

この設定も、ゼアル世界とどこかで繋がってくれたらいいな・・・と個人的に思いました。

全く関係ないのかもしれませんが。(汗)



回想の映像を見る限り、「ドラゴンの涙」は巨大隕石のようなものかな?

原始の地球に巨大隕石が衝突し、月が生まれた説は有名です。



ナンバーズとは本当は何なのか?誰がどういう経緯で作り出したのか?などの謎はまだ明かされていませんが。

初めからヌメロン・コードとナンバーズが一緒に存在した訳でも、

ヌメロン・コードの為だけにナンバーズが生み出された訳でもない様子。



ヌメロン・コードの場所を隠す為に、既に存在していたナンバーズに何らかの力を加え、

ナンバーズを集める事で、ヌメロン・コードの在処を知る事が出来るようにしたのか?

アストラル達が初期に集めたカードには、ヌメロン・コードに関する記憶も在処も記されていなかった事を考えると、

ヌメロン・コードの影響を受け、それに関する記憶と在処を示すようになったカードは、

ナンバーズの中でもごく一部の様です。



世界創世のドラゴンと、ナンバーズは、その出所に関しては関係はない、と考えていいのかな?



最後の「全ての過去・未来を書き換える神の力に、ドラゴンの呪いをかけて」の部分はどういう意味だろう?

「全ての過去・未来を書き換える神の力」とはヌメロン・コードの事だと思いますが。

「ドラゴンの呪い」というのは?



ヌメロン・コードはその存在だけでは機能せず、

ヌメロン・コードを機能させる特殊な鍵を作り、

月に眠るヌメロン・コードの鍵を呼び覚ます為に、二体の銀河眼を必要とする仕様にした。

この事が、すなわち「ドラゴンの呪い」?



銀河眼もドラゴンですから、二体の銀河眼が揃わないと、ヌメロン・コードの鍵を呼び覚ませない、

というのは、確かにある意味、「ドラゴンの呪い」と言えるかもしれません。



 「光と時の龍 生まれし地にて相まみえる時

  銀河の瞳 真に見開きて 新たな世界の扉を開く」



これは、128話の回想で、カイトがVに語った石碑の文章。

今回はミザエルにも石碑の真実が伝えられる。



光子竜(フォトンドラゴン)と時空竜(タキオンドラゴン)、二体の銀河眼が、

この場所で戦い、勝利者こそが、ヌメロン・コードの呪いを解き、

鍵を手に入れる事ができる。



その話を聞いたミザエルは、二体のドラゴンは、同じバリアンの力で創られたカード、

ならば、バリアンこそが、ヌメロン・コードの真の所有者だ、と主張する。



ミザエルとカイトの、

最強のドラゴン使いを決める戦いが、今始まろうとしていた。



二体のドラゴンは、同じバリアンの力で創られたカード?

No.107 銀河眼の時空竜 は確かにミザエルがバリアン世界から連れてきたドラゴンですが。

銀河眼の光子竜 はカイトがもともと持っていたカード、だったかな?

超銀河眼の光子竜 の方は、ハルトとの絆がもたらしたカード。

光子竜が「バリアンの力で創られたカード」だと本編で明言された事は、これまでに無かった気がします。



予想される事としては・・・。

ハルトの力が、光子竜を進化させ、超銀河眼の光子竜を生み出した。

ハルトの力は、Dr.フェイカーがバリアンとの取引で得た(与えられた)力。

ハルトがアストラル世界を攻撃したり超銀河眼を生み出した、あの謎パワーは、全部バリアン由来の力。

だから、光子竜も「バリアンの力で創られたカード」、という事かな?



この先、仮にナッシュがベクターを倒し、仇をとったとしても、

メラグとドルベを失った悲しみは消えないと思うと、

ナッシュの運命があまりにも過酷に思えます。



今回のEDは、ギラグ、アリト、メラグ、ドルベの四人の追悼特別版でした。

すべて壊すんだ〜の所が、ギラグのカツ丼シーンで、笑ってしまう。(笑)





作監:Lee Seok-in)

(脚本:雑破業・吉田伸)