遊戯王ARC-V  第84話

第84話「運命のダイスロール」



ユーゴとセレナのデュエルが始まる。



スタートで出遅れたユーゴだが、リン似のセレナを見て、浮かれる余り加速し、

先攻を取って、モンスターを召喚しただけでターンエンドしてしまう。



カードを伏せないユーゴに呆れつつ、セレナがキャットダンサーを融合召喚

キャットダンサーは二回の攻撃を可能にし、しかも一度目は相手モンスターを破壊しない。

二度の攻撃を受け、場のモンスターは破壊され、ユーゴは大ダメージを受けてしまう。



リンの言葉を思いだしたユーゴが、本気を出し始める。

HSR(ハイスピードロイド)快刀乱破(らっぱ)ズールをシンクロ召喚し、

攻撃力を上げてバトルを仕掛けるが。

その時、突然コースが変更され、

ユーゴは危うくレーンに衝突しそうになるも、何とか切り抜ける。

セレナは変更となってコース上でアクションカードを手に入れ、ズールの攻撃を回避する。



セレナはムーンライト・パンサー・ダンサーを融合召喚

ユーゴはズールの攻撃力を上げ、ダメージ軽減を狙うが。

パンサー・ダンサーにはキャットダンサーと同じ効果が。

一度目の攻撃で破壊されずに残ったズールを、パンサー・ダンサーの二度目の攻撃が襲う。



ピンチのユーゴがアクションカードを狙うが、またもコースが変更されてしまう。

追い詰められたユーゴが、トラップ、リサイコロを発動。

振ったサイコロの目が3なら、クリアウィングをシンクロ召喚出来るチャンス。

しかし、3以外なら、自分フィールドのモンスターを全て破壊するリスクが。

一か八かの勝負にでる。



見事、ダイスロールを成功させ、クリアウィングをシンクロ召喚したユーゴ。

その時、ユーゴの意識に同調した遊矢が、ユーゴと同じ景色を目にする。

ユーゴ「お楽しみは・・・これからだ!」







ユーゴ vs セレナの前編。

久しぶりにコミカルな回です。



異次元へ行く手段がないならリン探しはひとまず置いておいて、

今はフレンドシップカップでの優勝を目指すユーゴ。

現実的に割り切って考えて、目の前の事に集中できるキャラです。

遊矢と比べると、少し薄情にも見えましたが、

今回はリンリン!と、ユーゴのリン大好きぶりを披露してくれました。



別にリンの事を忘れていた訳ではなく。

しかし、遊矢の様に彼女を思って落ち込んだりはしません。

リンを心配していないのではなくて、必ず無事だ!と強く信じている。

離れていても、あいつなら俺を励ましてくれる!と思える。

ユーゴとリンの二人の絆の強さを感じさせます。



同じ幼馴染みで絆の強い、遊矢と柚子の関係とは、少しだけ違うんですね。

それは、遊矢とユーゴの性格の違いもありますが。

もしかしたら、柚子とリンの性格の違いも影響しているのかな?と思いました。



普段は明るく元気な柚子ですが、

遊矢と離れると心細さで泣いてしまったり、ピンチに陥ると遊矢を求めたり。

遊矢の前では強がっていても、本当は遊矢をとても頼りにしている。

そういう柚子の弱さを、実は遊矢はよく分かっていて、

だから、これ程柚子を心配してしまうのかな、と。



逆に、ユーゴがそれ程リンを心配しないのは、

離れた位でメソメソしない、ピンチになっても一人でも立ち向かえる、

リンはそういう逞しい性格の子だから、なのかもしれません。



落ち込んだ遊矢は、柚子のデュエルを見て励まされますが、

ユーゴはリンが居なくても、その笑顔を思い出すだけで元気になれる。

そういう所にも、二組の関係性の違いがみられるような気がします。



「リン、そして天国の柚子。

 このデュエル、お前達の為に必ず勝つ。見ていてくれ。」



まだ柚子の無事を知らないユーゴは、柚子を死んだと信じ込んでます。

あのビル衝突のシーンを見れば、無理もありませんが。

すぐに諦めが付くのも、シビアな世界で生きてきたユーゴだからでしょうか。



ここで、リンだけでなく、柚子の事もちゃんと思い出してくれるユーゴ。

はじめは無邪気に観戦していたユーゴですが、

柚子vsセルゲイ戦後からは、笑顔が消えてます。

柚子の死を重く受け止めているのが分かります。

それだけ柚子の事を、大事な友達として思ってくれていたんですね。



夕日を見つめ

「俺の心は今、熱く燃えているぜ。」などと言って、格好つけていた冒頭のユーゴ。

セレナの顔を見た途端に、コミカル顔になる所が、楽しい。(笑)



「リーン!」と抱きつこうとするユーゴを、「寄るなぁ!!」とパンチで吹き飛ばすセレナ。

柚子と初めて出会った時も、リンと勘違いしていきなり抱きついてきたユーゴですが、

ここでも同じ事をしています。



果たしてリンは、感動の再会でユーゴのハグを許してくれるような子なのか?

