遊戯王ARC-V  第90話

第90話「革命の狼煙」





零羅のもとに駆けつけた遊矢が、オベリスクフォース三人を倒し、セレナ達を守った。

だがそこに、新手のオベリスクフォース三人を引き連れ、バレットが現れる。

セレナを連れ戻そうとするバレットから、セレナを守るため、デュエルする遊矢。



バレットがビーストボーグ・パンサー・プレデター融合召喚

先制の効果ダメージを遊矢に与える。

対する遊矢も、早速ペンデュラム召喚で三体のモンスターを呼び出すが、

バレットの発動したトラップにより、攻撃を封じられてしまった。



パンサー・プレデターさえ倒せれば、

厄介なトラップを消滅させる事が出来ると考えた遊矢は、

ダークリベリオンをエクシーズ召喚するが、

これもトラップの対象となり、動きを封じられてしまう。



その頃、地下施設に送られてきたクロウから、アカデミアの襲来を知った黒咲が騒動を起こし。

権現坂と沢渡も、クロウから素良の伝言を聞く。

更に、月影が現れ、零羅の危機を伝えた。

権現坂は柚子を守る為に残り、黒咲と沢渡は地上を目指す。



この混乱に乗じて、遂にシンジ達が反乱を起こす。

管理ルームを押さえ、地下施設の乗っ取りに成功したシンジ達。

ベルトコンベアに乗り、地上を目指す。







サブタイトル通り、コモンズの蜂起と、遊矢のデュエルの回です。

それにしても、シリアスな回なのに、

妙にシュールな笑いを感じてしまうのは、黒咲のせいですね。(笑)



オベリスクフォースを倒した後、興奮状態でディスクを構え続ける零羅を、

遊矢が抱きしめ、「落ち着け、落ち着け」と宥める。

こういう時、こんな風に抱きしめてくれるのは、遊矢だからですね。

そんな人が普段は零羅の身近にいない、というのが、何だか悲しいです。

こうした場面で、果たして、日美香は、零児は、同じように抱きしめてくれるかな?



零羅がたった一人で守ってくれたのだとセレナから聞き、

「零羅、偉いぞ」と遊矢が褒めてくれました。

セレナも「よく頑張ったな」と。

こんな時、零羅の頑張りを褒めてくれる仲間がいて、本当に良かった。



バレットとセレナの再会。

かつて、セレナの異次元行きを引き留めずに、共にスタンダード次元に現れたバレット。

それは、セレナを思っての事ではなく、自分自身が戦場へ戻る切っ掛け欲しさにでしたが。

今回も、プロフェッサーからの命令で、セレナを連れ戻しに現れました。

セレナに対して敬語を使ってはいますが、セレナ個人に忠誠がある訳ではないんですね。



以前のセレナしか知らないバレットは、

今アカデミアに戻れば、前線に立つという望みが叶えられると、

セレナを説得しようとしますが。

アカデミアの真実を知った今、アカデミアには決して戻らない!とセレナは決意を語り、拒否する。



セレナのこの、考えの変わりようと、彼女が言うアカデミアの残忍さを、バレットはどう思ったかな?

戦場を知るバレットにとって、アカデミアの残酷さなど、気にとめる事ではないだろうし。

世間知らずの少女が、真実を知って、これ以上騙す事が出来なくなり、厄介になったと思ったのか?

それとも、立派になられたと、内心感心してくれたかな・・・。



地下施設に連行されたクロウの前に現れたのが、黒咲。

肩にラジカセのようなものを担ぎ、手には鉄くずを入れたバケツを持ってます。

・・・真面目に働いてたんだ、黒咲。

意外です。



そう言えば73話で、地上行きを賭けたギャラガーの手下達とのデュエルは、結局どうなったんだろう?

沢渡、権現坂、徳松達が勝ったのか?

その後、地上に出てこれなかった所をみると、敗北したのか?それとも中断された?



襲いかかる監視員の大男達を、素手で次々となぎ倒す黒咲に、笑いました。

確かに戦場出身者でレジスタンス所属だし、多少腕が立つのも分かりますが。

以前の収容所脱出の時といい、今回といい、かなり乱暴で強すぎです。(笑)

飛んでくるロープ付きの手錠、月影の弾幕、瞬時に敵を倒す黒咲。

ここだけ、雰囲気が5D'sです。



登場当初の、片っ端からLDSを襲っていたあの頃の獰猛さは、今も失われてないんですね。

しかし、なぜリアルファイトでこんなにもイキイキとしているんだ!

本当に、かつてはプロデュエリストを目指してしたのか??

妹の瑠璃は、兄のこういう一面を知ってたのかな・・・。



暴れる黒咲に、権現坂が「アイツ、また何をやっとるんだ」と呆れてました。

こうして暴れるのも初めてじゃない様子。

地下にいる間、ずっと大人しかった訳ではなさそうです。



月影から零羅が一人で戦っていると聞き、「アイツが戦っているのか」と黒咲も驚いてます。

零羅の事も気に掛けてくれていたのかな?

