遊戯王ARC-V  第83話

第83話「師弟の絆」





セキュリティに囲まれてしまった柚子とフランク、タナー、アマンダの四人。

このピンチに駆けつけ、四人を救ったのは、素良だった。

柚子にデュエルディスクを渡し、融合召喚した二人のモンスターが、

セキュリティのゴヨウモンスター達をなぎ倒す。



ロジェは遊矢に対し、セルゲイ同様に人格操作を行うよう、部下に指示を出していた。



遊矢を助けに行きたい柚子を止める素良。

そこに月影が現れ、兄の敵を討とうとするが、

素良は自らの決意を語り、必ず遊矢を連れてくると約束する。



そして、夕刻せまるデュエルパレスでは、本日最後の試合、

セレナとユーゴのデュエルが始まろうとしていた。







いつもの、デュエル合間の情報整理と状況進展の回。

サブタイトル通り、柚子と素良の師弟の絆が描かれてます。



仲の良い素良と柚子がとてもかわいい。

柚子は素良に対して年上として偉そうに振る舞う事はなく、

逆に融合を教えて欲しいと頼んだり、ピンチを救われたり、

素良を頼りにしたりしています。

素良の方も、年下として柚子に甘えるような事はなく、

弟子として、友達として、柚子を大事にしている。

年下を可愛がる年上のお姉さんと、それに甘える年下の少年、

という一般的な関係とは全く逆で、面白いコンビですね。



今の素良はまだ、アカデミアに決別し、離反する事が出来ずにいる。

それでも、以前自身が言った言葉、

「友情より大切なものがある」という言葉を否定し、

こうして遊矢と柚子の為に動いてくれている。

素良の中で「友情」>「アカデミアへの忠誠」となっているのは明白です。



曖昧なままで、事態が丸く収まるはずがなく。

いずれは決断を迫られる時が来る事は、素良にも分かっていて。

いつか覚悟を決めて、アカデミアと決別してくれる日が来ると信じています。





高所から飛び降りるアマンダ達と柚子。

アクションデュエルで鍛えた身軽な柚子なら、この位平気かな?と思いましたが、

流石に二階くらいの高さは辛い?



セキュリティに包囲された柚子を、デュエルで救った素良。

そういえば、素良のデュエルディスクは、零児の改造を受けてません。

だから乱入ペナルティーのダメージはないのか。



素良 「さあ、踊れ、マッド・キマイラ!

    舞え!ブルーム・プリマ!

    脇役共を全て消し去れ!

    ここはお前達だけの舞台だ!」



この台詞が、かっこいい。



キラキラと輝く舞踏会で、向かい合ったデストーイ・マッド・キマイラと

ブルーム・プリマが笑顔で優雅に踊り、

最後はプリマの小さな手が、キマイラの大きな爪の先端を握り、

手を繋ぐ所が、何ともメルヘンチック。

柚子と素良の仲の良さを現しています。



柚子の確保を指示するロジェ。

柚子が素良の手に渡れば、当然、アカデミアに連れ去られると考えています。

素良と遊矢達の友情を、ロジェは信じていない。



フランク達に何者かと問われ、答えに詰まる素良に、すかさず

「私の師匠よ!」と紹介する柚子。

気が利く優しい子です。

紹介する柚子の自慢げな態度がかわいい。



素良との会話で、自分を探しに来た遊矢がセキュリティに捕まった事を知り、

私のせいで・・と自分を責める柚子。

その頃、独房で、柚子の身を案じていた遊矢。

会えない二人がお互いを想う気持ちが、切ない。



素良はアカデミアと決別したんでしょ?と柚子に問われて、

「いや、僕は今でもアカデミアだ」と否定する素良。

例え友情があっても、自分がアカデミアである事に変わりはない。

「アカデミアに育てられた僕は、

 ずっとアカデミアのデュエル戦士として生きていくしかないんだ!

 その運命からは絶対に逃れられない!」

アカデミアの呪縛は相当強いようです。



これ程までにアカデミアに縛られてしまうのは、何故か?

セレナの場合は、アカデミアの残酷さを知らずに居たからこそ、

真実を知り、決別する事が出来たのですが。

アカデミアの残酷さも知っていて、その上で受け入れ従っている、

素良を始め、デニスもユーリも、アカデミアを裏切る事はないのか?



柚子が素良を最後に見たのは、舞網チャンピオンシップでの黒咲戦。

その後のバトルロイヤルでの遊矢と素良の確執は知らないんですね。

素良がアカデミアであっても、柚子の中では、遊矢と素良の友情は変わっていない。

だから、今もこうして、素良を強く信じている。



柚子 「あなたはもう、アカデミアじゃない。

    これ以上プロフェッサーの手先になって悲しむ人を増やさないで!」



その言葉に気付かされ、構えていたデュエルディスクを下げる素良。

「悲しむ人」というのは、当然、柚子や遊矢、そしてスタンダード次元で出会った人達。



月影に対して素直に謝罪し、遊矢を連れ戻した後なら、自分を好きにして構わないと、

その決意の強さを見せます。

アカデミアに離反する明確な意志はまだみられませんが、友情に殉じる覚悟はあるようです。



セキュリティが柚子を追っている事実から、

セキュリティがアカデミアと繋がっていると推測する素良。

そうなると、柚子に遊矢を探させる訳にはいかない・・・。

だから、月影に柚子を匿うよう頼み、自力で遊矢の救出を。

素良が間に合えば、遊矢が改造手術を受ける前に救出できるのか??



