遊戯王ARC-V  第85話

第85話「水晶の翼」



続くセレナとユーゴのデュエル。



ユーゴはクリアウィングの召喚を成功させたが、

攻撃力ではセレナのパンサー・ダンサーの方が上。

二度目のパンサー・ダンサーの攻撃に、ユーゴがトラップを使い、

ダイスロールを成功させ、クリアウィングの攻撃力を上げた。



ここでまたコースが変更され、セレナは手に入れたアクションカードで、

パンサー・ダンサーを破壊から守る。



ユーゴがSR(スピードロイド)パチンゴーカートを召喚。

その効果でパンサー・ダンサーの破壊を宣言するが、

パンサー・ダンサーは効果では破壊できない。

だが、ユーゴの狙いは他にあった。

ここでクリアウィングの効果を使い、パチンゴーカートを破壊し、

その攻撃力を得たクリアウィングが、パンサー・ダンサーとバトル。



今のセレナには、打つ手はない。

セレナを勝たせようとするロジェが、再びコースを変更するが。

この変更が偶然ではなく、何者かの意図だと感じ取ったセレナは、

コース上のアクションカードをスルー。

パンサー・ダンサーはバトルで破壊される。



セレナがトラップを使い、二枚のペンデュラムカードを手に入れ、ペンデュラム召喚。

三体のムーンライトモンスターと、セットさせたペンデュラムカードのペンデュラム効果で、

融合召喚し、ムーンライト・ライオ・ダンサーが現れる。



セレナが逃したアクションカードを使い、バトルでの破壊を免れるクリアウィング。

さらに、ライオ・ダンサーの効果による破壊を、クリアウィング自身の効果で無効化し、

逆にライオ・ダンサーを破壊しようとするが、ライオ・ダンサーもまた、その効果を受け付けない!

だが、ユーゴがカウンタートラップを使い、見事、効果によるクリアウィングの破壊を防いだ。

ライオ・ダンサーの二度目の攻撃を受け、クリアウィングは破壊され、LPを大きく削られたユーゴ。



ユーゴのターン。

墓地のモンスター効果を使い、チューナーの赤目のダイスを蘇らせ、シンクロ召喚

クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴンが現れる。

相手の攻撃力を加えたクリスタルウィングの攻撃で、ライオ・ダンサーを破壊し、ユーゴが勝利する。







セレナが初めて、デュエルでの楽しさを知る回でした。

いつもキリッとした、凜々しく険しい表情のセレナが、

楽しそうに笑顔でデュエルする姿がみれたのが、嬉しかったです。



「デュエルでみんなを笑顔に、か。

 (遊矢、お前の言っていた事、今なら少しわかる)」



セレナが、遊矢の理想を理解し始めました。

今までセレナは、デュエルで笑顔をの意味を理解していなかった?

そう言えば、セレナは遊矢のエンタメデュエルを、ちゃんと見たことがないような・・・。



セレナが初めて見た遊矢のデュエルは、バトルロイヤルでの素良戦。

その後にボロ負けした零児戦。

エンタメを思い出させてくれたレディース総長、流れ星のヨーコ戦をセレナは見ていません。

シンクロ次元でセキュリティに追われながらのデュエルは、相手を笑顔に出来るような状況ではなかった。

収容所での遊矢のデュエルは見ていないし。

大会で見たのは、ジャック戦、DC227戦、シンジ戦、いずれも遊矢はエンタメできていません。



なるほど、こうしてみると、

遊矢が上手くエンタメできたデュエルを、セレナは見たことがない。

だから、遊矢の言うエンタメデュエルを理解出来なかったんですね。



今回は、直接遊矢のエンタメデュエルを見た訳ではありませんが、

遊矢がシンクロしたユーゴを通して、エンタメを少し理解してくれたようです。



一方の遊矢は、ユーゴの意識と同調して、ユーゴのデュエルを体感する。

ユーゴが楽しそうにデュエルするから、シンクロしている遊矢も楽しそうです。

こんな活き活きした遊矢の笑顔を見るのも、久しぶりですね。

思えば、大会が始まってからは、遊矢は楽しくデュエルをしていません。

人を楽しませるなら、まずデュエルする遊矢本人がデュエルを楽しまなくていけない。

ユーゴとのこの同調は、遊矢にデュエルの楽しさを思い出させてくれた、かな?