それともセレナ同様に、いきなりハグして来たら殴るような子だったのか??

何しろ手も繋いだことがない二人ですから。

殴られる事を承知で、ハグしようとする癖がユーゴにはあったのかもしれません。

本当にリンと再会する時が来た時も、ユーゴはやはりハグしようとするのかな?



一方のセレナも、いきなりパンチ。(笑)

デニスの馴れ馴れしさをスルーするセレナですが、

ユーゴのような相手にも、やはり厳しいんですね。

こんな風にスキンシップを求められるのは、セレナとしては初めてなのでは?

柚子の様に戸惑ったりしない辺り、とてもセレナらしい。



観客から「俺のセレナに手を出すな!」と怒号が飛ぶ。

これだけセレナに人気があるのは、前回のトニー戦で見せたデュエルの強さ、だけではなく、

その容姿の可愛さもある様です。



ユーゴの回想をみると、柚子が来ていたライダースーツとヘルメットは、

リンのものだったのが分かります。

白とピンクを基調に、下はシュートパンツ風になっているデザインがかわいいです。



諦めの悪いユーゴが、「ほんと、リンじゃねえの?」とセレナに詰め寄ります。

急接近してきたユーゴに、セレナも驚いたらしく。

「顔がちか〜い!!」と、またパンチ。(笑)

柚子に対してもそうですが、出会って間もない相手にも、平気で顔を近づけてくる、

このユーゴの気安さ、いいですね。

流石のセレナも、ここだけ僅かに頬が赤いです。



セレナの横顔を見て、リンを思い出すユーゴ。

「人の顔を見てニヤニヤするな!気持ち悪い奴め。」と言いつつ。

沢渡とのデュエルを評し、「期待しているぞ。」と言うセレナに言葉に、

リンを連想したユーゴが浮かれて加速。

先攻を取ってしまう。



ユートや、セキュリティ、沢渡相手には、クールで真面目にデュエルするのに、

リン似のセレナ相手だと、調子が狂うようです。

それ程までに、リンの事が大好きなんですね。

リンではないと分かっていながらも、冷静ではいられない。



セレナの融合発動に、ユーゴが

「ユウゴウじゃねえ!ユーゴだ!」と、また例の台詞を言ってます。(笑)

これも久しぶりです。

相変わらず、融合と聞き間違えてます。

「私のターンだ!黙って聞け!!」と怒鳴るセレナに、ユーゴもタジタジです。



回想の中で、調子に乗って足下をすくわれると、リンに怒られていたユーゴ。

スラムのデュエル大会で、敗北した事がある様です。

ユーゴの手にする参加賞のタオルの束が、何とも庶民的なコモンズらしい。(笑)



リンが側に居なくても、

リンの叱咤を思い出すだけで、目を覚まし、本気モードに切り替わるユーゴ。

リンとの絆の強さをうかがわせます。



荒々しさの中にも、凜とした品の良さがある、とセレナのデュエルを評するトップスの観客。

そのデュエルは、セレナの性格そのものでもあります。



セレナはユーゴのデュエルを「穴だらけ」だといい、

対するユーゴはセレナのデュエルを「どこかお行儀が良すぎんだ」と。

セレナのトニー戦を見て、そう評したのかな?

「筋道なき戦略に勝利などない!」と言うセレナ。

「デュエルってのは、そうキチキチやるもんじゃねえんだよ。」と言うユーゴ。

デュエルにあらわれてしまうデュエリストの性格、それぞれのデュエルに対する考え方の違いを、

お互い感じているようです。



突然のコース変更に対応する為、咄嗟にオートパイロットを切り、

レーンへの衝突を回避するユーゴのテクニックも見せてくれました。

ハプニングに対応するDホイーラーの機転と腕前も、ライディングデュエルの見せ場ですね。



「こんな風に道ってのはいろいろかわるんだぜ。」と笑顔で言うユーゴ。

その無邪気さ、屈託のない笑顔に、ユーゴの人の良さを感じます。



ユーゴがズールの効果を再び発動した時、

「当然そう来ると分かっている。」と言い、ニヤリとするセレナが、かっこいい!