シンクロ次元に零羅を連れて行くと零児が言ったとき、反対したのも、そう言えば黒咲でした。

故郷の子供達の事もあり。

本当は子供に優しい人なんですね。



沢渡が、相変わらず元気です。

暴れる黒咲の後を追うだけなのに、なぜか得意げ。(笑)

「よし、行け!黒咲!」と命令する始末。

父親の権力を利用する事を厭わない沢渡らしいです。

「貴様は一人も倒してないだろ」と、とうとう黒咲にツッコまれてます。



ロッコに乗って現れたギャラガーをそのまま真顔でスルーして、電撃柵に直撃させたり。

大勢の捕縛隊に囲まれ、一時はどうなるかと思いましたが、

シンジ達がベルトコンベアを動かして、助けてくれました。

ギャラガーの禁止カード満載レアカードデッキのデュエルも見てみたかったな。

DC227も、仲間を連れてギャラガーに襲いかかって来ます。

以前はギャラガーの子分にボコボコにされて惨めでしたが、今は元気そうで良かった。(笑)



シンジが地下施設で働くコモンズ達にマイクで呼びかける声を聞く面々の中に、

炎城ムクロの姿も!58話以来ですね。

地下デュエル場で黒咲に敗北した後、ここに送られていたのか。



シンジの管理ルーム制圧に協力したのは、徳松の子分の二人組だった。

ここで徳松が合流し、子分達の真相を知る。

ギャラガーの子分となり、地上行きを賭けたデュエルに参戦したのは、

やはり徳松の為だったのか!



このシンジの革命は、一体どうなるのか?

革命が成功した所で、すぐに理想の世界か築けるはずはなく。

更なる混乱を引き起こすだけだと思うのですが。



そして何より、今地上では、セキュリティとアカデミアの対立が。

事情を知ったら、セキュリティと手を組み、この次元を共に守るのか。

それとも、アカデミアに加勢して、ロジェと評議会を倒すのか?

或いは、どちらにも付かず、混乱に乗じてシティを乗っ取り、

トップスを追い落とすだけなのか?

それだと、防衛体制を失った隙に、アカデミアに侵略されてしまいそうですが・・・。

シンジは、どの辺りまで先の事を考えているんだろう。

零児の様に、冷静に先を読んで動く事が彼に出来るのか?



遊矢とバレットのデュエル。

最初に遊矢がドローしたのは、「スマイル・ワールド」。

送り出してくれた母・洋子のメッセージが込められたカードですが。

今はセレナを守る事が先決だと、ペンデュラム召喚を行う。



ここで遊矢は、エンタメデュエルを諦めています。

確かに、エンタメできるような状況ではありません。

しかし、以前は素良やユートのデュエルを見て、

デュエルを戦争の道具にする事をあれ程嫌っていた遊矢が、

今は戦いの道具としてデュエルをしてしまっている。

この事が、後で遊矢を後悔させる事にならなければ良いのですが・・・。



誰かの危機に関与しないデュエルであれば、

遊矢の心に焦りがなく、余裕があれば、エンタメ出来る。

でもそれでは、敵も味方も笑顔にする理想のデュエルには、程遠い。

遊矢のデュエルは、これからどうなっていくのか?

このままでは、仲間を守りたい思いから、

笑顔ではなく、強さを求めていってしまいそうです。



柚子は、たった一人で遊矢に会いに行こうとしていたんですね。

子供達や仲間に心配をかけてしまって、あまり感心できる行動ではありませんが。

ブレスレットが伝える遊矢の危機が心配で、いても立ってもいられない様子。

普段ストロングで強気な彼女が、ここまで思い詰める程に、

遊矢の事を強く想っているのが分かります。

遊矢を心配する柚子の表情が、とてもヒロイン的です。



革命を起こすコモンズ達の群衆に飲まれ、権現坂と引き離された柚子。

地上へと向かう黒咲に、拳で合図を送るクロウ。

一緒に見送る子供達。



クロウはシンジとは親友ですが、ここでは革命に参加しないんですね。

子供達がここにいる以上、危険に巻き込む訳にはいかないし。



前々作の遊戯王5D'sのキャラクターである、ジャックとクロウが、

ここまでの所、いい仕事をしています。

現行主人公とその仲間達に良い影響を与え、励まし、サポートしてくれている。

こうして新旧のキャラが仲良く活躍してくれる姿を見ていると、

胸にこみ上げてくるものがあります。



旧作のキャラのイメージが損なわれるのではないか?と、当初は心配する声もありましたが、

全くの杞憂でした。

現行キャラの引き立て役や噛ませ役にされる事もなく。

ちゃんとキャラの魅力を引き立てる展開になっているのが嬉しいです。



5D'sとの性格の違いも面白く。

特にジャックは、5D'sではコミカルな面を見せていましたが、ここではそれは一切ありません。

王として君臨する、孤高のヒーローといった感じが、かっこいい。

ジャックにしても、クロウにしても、育つ環境が違っていたら、仲間との出会いが無かったら、

こうなっていたのか・・というのが興味深いです。





柚子と権現坂が再会したシーンのBGMがドラマチックでいいな。



作監:Lee Sung-jin・Lee Seok-yun)

(脚本:田村竜)