それにしても、対戦相手に恵まれなかったとは言え、

自分のデュエルではエンタメ出来ず、

シンクロしたユーゴのデュエルではエンタメできてしまうなんて、何だか皮肉ですね。

どんなピンチでもそれを楽しめる。そういうユーゴの長所が、

遊矢には足りなかったのかもしれません。



ことある毎にリンリン言っている今回のユーゴ。

柚子相手には、これ程リンを重ねてはしゃぐような事は無かったように思えます。

描写は無かったけど、実はスラムの施設で一緒に過ごす日々の中でも、

柚子もリンリン言われていたのか?

それとも、性格的には柚子よりセレナの方が、リンに似ていて強気だったからか?



「おいおい、運が良いな。

 ピンチになるとコースが変わって、アクションカードをゲット出来てさ。」

と、コース変更の不自然さを揶揄するユーゴ。

睨むセレナに、このコース変更が本人の望んだものではない事を、感じさせます。



睨まれたユーゴが慌てて

「あ、いやいや!俺はそういうのもいいと思ってんだけどさ!」

と弁解してます。

いいとは思ってないけど、セレナに睨まれる(嫌われる?)のは、嫌なのかな?

セレナが不正に関わっていると頭から疑ったり、その事で彼女を強く責めたりはしないんですね。

女の子には優しいユーゴです。



「仕組まれたチャンスなど、手にする必要はない!」

セレナが変更されたコース上のアクションカードをスルーしました。

予想通り、デュエリストとしてのプライドのあるセレナは、

誰かの思惑で勝つ事をよしとしない。

チャンスを逃してピンチになろうと、正々堂々と勝負をする。

とてもセレナらしいです。



「そいつは違うぜ、セレナ。

 いついかなる時でも、どんな状況でも・・。

 目の前にチャンスがあれば掴め!

 お前とそっくりの幼馴染みによくそう言われて、怒られたよ。」



またセレナを諭すような口調で言ってますね、ユーゴ。

過酷な環境で育ってきたからこその考え方、なのかな。

たとえ仕組まれたチャンスであっても、相手がそれを手放すなら、

自分がそのチャンスを手にして、何としても勝ち上がる。

そういう強い意志を感じます。

しかし、ユーゴが逆の立場だったら、どうするのかな?



前回と今回と、ユーゴが回想するリンはどれも、ユーゴを叱咤し、導いてます。

調子に乗らない事、諦めない所が長所である事、チャンスは必ず掴む事。

何だか、リンはお母さんと言うより、ユーゴのデュエルの師匠みたいですね。(笑)

テクニックではなくて、精神面でユーゴを教え導き、支えているようです。



運任せの遊びのデュエルなど私はしない!と言い切ったセレナ。

アカデミア育ちのセレナは、勝つ為のデュエルしか知らない。

デュエルを楽しんだ事がないのが、その台詞からもうかがえます。



これ以降、コース変更をしなくなったロジェ。

もはやセレナが自分の思い通りにはならないと悟ったのでしょう。

自分の思惑通りに動かせない駒なら、必要無いと見切ったのかな?



ロジェは一体、何を企んでいたのか?

対戦の組み合わせを見るに、次の試合は遊矢vsクロウに決まっていて、

その後はセルゲイと、今回のデュエルの勝者。

ここでセレナを勝たせておいて、次のデュエルでセルゲイと対戦させ。

人気のセレナを酷くいたぶって惨敗させた憎きセルゲイを、決勝戦で遊矢が下し、

遊矢の人気を盛り上げる・・・。

というような筋書きだったのかな?



セレナのペンデュラム召喚は今回が初めてだったかな?

ちゃんとセレナのデッキテーマ、ムーンライトのペンデュラムカードです。

零児がそれぞれのデッキテーマに合わせたペンデュラムカードを作って渡したのかな?



