遊戯王ARC-V  第69話

第69話「疾走するディーバ」



第三戦、柚子と徳松のデュエルが始まる。



十年ぶりに表舞台に現れたエンジョイ長次郎に、観客の歓声が沸き起こる。

「遊矢に伝えたい、私は元気だって。」



柚子は二体の幻奏モンスターを揃え、永続魔法で攻撃力を上げ、

徳松の場のカーディアンモンスターを攻撃、先制ダメージを与える。



対する徳松はマジックを使い、遂にマジック「超こいこい」を引き当て、発動。

三体のガーディアンの特殊召喚を見事成功させ、カーディアン 雨四光をシンクロ召喚

柚子はDホイールを駆使して手に入れた二枚のアクションカードを使い、幻奏の攻撃力を上げるが、

徳松もまたアクションカードを手に入れ、雨四光を破壊から守る。



雨四光の効果で柚子はドローする度ダメージを受ける事になるが、それでも怯まずカードをドローする。

ただならぬ柚子の気迫に、徳松が理由を尋ねる。



「伝えたい人がいるの。思いを。」

「その人は今、落ち込んで、自分を責めているかもしれない。

 だから、あなたは一人じゃないって・・・。

 それを伝える為、私の精一杯を見せる。

 まだ、これから!

 お楽しみは、これからよ!」



二体の幻奏をリリースし、プロディジーモーツァルトアドバンス召喚

華やかな柚子のモンスター達の活躍に、観客からも声援が上がる。

だが、モーツァルトの攻撃は徳松のアクションカードで回避されてしまう。

柚子は装備魔法を使って、雨四光によるドローのダメージを防ぐ。



続く徳松がマジックを使い、雨四光を素材に戻し、さらにリスクを背負いながらドローし、

引き当てたカーディアンを特殊召喚。五体のシンクロ召喚で、

攻撃力5000のカーディアン 五光が現れる。

モーツァルトは破壊され、マジックを封じられた柚子。



だが、運命のカードを引き当てた柚子が、ブルーム・ディーヴァを融合召喚

ブルーム・ディーヴァの効果は無効化されてしまうが、アクションカードを見事手に入れ、

五光により無効化された墓地の二枚のアクションカードの効果を、手札のモンスターカードの効果で有効に。

攻撃力を入れ替えたブルーム・ディーヴァが五光をバトルで破壊し、柚子が勝利する。







柚子と徳松の対決に驚く遊矢。

負ければ地下で強制労働と知っている今の遊矢は、

どちらも負けて欲しくは無い。複雑な心境です。

今後も仲間同士の対戦があれば、同じように心配しながら見守る状況が続くのかな?



柚子と徳松、ライディングデュエル初心者同士の対決。

スタート時はDホイールがふらつき、危うい感じでしたが、

ターンが進む毎に、壁走りやジャンプ、車体を傾けてアクションカードを奪取したり、

シートに立ってジャンプするなど、Dホイールを乗りこなしつつ派手なアクションも見せてくれました。

もともと身体能力の高い二人だから出来たのでしょう。



アクションカードの奪い合いも、アクションデュエルらしい見せ場で盛り上がります。

徳松のドローに勝負を託す戦術と、その引きの強さ。

結果が分かっていても、やはりワクワクさせる演出に魅せられる。



対する柚子も、観客に語りかけながら、華麗にモンスターを召喚し、

巧みに攻撃を仕掛け、観客を魅了しています。

遊矢が出来なかったエンタメを、ここでも柚子がしっかりやり遂げてますね。



自分の勝利を確信する徳松が、敗北する柚子を地下送りにする事に罪悪感を感じて

ことある毎に「すまねえ嬢ちゃん!!」て言うのが、楽しい。(笑)

その意味が理解出来ない柚子が、とうとう「なんか怖い!」と言ってます。



デュエルを通して、遊矢を励ましたいという想いでデュエルする柚子。

今は直接会えないから、こうしてデュエルで頑張るしかない二人。

柚子は遊矢がこの次元に来た目的も、大会に参加している理由も知りません。

遊矢も、柚子がどういう経緯で大会に出ているのかを知らず・・・。

側にいるのに、会えない、このもどかしさ。

それでも、互いを想い、頑張る二人の絆。

素敵ですね。



柚子は遊矢とジャックの対戦を観て、遊矢が敗北で落ち込んでいる事も、

エンタメ出来なかった事で自分を責めているだろうという事も、分かっています。

だから、デュエルを通して、遊矢を励ましたい、と。

これまでも、出場権を賭けた四連戦の時も、舞網チャンピオンシップでも、

遊矢を励まし支えたのは、柚子の存在と彼女のデュエルでした。



カメラを通して、直接遊矢に語りかけるのではなく、

遊矢の名前を出さずにデュエルを通して励ます、

というやり方も、この二人らしいです。

言葉で語りかけるのではなく、相手に寄り添うのでもなくて、

「デュエルを通して」通じ合ってる、遊矢と柚子の絆が、

とても遊戯王らしいカップルだと思えます。



柚子の「お楽しみはこれからよ!」の言葉に、はっとする遊矢。

さらに「燃えろ!熱血だ〜!」と「痺れる〜!」などの台詞を交え。

遊矢に、修造やフトシの事を思い出させ、「一人じゃない」と伝えようとする柚子。



柚子の台詞に、彼女が思いを伝えたい相手が遊矢だと察した徳松も、

エンタメデュエルというワードを出して、自分が遊矢を知っている事を暗に伝えています。



直接語らず、台詞で間接的に思いや状況を伝える二人のやり取りが、上手いです。



「やったな、柚子。すごいよ。」

モニターに手を触れながら、涙する遊矢。

柚子の思いは、ちゃんと伝わったんですね。

ヒロインの思いに応えて、泣いてくれる主人公というのは、過去の遊戯王シリーズには居なかったので、

こうしたシーンは嬉しいです。



「嬢ちゃんは遊矢にほの字なのかい?」の徳松の言葉に、

言い当てられた恥ずかしさで思わずハリセンが飛び出す柚子ちゃんが、かわいい。

このハリセン炸裂も、久しぶりです。



デュエルとはすなわち人生なり!と、いつもの決め台詞を言い、去って行く徳松。

敗者が地下へ送られる事を知っているからこそ、覚悟を決めたその去り方が、かっこいいです。

一方で、柚子を始め、ユーゴや他の参加者は、まだ地下の強制労働の事は知らないのが、気になります。



作監:Lee Sung-jin・Choe Byeong-hui)

(脚本:広田光毅