遊戯王ARC-V  第70話

第70話「届かぬ叫び」



柚子と徳松のエールを、しっかりと受け取った遊矢。

続いてセレナと、クロウ達の仲間、トニー・シモンズの対戦。



トニーは、遊矢達の収容所脱出の時、手引きしようとしてセキュリティに捕まった人ですね。

メリッサからは「コモンズの新星」と紹介されてます。



大会の対戦組み合わせとスケジュールを知らされてない参加者は、

対戦者が発表される度に一喜一憂。

黒咲の様子は映されていませんが、どうしてるんだろう・・・?



対戦を見守るロジェ長官が、

背後に立つ大男、セルゲイに語りかける。

勝ち上がったセレナを潰し、さらにジャックをも潰し、シティに衝撃を与えるのが、お前の役目だと言う。

このセルゲイという男は、それ程の腕前のデュエリストなのか?

シティに衝撃を与えて、どうするつもりなのか?



LPで劣勢のセレナが、ムーンライト・パンサー・ダンサーを融合召喚

相手の場のモンスター一体につき二回の攻撃を可能とするパンサー・ダンサーが、

トニーの場のモンスター三体を倒し、セレナが見事勝利する。



セレナのデュエルは序盤を省略。

もっとセレナのデュエルが見たかったという声もありますが、

話のテンポを考えると冗長なデュエルをするよりはいいかな、と思えます。

セレナが勝ち上がったなら、この先もデュエルでの見せ場もありそうなので、次のデュエルに期待です。



司会のメリッサもロジェも、柚子とセレナの顔が似ている事に気づき、姉妹か?と考えている様子。

この後、ユーゴが登場したら、遊矢と似ている事にも気づくかな?

観客からしてみれば、少しややこしいでしょうね。



メリッサは女性デュエリストを応援しているようです。

しかし、大会第一日目を締めくくろうと、会場にスローガンを叫ばせようとして失敗。

やはり、メリッサや評議会が目指すような、コモンズとトップスの融和には、まだ程遠いようです。



敗者を地下送りにするこの非情なフレンドシップカップに、納得がいかない遊矢は一人憤る。

しかし、今の自分に何が出来るのか?と苦悩する遊矢。

敗北したトニーの事も、気にかけてくれてます。

この日敗北した権現坂、月影、徳松、トニーは、地下の強制労働施設に。

みんな、無事なのでしょうか?



評議会と会話する零児。

零児によれば、柚子は技量的にもランサーズのメンバーと遜色ないと評しています。

でも、正式なランサーズのメンバーではないんですよね・・・。

柚子がランサーズになる日がくるのかな?



ホワイト議長の誘いで、評議会メンバーとジャックを交えて食事をする事になった零児と零羅。

これは意外な展開。

何より、5D'sのライバルキャラ、ジャック・アトラスと、

ARC-Vのライバルキャラ、赤馬零児が!会話してます!

歴代シリーズのライバルキャラ同士の対面とは!面白いです!

できれば、この二人でデュエルもして欲しかった。

今回のこの二人の会話は、

ライバルキャラの先輩として、後輩に対し、エールを送っているようにも見えました。



同じ頃、部屋で食事する沢渡、ユーゴ、柚子の様子が映されます。

大会に申し込んで、豪華な食事にありつけたと喜んでいるユーゴ。

次元戦争の危機を訴えると言っていたハズの柚子が、

今日のデュエルで全くその様子が無かった事に気づいています。

それは明日、俺がぶちかましてやる!と言ってますが。

ユーゴが代わりに次元戦争を訴えてくれるのかな??

一方の柚子は、自分のメッセージがちゃんと遊矢に届いたかどうか?不安そうです。

敗者が地下送りになる事を知らないメンバー達は、皆呑気そうですね。



一人悩む遊矢は、やはり父親のエンタメデュエルを目指すべきだと、考えているようです。

対戦相手も観客もみんなを笑顔にするのは、エンタメとして正しい姿だと思いますが。

目指すべきは「父さんの」エンタメデュエルではなくて、以前遊勝が言っていたように、

いずれは遊矢だけのエンタメデュエルを見つけなければいけない、と思うのですが。

それはまだまだ先かな?



