遊戯王ARC-V 第81話
第81話「それぞれの戦場」
デュエルパレスでは、クロウと黒咲のデュエルが始まっていた。
先攻のクロウが、ABF(アサルトブラックフェザー) 雨隠れのサヨをシンクロ召喚。
装備魔法で先制の効果ダメージを黒咲に与える。
黒咲は自らダメージを受ける事でモンスターを次々と召喚し、
三体のRR(レイドラプターズ)を揃え、雨隠れのサヨにバトルを仕掛けるが、
雨隠れのサヨは1ターンに二度まで破壊を無効にする効果で凌いでしまう。
だが、黒咲が速攻魔法を使い、バトル中にエクシーズ召喚。
攻撃力を上げたRR-ライズ・ファルコンがバトルで雨隠れのサヨを破壊する。
続くクロウは二体のBFを揃え、ABF-五月雨のソハヤをシンクロ召喚。
その効果で墓地の雨隠れのサヨを呼び戻し、シンクロモンスター同士で連続シンクロ召喚。
ABF-驟雨のライキリが現れる。
驟雨のライキリの効果によるライズ・ファルコンの破壊を、アクションカードで防いだ黒咲。
さらに手札のモンスター効果でバトルも無効化し、逆にライキリの破壊を仕掛けるが、
クロウは永続トラップ、ブレード・シェードで破壊を回避してしまう。
黒咲がRUMを使い、RR-ブレイズ・ファルコンが現れる。
ブレイズ・ファルコンの効果による破壊は、ブレード・シェードで防がれてしまうが、
ダイレクトアタックと、その効果による二度目の破壊は無効化できず。
クロウは驟雨のライキリを失い、大ダメージを受ける。
一方その頃、ロジェは捕獲した遊矢と対面。
シティを支配するという自身の計画を遊矢に打ち明けるロジェ。
その計画の為に、遊矢にジャックを倒して欲しいと言う。
BFもRRも同じ、闇属性・鳥獣族。
新旧鳥獣族使い同士の戦いですね。
シンクロ使いとエクシーズ使いの対決でもあります。
二人ともやる気満々で、盛り上がります。
「一体破壊したくらいで、俺達の絆を断ちきったと思ってもらっちゃ困るぜ」と言うクロウ。
こちらも強気ですが、勝つ気でいて、明るいノリです。
一方の黒咲は「どれだけ来ようが殲滅する」と、冷淡で、明るさはありません。
それぞれの抱えている事情、戦う理由も異なりますが、
手加減無しに全力でぶつかっていくその闘志は似ている様に見えます。
地獄の日々を生き抜いてきたと言う黒咲ですが、
それはクロウとて同じ事。
コモンズの事を大して知りもしねえくせに!とクロウは言い返します。
クロウは「戦争ごっこ」だと揶揄しますが、黒咲は「どこであろうと戦場だ!」と。
「それぞれの戦場」というサブタイトルが意味するものは、これですね。
戦争と貧困、どちらも悲惨な事に変わりはありません。
本来なら、その苦しみ悲しみを分かり合えてもいいはずなのにな。
クロウと黒咲のデュエルを見守る子供達と柚子も、
戦う二人の悲しみを理解しようとしています。
乱暴な黒咲のデュエルが嫌いだと言う子供達に、
黒咲は何もかも失ったのだと、擁護する柚子。
俺達も同じだ、最初から何一つ持ってないんだ、と貧困の悲惨さを伝える子供達。
そんなに戦争したけりゃ出て行ってくれ!というクロウの言葉も、もっともなのですが。
「俺はランサーズを仲間だなどと思ってはいない!」と断言する黒咲。
「俺以外、全員が敵だ!」などと。
デニスが正体を明かした事で、黒咲はランサーズに対する不信感を募らせているように見えます。
しかし、この言葉が本心だとも思えず。
収容所脱出の際は、仲間の分のデュエルディスクを取り戻し、
捕縛隊に取り囲まれ苦戦する遊矢達を助けたのも黒咲でした。
口で言うほど、遊矢達を憎んではいません。
素直になれない性格もありますが、今はまだ、デニスの裏切りを引きずっているのでしょう。
さらにはクロウにも疑いの目を向ける始末。
収容所脱出の手助けをしてくれたのはクロウなのに。
一方のクロウは、遊矢とトップスの繫がりを疑っています。
シンジの無念を晴らそうと、奮闘する。
とは言っても、シンジの様に観客に呼びかけ、革命を扇動するような事はしません。
自身のモンスター達をコモンズの絆に見立てるやり方は同じですが。
勝ち上がり、自力でジャックを倒す事で、社会を変えようという考えで、
そこはシンジの考え方とは違う所ですね。
ロジェが隠す事なく遊矢に全てを語ったのが、意外でした。
自分の目的が打倒キングである事、既に評議会を制圧した事、
そして、自身がアカデミア出身である事まで。
そこまで全て打ち明けるのは、遊矢の信用を得る為か?
ただ一つだけ、嘘を付いている。
ロジェの本当の願いが、友愛と平和なのではなく、私利私欲で自身の王国を築く事。
遊矢は、その嘘を見抜けるかな・・・?
これまでの遊矢のデュエルと、素良との会話を盗聴した事で、
遊矢の考えも、彼の真の願いも、全て見透かされています。
それを知った上で、こんな誘い方を。
遊矢を捕らえた事、評議会の制圧など、そのやり方の強引さを思えば、
「私も平和を愛しています」などと言うロジェの言葉が本心だとは思えない。
遊矢もその事に気付いてくれていると良いのですが。
さらに、ロジェは遊矢に、素良は裏切るだろうと言い出す。
遊矢を取り込むために、素良に疑いを持たせ、二人の友情を断ち切ろうとする。
何とも卑怯なやり方です。
何とも、ネチネチとしたロジェの嫌らしさが際立つ回でした。
もしもロジェが柚子を手に入れたら、遊矢は本当に取り込まれてしまう。
そんな事態だけは避けて欲しい・・・。
ORUを使い、攻撃力を上げたライズ・ファルコンに、
クロウが「インチキ効果も大概にしろ!」などと言ってます。
かつて、遊戯王5D'sのボマー戦で「インチキ効果もいい加減にしろ!」とクロウが言ったのが思い出されますね。
ペイン・レイニアスの効果で自身がダメージを受ける時、
アベンジヴァルチャーが黒咲のヘルメットをコンコンと突く仕草が、何だかかわいい。
優しい攻撃、なんですね。
陰影の強さ、強弱のある線、アクションや構図もかっこいい。
(作監:蛯名秀和)
(脚本:田村竜)