月影の登場で、素良の決意を聞き出す事が出来ましたが。

月影は本心で、兄の敵を討とうとしていたのかな?

影で二人の会話を聞き、事情を察した月影が、素良の真意を確かめようと、

わざと問いただしたようにも思えました。

復讐に捕らわれずに、素良の決意を受け入れてくれた月影も、いい奴です。



月影が柚子と子供達を匿う場所とは、地下施設?

敗者が地上に戻ろうとしのぎを削る、危険な場所だと思うのですが。

デュエルさえしなければ安全かな?

そこで権現坂や黒咲達とも合流できる?



月影と出会った事で、情報交換し、セキュリティにより評議会が制圧され、

シティが既に混乱の中にある事を素良達も知りました。

地下組が上手く脱出して、混乱をかいくぐり、地上で合流できたら良いのですが。



「弟子が師匠を信じない訳ないでしょ?」と言って、

融合召喚のポーズをとってみせる柚子と、

「もう、全然ダメダメ。肘はもっと、こう!」とポーズの見本を見せる素良。

このやり取りが、とても和やかで好きです。



遊矢を取り込めなかったロジェは、なんと、遊矢の人格操作を企んでいた!

脳内にチップを埋め込む手術がたった一晩で出来てしまうとは、凄い技術です。

セルゲイもセキュリティの部下達も、こうして操っていたのか。



次のセレナとユーゴの対戦にも興味を示すロジェ。

ロジェの思い描く計画の駒の中に、セルゲイと遊矢、そしてセレナの姿が。

ロジェはセレナをも取り込もうと企んでいる?

大会でのセレナの人気とその強さに目を付けたのか?

「全シティ住民の希望の星」に、セレナを??



明日の対戦も決まっているらしく。

第一試合は、遊矢vsクロウ。

遊矢の人格操作術は完成してしまうのか?

クロウは遊矢とトップスの繫がりを疑ったままですが、果たして誤解は解けるのか?

クロウにも、この社会を変えたいという強い願いがあり、どちらも負けて欲しくない試合です。



そうなると、明日の第二試合で、セルゲイと対戦するのは、セレナかユーゴ。

セルゲイに痛めつけられるセレナは、出来れば見たくない所です。



柚子は相変わらず、真面目な子ですね。

今こうしてアカデミアとセキュリティに追われる身なのに、

安全な元の次元に一人で戻るという素良の提案を拒否してしまう。

みんなと一緒に帰ると約束したから。友達を見捨てられない、と。



「遠い世界の自分には関係のないことだと思うか?

 だが、君の目に見えることだけがすべてじゃない。

 見えないところではさまざまな事が起こっているんだ。」

というのは、以前ユートが遊矢に語った台詞です。

平和な世界で暮らしていれば、ハートランドの惨劇など、遠い世界の事のように思えて当然だし、

それを聞かされた所で、「巻き込まないでくれ!」と思うのが普通です。



ですが、柚子は黒咲が素良戦で語った話を、ユートの言葉を、重く受け止めています。

自分の身の危険を顧みず、追っ手を引きつける役を買って出て、セレナに真実を知らせようとしたり、

セキュリティに追われる身にも関わらず、次元戦争の脅威を伝えようとしたりします。

そして今も、危険を承知で、遊矢を助けたいと言いだし。

一人で安全な場所に帰る事を拒否してしまう。

いつも人の為に一生懸命で。見ている方が心配になってしまう位に。



そもそも、柚子がここまで積極的に次元戦争に関わろうと思った切っ掛けは、

ユートとの出会いがあったから。

自分を守ってくれた人が、戦いに巻き込みたくないと言う。

それ程に次元戦争は恐ろしく残酷で。

その脅威を見過ごせないと、柚子は思ったんでしょうね。

ユートの優しさ、真剣さが、柚子の心を動かしたのかもしれません。





融合のポーズ、よく見ると、

素良は左手の拳を右手で覆う形、

柚子のは左右の手の指を交互に組み合わせる形で、微妙に違うんですね。

この違いは何か意味あるのかな?



ブルーム・プリマが攻撃力を上げる効果が発動した時、にっこり微笑む仕草もかわいい。

後半は強弱の強い線、整ったキャラ顔。

デストーイと幻奏が踊るシーンの演出はアイディア的にも絵的にも面白い。



作監:白石悟・飯飼一幸)

(脚本:上代務