遊戯王ARC-V  第65話

第65話「打ち砕かれたエンタメ」





フレンドシップカップ前夜祭、エキシビションマッチの勝者は王者ジャック・アトラス。

敗北し、転倒し倒れた遊矢は呟く。

「バカにするなジャック!」



遊矢に駆け寄ろうとする柚子と、その後を追うユーゴは、セキュリティに取り囲まれてしまう。

間に入り、セキュリティを追い払ったのは、行政評議会の者達だった。

治安維持局は行政評議会に逆らえないのだ。



柚子とユーゴを捕らえられず、悔しがるロジェ。

柚子達は遊矢達と同じ宿舎へと案内される。



目覚めた遊矢がカーテンを開けると、窓からはデュエルパレスを見下ろす景色が広がっていた。

遊矢の前に3Dビジョンで姿を現した評議会の五人は、

フレンドシップカップの出場者は客人であると同時に、監視対象だと告げる。

今遊矢が居る場所は、行政評議会ビルの上部にあるペントハウス

ランサーズの仲間をはじめ、出場者16人は皆、この場所にいる。

大会期間中はここで過ごす事になるが、ここに居られるのは、

勝ち続けている間だけ。負ければ即刻退去。



柚子を探そうとする遊矢だが、

部屋のドアは開かず、遊矢は外に出る事が出来ない。



全員が個別の部屋に隔離され、お互い自由に会う事が出来ない状態?

これでは、同じ建物にいても、遊矢と柚子は会えないのか・・・。

ランサーズの仲間達の様子も気になります。

評議会からすれば、

異次元から来た彼らをまだ信用できないからこその措置なのは分かりますが。

お互いに会えず、今後について相談する事も出来ず、大会出場への不安を語る事も、

励まし合う事も出来ないのが、少し心配です。



評議会は、零児、零羅、月影の三人にもペントハウスへ移るよう指示する。

治安維持局のロジェ長官に敵視されている事を考慮しての事だ。

零児達には、このビルの中なら自由にふるまっても良いと議長は言う。



零児達だけ、扱いが違う?

それだけ零児は評議会から信用を得ていると言う事かな。

遊矢達と違って、自由に動ける零児達は、果たして何をするのか?

遊矢達にも会うことも許されている?



そして、何と、零児の台詞によれば、零羅も大会に出場する事に!?

幼い零羅が、ライディングデュエルを??

Dホイールを乗りこなせるのか??

転倒した遊矢が無傷なのを見ると、安全対策はしっかりされているのだと思いますが。

零羅用の小型のDホイールが用意されるのか、それとも5D'sに登場した様な、

スケートボードサイドカーの様なものでデュエルするのか?

内気な零羅は、果たしてライディングデュエルが出来るのか??

いろいろと心配になります。



遊矢は自分のデッキのカード、オッドアイズとダークリベリオンが輝いている事に気づき。

ユーゴが近くにいる事を知る。

同じ頃、部屋で寛ぐユーゴのデッキのクリアウィングも輝いていたが、ユーゴはそれに気づいていない。



遊矢、ユート、ユーゴが以前に揃った時と同じように、

ここでもドラゴン同士の共鳴が起きています。

この共鳴は、一体、何を意味するのか?

まだ登場していませんが、遊矢に似た四人目の融合使い、ユーリもドラゴンを持っている可能性があり。

ユーリのドラゴンも、側に居れば同じように共鳴するのか?



しかし、クリアウィングは次元を飛ばす効果を、ここでは発揮しません。

同じように、柚子のブレスレットも点滅するのみで、ユーゴも遊矢も飛ばさず。

距離が離れているか、隔離されている状態では、ブレスレットは効果を発揮しないようです。



ユーゴは一流ホテル並みの設備が整っていたペントハウスがすっかり気に入った様子。

スラム育ちの彼には嬉しい待遇でしょう。

これから大会に出場する緊張感や、リンの心配をする事もなく、何とも呑気な様子です。

同じ大会に出場する柚子の身を案じ、会いたい思いを募らせる遊矢とは対照的ですね。



ユーゴが居るなら、柚子も近くにいるはず。

どこかにいる柚子に向かって呼びかける遊矢。



「柚子ー!いるのか!?聞こえたら返事をしてくれ!

 俺は、お前を助ける為に次元を超えてきた!

 権現坂も沢渡も一緒だ!黒咲もデニスもいる!

 セレナも柚子を助けたいって俺達と一緒に!

 塾長もフトシもアユもタツヤも俺の母さんも、みんなお前を心配してる!

