遊戯王ARC-V  第82話

第82話「究極の隼vs黒羽の雷」



クロウと黒咲のデュエルが続く。



クロウは朧影のゴウフウで墓地からシンクロ召喚

ファントムシンクロで、ABF-驟雨のライキリが蘇る。



クロウのデュエルを、ハイウェイの上から応援する柚子と子供達。

その真下を疾走する二台のDホイールとモンスターの衝撃を受けた後、

身を乗り出して声援を送っていたタナーの姿が・・・!?



もうやめろ!このデュエルは終わりだ!と突然言い出す黒咲の言葉を聞かず、

クロウがライキリの効果でブレイズ・ファルコンの破壊を試みるが、

黒咲はカウンタートラップでこれを防ぐ。

続いて、装備魔法で攻撃力を上げたライキリが、バトルでブレイズ・ファルコンを破壊。



LP100に追い込まれた黒咲が、RUMで墓地のブレイズ・ファルコンを蘇らせ、

これを素材に、レヴォリューション・ファルコンを召喚。

レヴォリューション・ファルコンの効果による破壊は、ライキリの装備魔法で防がれたが。



ここでようやく、ライキリの背にタナーが掴まっている事に気付くクロウ。

黒咲が焦っていたのは、この為だった。

耐えきれずに、振り落とされたタナーを受け止めたのは、

レヴォリューション・ファルコンの背に乗った黒咲だった。

互いに礼を言い、意気投合した二人。



黒咲はRUMでレヴォリューション・ファルコンを素材に、

RR-サテライト・キャノン・ファルコンを召喚。

さらにこれを素材にRUMを再度使用し、RR-アルティメット・ファルコンが現れる。

アルティメット・ファルコンの効果を使い、ライキリの攻撃力を下げ、バトルで破壊する。



追い込まれたクロウのターン。

素材を揃えて連続してシンクロ召喚

三度、驟雨のライキリが現れる。

さらに、墓地のBFをチューナーにして蘇らせ、

ABF-神立のオニマルをシンクロ召喚する。

このターン三回のシンクロ召喚を行った事で、合計3000攻撃力を上げたオニマルが、

バトルでアルティメット・ファルコンを破壊。クロウが勝利する。



ロジェの説得が続く。

素良は必ず裏切るというロジェの言葉に、納得出来ない遊矢。

さらに、セレナと柚子をアカデミアとの取引に使うとロジェは言い出す。

クロウと黒咲のデュエルを見た遊矢は、素良も柚子も渡さない!と、仲間を信じる決意をするが、

独房に閉じ込められてしまった。







黒咲がタナーを助けたのを見て、全員が驚愕の表情を見せた所、笑いました。

「黒咲なら当然そうするよな」と笑顔で納得する人が、誰もいません!

みんな、黒咲を何だと思ってるんだ!(笑)



「仲間などいない」と言いながらも、

これまでも何度も仲間の危機を助けてくれた黒咲。

彼の素直じゃない性格を、みんな理解してくれていると思っていたのですが。

普段隠している黒咲の優しい面が案外理解されていなくて、何だか不憫ですね。



素良は、セキュリティが柚子を探している事に気付くが、その理由をまだ知らない。

今の時点では、セキュリティの長官がアカデミアの出身である事や、

シティの支配を目論んでいる事も、素良は知らないんですね。

遊矢から柚子を守るよう託された素良ですが、警戒すべきはアカデミアだけじゃなく。

セキュリティからも柚子を守らなきゃいけないから、大変です。



セレナと柚子を、アカデミアとの取引に利用しようという考えは、

赤馬零児も同じはずだと、ロジェは言ってますが・・・。

以前、セレナを「切り札」だと零児は言っていたのが、思い出されます。

零児は本気でセレナを切り札にアカデミアと交渉する気だったのか?

それとも、「戦力として」の切り札という意味なのか?

月影の言う通り、零児が仲間を見捨てない人間なら、

セレナをアカデミアに引き渡すなんて事は零児はしないと思うのですが・・・。



ライキリの背中に掴まるタナーの危機。

Dホイールはオートパイロットの為、止める事が出来ず。

モンスターをある程度自由に操れるなら、ライキリが背中に手を伸ばして・・・。

と思いましたが、複雑な装備の構造と、背中に羽も付いている辺り、

そこまで器用に手を動かせない?



「俺にも声援を送ってくれる子供らがいた」と、黒咲はタナーに語ったという。

黒咲にも、かつては応援してくれる子供達がいたのか・・・。

プロデュエリスト養成校の子供達なのかな?

遊矢を応戦してくれたアユ、フトシ、タツヤのような存在なのでしょうか?

アカデミア侵攻前は、子供達に笑顔で接していたのか?