女の子だけど、イケメンですね。



パンサー・ダンサーの二度目の攻撃を前に、

「あ、いや、ちょっと待ってくれ!」と言うユーゴ。

スピード勝負のライディングデュエルで、テーブルデュエルと同じように、

チョット待って!があるのが、何だか面白い。

素直に待ってくれるセレナも、優しいです。



今回のデュエルでは今までに無かった程、ユーゴが珍しく焦ってます。

「どうやら、俺もここまでのようだな。すまねえ、リン・・・。」などと言ってしまう。

ここまで追い詰められる事は、滅多に無いのかな?

セレナが優秀だからなのか、序盤で本気を出せなかったユーゴのせいなのか。



リン「いつまで悩んでるの!

   もう、ほんとにユーゴって諦めが悪いんだから。」

  「でも、その諦めの悪い所があんたの最大の強みでもあるのよね。」



回想シーンのリンが着ているあの服は、

以前お風呂上がりの柚子が着ていたものですね。

ライダースーツ同様に、リンの服を借りていたのが分かります。



幼馴染みで、共にデュエルで切磋琢磨しながら育った、という所、

遊矢と柚子、ユーゴとリンは似ていますね。



トラップ、リサイコロを発動させたユーゴに、

セレナは「運に頼るデュエルなど、遊び同然だ!」と一蹴しますが。

「だから、楽しいんだよ!そいつがデュエルの醍醐味ってもんだ!」

とユーゴが答える。



思えば、アカデミアで戦士として教育を受けてきたセレナは、

戦う道具としてのデュエルしか知りません。

相手の意表を突いて驚かせたり、一か八かの勝負に出たり、

デュエルを楽しむ、という事を知らない。

そんなセレナに、ピンチでも楽しそうにデュエルするユーゴの姿は、

どう映ったのかな?



「こんな風に道ってのはいろいろかわるんだぜ。」

「だから、楽しいんだよ!」

デュエルの戦術の意外さや楽しさを伝えようとするユーゴのこの台詞が、

セレナを諭しているようにも聞こえます。

セレナの今後のデュエルに、いい影響を与えてくれそうです。

いつの日かセレナも、デュエルを「戦いの道具」としてではなく、

ユーゴのように勝負を楽しめるようになる日が来るといいな。



あまりにも都合良くコースが変更され、

観ている全員がその異常さに気付いています。

ここまであからさまだと、観客も気付かないはずがなく。

遊矢の件もあり、セキュリティは更なる不信を招いてしまうのでは?



セレナもこの不正に気付きそうな気がしますが。

だとしたら、セレナはどうするかな?

自分を勝たそうとする大会運営に、大人しく従う・・・とは思えません。

プライドの高い彼女なら、勝っても負けて納得しないでしょう。

或いは、あえて運営の思惑に反するよう、自ら敗北を選ぶか?



そして、気になる、ユーゴと遊矢のシンクロ。

今回で二度目です。

遊矢がシンクロするタイミングは、ユーゴがクリアウィングを呼ぶ時、かな?

今回もオッドアイズのカードの輝きから、同調が始まります。

この意識のシンクロは、二枚のドラゴンのカードが引き起こしているようですが。

ドラゴン同士が共鳴するだけでなく、持ち主の意識を同調させてしまうのは、なぜか?



遊矢のデュエル中には、ユーゴとのシンクロは起きず。

ユーゴのデュエル中にだけ起きるのは、なぜか?

同調した遊矢は、異変に気付いていますが、

「お楽しみはこれからだ!」と口走ったユーゴの方は、

自分が遊矢の影響を受けている事に気付いていません。

これは一体??





ユーゴのデッキテーマ、ハイスピードロイドは、

懐かしいオモチャのモチーフのモンスターですが、

今回登場した快刀乱破ズールは「乱破」(忍者)と「パズル」を掛けたのかな?



セレナの応援するコモンズが「痺れちゃう〜!」と言ってましたが。

あれはシンクロ次元のフトシ??(笑)



リンの叱咤を思い出して、「わあったよ、うるせーな…」と一人呟くユーゴの声、演技。良かった。





作監:Lee Sung-jin・Lee Seok-yoon)

(脚本:広田光毅