遊戯王ARC-V  第68話

第68話「B・F(ビー・フォース)一斉蜂起」



零羅に変わり出場する月影と、シンジとの対戦。



第一コーナーを制した月影の先攻。

永続魔法の効果で、手に入れたアクションカードを墓地に送る事で、シンジに効果ダメージを連続で与える。



月影のモンスターの攻撃で毎ターン破壊されるも、

自身の効果で手札から特殊召喚されるシンジのB・F 早撃ちのアルバレスト。



仲間の危機に駆けつけるこの戦い方こそが、コモンズの絆だと言うシンジに、

我ら風魔一族の絆を見せると月影も対抗する。



劣勢のシンジが、ようやくチューナーを引き当て、B・F 突撃のヴォウジェをシンクロ召喚

反撃を始める。

対する月影も、守備力3000の黄昏の忍者将軍 ゲツガをアドバンス召喚

さらに墓地の黄昏の忍者 シンゲツを二体復活させ、

シンゲツ以外を攻撃対象に出来ないその効果で、攻撃を阻止する。

万全の守りの月影。



月影の永続魔法による効果ダメージを連続ダメージを受けながら、

シンジはコモンズとして生きてきた屈辱を語る。

コモンズへ一斉蜂起を呼びかけるシンジ。

遂に観客のコモンズ達も、シンジに同調しはじめる。



シンジが引き当てたマジック、一斉蜂起を発動させ、墓地のB・Fが復活。

その効果でシンゲツの効果を無効化させ、月影の守りを崩す。

二体のシンゲツをバトルで破壊し、トラップ、緊急同調を使い、バトルフェイズ中にシンクロ召喚

B・F 決戦のビッグ・バリスタの効果でゲツガの守備力を下げバトルで破壊し、

貫通ダメージで月影のLPはゼロに。シンジが勝利する。









「こんな社会、ひっくり返してやる!」

シンジはデュエル開始前から観客を煽り、デュエル中もコモンズへ決起を呼びかけ続けてます。



コモンズにも、いろいろな考えの人がいて、

現状を変えられなくても、自分だけでものし上がろうとするユーゴや、

トップスに憧れながらコモンズである事にコンプレックスを抱くトムのような子や、

シンジの様に、反逆を企てる者など、様々。

全員の意思統一や一体感は、今の所無さそうです。



今回勝利したシンジは、果たして、この社会をひっくり返す事ができるのか?

大きな社会問題を抱えるシティですが、コモンズが一斉蜂起した所で、本当にこの問題が解決するのかも疑問です。

トップスを引きずり落とした所で、統制や統治が失われ、混乱を引き起こすだけだし、

平等な社会を実現するには、長い時間を要するでしょう。



1試合1試合終わる毎に、観客達の様子が変わっていきます。

初めはシンジの言葉を鼻で笑っていたトップス達が、同調するコモンズ達を見て、次第に言葉を失っていく。

クロウ対権現坂戦で、折角一体感を得たハズなのに、今回のデュエルで、また大きな対立を生み出している。

この、デュエルによる民衆の影響の受けやすさ。

大会での各デュエリストの勝敗が、シティの将来を左右するのかもしれません。



司会のメリッサは、観客を煽るシンジに何度も怒って注意してます。

彼女がトップス・コモンズ、どちらの出身かは分かりませんが、どちらか一方に肩入れする事はなく。

メリッサが目指すのは、前回のクロウ対権現坂戦のような、観客が一体となって両者を応援し、

大会が盛り上がる事、のようです。

メリッサは、このシティの抱える問題については、どう思ってるんだろう?

今回のシンジの言葉に同調する様子がない所をみると、現状を受け入れているのかな。



観戦する遊矢の心境も複雑で。

ジャック戦での敗北を受け、ジャックを超えて観客を魅了するエンタメを目指さなきゃいけないのに、

まだその答えが見つからない。

デュエルは戦いの道具じゃない、みんなを笑顔にするものだ、というのが遊矢の持論ですが、

ここシティでは、デュエルは自由の象徴であると同時に、トップスへ対抗する手段として、

争いの道具にされかねない状況です。



遊矢は、この次元の住人ではなく、シティの抱える問題に関わる必要もないはずですが。

デュエルが人を笑顔にせず、人を傷つけるこの状況を、見過ごせないようです。

しかし、今の遊矢に一体何が出来るのか・・・。

遊矢はこの次元を変える事が果たして出来るのか?



一方、仲間のクロウは、どうするのか?

トップスへの強い反感を抱いているのはシンジと同じですが。

しかし、子供達の事を思うと、安易にシンジに同調する訳にはいかないですよね。

こんな状況でも立派に生きていけるよう、自ら手本となって正しい姿を子供達に見せなければならない、

と考えているクロウなら。

その辺りで、クロウとシンジの道は分かれていくような気がします。



零羅くんが、今回ちょっと怖い。

自分に代わって出場した月影がもし勝利したら、自分は用済みとなり、兄に見捨てられるのでは?

という恐怖から、月影に「負けろ」と願ってしまう。

シンジはお菓子をくれた優しい人で、恩義もあるから、というのもあるらしく。

シンジ優勢の時は、笑顔もみせました。

しかし、セキュリティに包囲された時、救出して零児の元に連れてきてくれたのは月影です。

零羅は、月影の事は特に何とも思っていないのかな?



零羅の中での優先順位は、とにかく兄に認められ、兄に必要とされる事、のようです。

それは、家族としての愛情を兄に強く求めているからであり、幼さ故の当然の心情だと思えます。

かつてのセレナが、プロフェッサーに認められ、必要とされる事を望んでいたものの、

プロフェッサーに対して愛情は求めていなかったからこそ、

アカデミアを裏切る事ができたのとは、対照的にも思えます。



零児によれば、今回のデュエルでの月影の敗北は、彼が指示し、予定通りの展開だったようです。

デュエル後、ソリッドビジョンが消える間際、月影が手にしていたのは、

バトルを終了させるアクションカード、「回避」。

それを使わなかったのは、自ら敗北する為だったのか・・・。



零児の言う「計画通り」とは?

月影を地下の強制労働へ行かせる事かな?

地下での情報収集と、今後大会で敗北し、地下に送られるランサーズの仲間をサポートさせる為?



月影がどんな想いでデュエルしていたのかは分かりませんが、

シンジに侮辱された時、任務を全うする為に散っていった兄・日影の事にも言及してくれました。

任務の為に私情を挟まないストイックな忍者の月影ですが、

カード化された兄の事は忘れてなかったんですね。

たまにこうして感情を見せてくれると嬉しいです。



俺のターンとは言わずに「俺達のターン!」と言い、観客を巻き込むシンジのデュエル。

エンタメとは少し違いますが、観客の心の掴み方は巧みです。



トラップ、緊急同調のイラストが、5D'sでお馴染みのジャンクモンスターで、懐かしいです。





作監:宍倉敏)

(脚本:田村竜)