それとも、今と変わらず無愛想で、しかしその強さから子供達の憧れとなっていたのかな。



礼を言うクロウに、黒咲は言う。

「貴様と子供らの姿を見て、俺は自分が何の為に戦っているのか思い出した。

 故郷の子供らの為に、俺は敵を殲滅する。」



デニス戦後、復讐心に捕らわれていた黒咲ですが、

本当に倒すべき敵は、目の前のクロウではない事に気付いたようです。



暴走し出すと、見境なくLDSを襲ったり、素良やデニスをカード化しようとする黒咲ですが、

冷静になれば聞き分けもよく、戦うべき敵を見極め、今やるべき事をちゃんと理解できる。

愚かではないんですね。



敵を殲滅するのは、故郷と仲間を奪われた憎しみからではなく、

妹を取り戻す為、故郷の子供達の為、であって欲しい。

復讐の為ではなく、誰かを守る為に戦う黒咲であって欲しいと思いました。



クロウ同様、黒咲にも守るべきものがあった。

話は変わりますが、現在Vジャンプで連載中の漫画版ARC-Vに登場する黒咲には、

守るべき妹の瑠璃も仲間のユートも居ません。

デュエルでのスリルでのみ、生きる実感を得るという、とんでもないキャラになってます。

(漫画版第6話参照)

アニメ版の黒咲との、この差をみると。

守るべき存在があるかどうか?が、そのキャラの生き方や考え方を大きく変えるのだ

と思えました。



貧困と戦争、それぞれに苦しみと悲しみを背負いながら相手を理解しようとせず、

前回はあれほど罵り合っていた二人ですが、守るべき者があり、立ち向かうべき敵がいて、

似た者同士だという事に気付き、今回は意気投合してくれました。

憎しみや怒りに捕らわれなければ、ちゃんと分かり合えるですね、この二人。

良かった。



思えば、ここで黒咲が敗北した所で、

瑠璃を取り戻すという本来の目的が果たせなくなる訳ではないので、

そこまで勝利に執着する必要もないんですよね。

最後にランサーズの一人が勝ち残り、ジャックを倒せれば、

ランサーズの力を示す、という今の目標も果たせる。



しかし、黒咲を含め、地下に行ったメンバーは、今のシティの状況、

制圧された評議会、アカデミア出身のロジェの陰謀を、まだ知らない。

柚子や遊矢のピンチに気づいて、助けに来てくれる人がいません。

果たして、この先どうなるのか?



素良がアカデミアの為ではなく、遊矢と柚子との友情の為に動いていると知ったら、

今の黒咲は素良を許してくれるかな?

それとも、再会したら即デュエルでリベンジし、今でもカード化してやりたいと思っているのか?



観戦していたジャックにも笑顔が。

前回はカードの可能性に気付いた遊矢に、そして今回はクロウと黒咲の健闘に、微笑んでくれました。

ジャックが見ているのは、勝負の駆け引きでもなく、それぞれが背負う事情や目的でもなく、

デュエルにかけるデュエリストの「思い」を見ているような気がします。



「貴様も、貴様の敵を必ず倒せ」と言い、去って行く黒咲を呼び止めたクロウが、

「お前は仲間だ」と言ってくれました。

互いに拳を突き出し、認め合った二人。

この時、黒咲に、笑顔が!!



今まで、敵の挑発にニヤリと不敵な笑みを浮かべる事はありましたが、

こんなに嬉しそうに笑った黒咲をみるのは、初めてです。

ちゃんと笑えたんだ、黒咲!



あの時は復讐心に捕らわれてたとは言え、「仲間などいない!」と断言した黒咲の言葉を、

クロウなりに気にかけてたのかな。

ここで、この言葉を言ってくれるクロウは、優しいですね。



故郷も仲間も失い、成り行きでランサーズになったものの、

黒咲の悲しみや憎しみを真に理解出来る者がいるハズもなく。

心を閉ざしてしまうのも無理はないのですが。

黒咲をこうして認めてくれて、「仲間だ」と言ってくれる存在がいれば、

閉ざしていた心を開いて、笑顔もみてくれるようになるんじゃないかと思います。

今の黒咲に、それは必要な言葉だった。



ロジェは素良が必ず裏切るといい、

セレナと柚子をアカデミアとの交渉の切り札に差し出すよう、遊矢を唆しますが、

認め合うクロウと黒咲をモニターで見た遊矢は、

その迷いを断ち切り、仲間を信じる事が出来たようです。



しかし、遊矢から協力を拒否されたロジェは、この後どうするつもりだろう?

セルゲイ一人に計画を託すのか、あるいは、柚子とセレナを捕らえて人質とし、

遊矢を従わせる気か?



次回、素良は柚子と再会できるかな?





アクションカードを相手が拾おうとするタイミングで、モンスターを召喚し、

その衝撃波でカード取得を阻止したり、

相手がアクションカードに手を出さない所を見て、

こちらの攻撃や効果を防ぐ手立てが既にあると読んだり。

この辺りの駆け引きに、アクションフィールドでのデュエルらしさが出てたかな。





作監:君野敏)

(脚本:田村竜)