意外にもジャックは柚子のデュエルを高く評価しています。

戦術や技量ではなく、何かを伝えようとする気持ちの表れ、を評価しているようです。

強さを追い求めるキングのイメージとは、違った発言です。



さらに、零羅に興味を示すジャック。

その怯えた目が、昔の自分に似ていると言う。



ジャックは気安く食事会に参加するような性格とは思えませんが、

もしかしたら、零羅の事があったから、議長の誘いに応じたのかな。



零児に促され、語った、ジャックの過去話。

零羅と同じ年頃まで、何かに怯え神経を研ぎ澄まして生きてきたと言う。

コモンズ出身の事を問われても、「失礼な事ではない」と、ジャックは言っています。

コモンズに関するジャックの発言を聞くと、コモンズを見下している様子はありません。

サムの言っていたジャック像とは、違いますね。



零羅に「もしや俺と似たような境遇で育ったのか?」と言うジャックに、

鋭い洞察力とだけ答える零児。

ジャックは、零羅の抱えている過去や闇に気づいている様子。

零児も、血の繋がった兄弟ではない事を、隠そうとはしていません。



同時に、デュエリストとしての道を歩め始めた経緯をジャックに尋ねた零児は、

ジャックが語りたがっている事、零羅に何かを伝えたがっている事に、気づいたのかな?



スラムの中で、怯えた目をした幼いジャックの目の前に、

トップスの居住地から舞い落ちてきた、たった一枚のカード。

「そのカードは、取り立てて貴重なものではなかったが、

 俺はそれを見た瞬間、天啓に打たれたかのような衝撃を受けた。」



そのカードとは、うっすらと見えるイラストをみると、やはり「調律の魔術師」?

だとしたら、「このカードをもう一度あの空の上の世界に戻さねばならないと」いう思いを、

キングになる事で達成したのか。



そして、その大事なカードをサムに託したのだとしたら・・・。

それは見下していたのではなくて、やはり、何か伝いたい思いがあったからこそ。

サムには、そのカードに託されたジャックの思いを理解する事が出来なかったようですが、

カードを引き継いだ遊矢になら、デュエルの中で、その答えを知ることが出来るかな?



ジャックは、仲間を大会に出場させている零児達の目的は問わないといい、

「でも、何かを成し遂げようとしているのなら・・・。

 怯むな!!」

零羅には

「お前が何かを決意し、いつの日か雄々しく戦う姿を見られる事を期待している。」

と言ってくれました。



大会初日、観客の対立にも煽るシンジにも一切表情を変える事なく、デュエルを見つめ続けていたジャック。

その理由も、やっと分かった気がします。

コモンズとトップスの対立、社会が抱える格差の問題などには興味を示さず、

ただ、何かを成そうとするデュエリスト達の熱い思いと闘志だけを見つめていたのだと思います。



だから、自分を利用しようとするトップス達の思惑も、

野次るコモンズ達の声も、気にならない。

強い思いで戦う柚子の事を評価し、

自分に自信が持てずにいるサムや、怯えた目の零羅には、興味を示した。



この世界のジャックの事が、ようやく分かってきました。

シンクロ次元のジャックには、

5D'sのように、愛する事を教えてくれたカーリーとの出会いはありませんが、

弱者を思いやる優しさは、ちゃんとある。

けど、それを積極的に表に出して伝えるような事はしない。

気高く、孤高ではあるけど、決して冷酷な男ではありません。

そういう所に、少し安心しました。

それを理解する者は少なく、世間からの誤解も多いままですが。



ジャックのこの言葉は、零羅の中で、どう響いたかな?

月影への嫉妬と、兄から見捨てられる恐怖とで苦しむ零羅を救う切っ掛けになると良いのですが。



長官からの手紙を受け取る、ナンバー227。

明日デュエルチェイサーズとして大会に出場し、遊矢を倒せを命令を受け、

名誉挽回の機会を得たと喜ぶ。

封筒に同封されていたのは、ゴヨウ・エンペラーのカード。

ユーゴに敗北して以降の彼は、散々な目にあったようです。

デュエルチェイサーズの世界も、大会同様、敗者には厳しく、残酷です。



227が手にした対戦表。

 1戦目が遊矢vs227

 2戦目が沢渡vsユーゴ

 3戦目は黒咲vsデニス

 4戦目がセルゲイとデイモン。

これは楽しみな対戦が続きますね!



デッキを手に、一晩悩み続けた遊矢が、登る朝日を見つめ、決意する。

やはり、自分の思いを、この大会で伝えようと。

勝ち上がる為に人を蹴落として不幸にするような大会は間違っている。

その事をみんなに分かってもらうしかない。



果たして、この遊矢の結論が正しいのかどうか?

その思いを、ちゃんと観客に伝えられるのか?

例えそれがよい結果に繋がらなかったとしても、今の遊矢のその真っ直ぐな気持ちと、

それを伝えようとする思いは、間違っていないと思います。





作監:門智昭・小島えり)

(脚本:上代務