「(なぜだ?なぜこんなにも気持ちが高揚している?

  胸が高鳴る。これは一体・・・?)」

デュエルパレスに戻ってきたセレナとユーゴを、観衆の声援が出迎える。

この時、初めてセレナの表情に変化が。

驚いて呆然としてます。

セレナがこれ程の声援を受けるのは、多分彼女の人生でも初めての事。



これを切っ掛けに、

デュエルの楽しさ、だけでなく、観客の声援を受ける事の快感、

デュエルを見る者も一緒に盛り上げていくエンタメの面白さ、にも目覚めて、

いつかセレナも進んでエンタメデュエルしてくれる日がくるといいですね。



観客の声援を受けたユーゴ。

「待てよ?こういう時、何か言う事があったような・・・。」

ユーゴはまだ、自分に同調している遊矢の影響を受けている事に気付いていません。

そして、遊矢を知っているセレナが、それに答える。

セレナ 「レディース エンド ジェントメーン!」

ユーゴ 「それだ〜〜〜!」

二人とも、とても楽しいそうです。



セレナのテーマ、ムーンライトモンスターはどれも前髪や仮面で顔が隠れるデザインですが、

今回登場したライオ・ダンサーは、仮面が割れ、素顔が現れる描写があります。

これが真打、という証拠かな?



「おかげでこのデュエル、楽しめる。」と自分で言った後に

「(楽しむ?私がデュエルを?)」と、セレナが驚いてます。

初めて気付く、デュエルの楽しさ。

自分のこの変化に、彼女自身も動揺しています。

アカデミアという狭い環境で育ったセレナが、外の世界に出て、

様々な人と出会い、いろいろな経験をして、

影響を受け、成長していく姿を見るのが見ていて嬉しいです。



ライオ・ダンサーの効果による破壊を、まずはクリアウィングの効果で、

その後でトラップで防ぐ、という、効果発動の順番で、

ユーゴの巧みな戦術を見せてくれました。

ユーゴは普段、脳天気なようでいて、実はデュエルではとても賢い。



ヘルメットを脱いだセレナが、笑顔で「楽しかった」と言ってくれました!

こんな笑顔、初めてですね。



笑顔で握手を交わすユーゴとセレナ。

「健闘を祈る」というセレナの笑顔に、感極まって、またリンリン言うユーゴが楽しい。(笑)

セレナがリンじゃない事は分かっていても、よく似た彼女の笑顔を見たら、

リンが恋しくて仕方がない、という感じでしょうか?



リンではないと分かっていても柚子やセレナに抱きつこうとする、この癖は、

ある意味、気安く相手に甘えられるユーゴだから、なのかもしれません。



しかし、女の子に飛びつくなんて、けしからん奴ではありますが。(笑)

そういう「甘え」を許してくれない相手だと分かっていて、わざとやってる??



さて、敗北したセレナはどうなってしまうのか?

ロジェはセレナへの興味を失ったようだし、このまま地下送り?

地下にはランサーズの仲間がいるから、大丈夫かな。

もしかしたら柚子とも再会する?



デュエルを終えたユーゴに、突然、異変が。

それは、デュエルパレスの屋根の上で、このデュエルを見ていたユーリの影響か?



同調が解かれた遊矢の方には、ユーリに対する影響は出ていないようです。

これまで、遊矢とユーゴは隔離されて、

ある程度距離を置いてたから、お互い反応しなかったのかな。



ユーリの登場は、ユーゴと遊矢に、どんな変化をもたらすのか?

ユーリもまた、遊矢とユーゴのどちらかにシンクロしたりするのか?

或いは、ユートの時のように暴走するのか?



ユーリは自分と似たユーゴを見て、どう思っただろう?

ユーゴは、このユーリがリン誘拐犯だと気付くかな?



ユーゴが勝利した瞬間、包囲されていた零児と零羅の表情が変わる。

何か起きた?





頭と手が大きめ、体小さめの頭身バランスが特徴的?

デュエル後、セレナを握手を交わすユーゴの動作、一瞬小首を傾げる仕草が、かわいい。





作監:宍倉敏)

(脚本:広田光毅