 だから俺は、絶対にお前を助けてみせる!」



歴代の遊戯王シリーズの中で、これ程までにヒロインを強く想い、

その想いを語ってくれた主人公は、未だかつて存在しません。

どの主人公も、ヒロインのピンチには駆けつけ、心配はしてくれますが。

その想いを自ら語る事はありませんでした。

だからこそ、柚子を強く想ってくれる遊矢の言葉と行動が、見ていて嬉しいです。



この言葉は、今は柚子には届いていないのかな・・・。

会う事は叶わなくても、せめて遊矢のこの言葉を柚子に聞かせてあげたいですね。

同じビルの中に居るのに、再会できない所がもどかしいです。



デュエルでみんなを笑顔に。

その決意を口にした時、遊矢の脳裏にジャックの言葉が蘇る。

「お前のデュエルは独りよがりだ」



ジャックとのデュエルを振り返る遊矢。

攻撃を無効化させるトラップを伏せておきながら、最初のダークリベリオンの攻撃時には使用せず。

アクションカードを併用し、ルーンアイズの二度の攻撃を無効化する事で、

後のスカーライトのシンクロ召喚に繋げた、ジャックの見事な戦術。

全てが計算されたジャックのエンタメに対し、挑発に安易に乗ってしまった事を悔いる。



遊矢が度々口にする、この街の人達を笑顔にしたいという思い。

それは、単にエンタメで楽しませたい、というだけではなく、

このシティに存在する厳しい差別と格差社会を変える事も含まれているのかな?



そんな時、ドアの下から差し出された一枚のカード。

それはエキシビションマッチの直前、遊矢と会話したドアボーイの少年、サムからだった。



サムは、そのカードの託した思いを語り出す。

フレンドシップカップで優勝し、ジャックと対戦する時に、そのカードをジャックに返して欲しい、と。

かつてジャックはコモンズの希望の星だった。

だが、ジャックは変わってしまった。

巨万の富を手に入れたジャックは、いつしかコモンズを見下すようになった。



ジャックのファンだったサムはジャックに駆け寄り、これからも応援し続けると伝えるが。

そんなサムに、ジャックは「お前に一番相応しいカード」だといい、

レベルの低いモンスターカードを渡しす。

それが、このレベル1の「調律の魔術師」。



ジャックはトップスに魂を売った「裏切り者」だと、サムは言う。

だからボクに代わってジャックを倒して欲しい、と。

ジャックに負けて悔しさを感じた遊矢になら、ぼくの気持ちを分かって貰えると思ったから。



前回、サムがジャックの事を語りたがらなかった理由が判明しました。

ここでサムが語るジャック像は、本当なのかどうか、少し悩みます。

本当にジャックはコモンズを見下していたのか?

サムが駆け寄った時、無視はせず、捕らえようとする警備を制止してくれたのは、ジャックなりの温情だと思うのですが。

「あなたみたいになりたい」けどお金がないからと諦めたサムの態度に、思う所があったのでは?

ジャックが渡したカードを、低レベルモンスターだから「バカにしている」とサムは感じたようですが。

そこには別の意味が込められていたのではないか?と思います。



思いの込められた弱いカードで逆転勝利する、という展開は5D'sでもよくありました。

一見すると弱いように見えるそのカードに隠された、奇跡を起こす可能性。

カードと同じように、ちっぽけな自分に落胆せず、自分の可能性を信じろと、

ジャックは言いたかったんじゃないかな・・・。

世界が違っていても、ジャックの本質が5D'sと変わらないなら、そういう事をしそうだと思います。



ただ、言葉で多くを語らず。

コモンズを見下している訳ではなく。

勝ち続ける姿を見せる事で、自分達の境遇に悲観せず、ここまで登って来いと鼓舞する。

そうやって態度だけで示そうとする所が、誤解を生んでいるのかもしれません。



キングとなり富を手に入れても、所詮は飾り物。

このシティの差別や格差を変える力は自分にはないと、ジャックには分かっていたのかな。

有名になった時、積極的にコモンズに奉仕した長次郎とは、違ったやり方なのだと思えます。



サムはジャックを裏切り者だと言っていましたが、

クロウが言った裏切り者も、同じ意味なのかな?

それとも、また違った理由があるのか?



一方、デュエルパレスではフレンドシップカップの開会式が始まっていた。

ヘリからパラシュートで登場する司会のメリッサ。

大会出場者16名が本人達不在の中、3Dビジョンで紹介されていく。

遊矢はキングに歯が立たなかった「ザ・未熟者」と紹介される。



観客からは、ジャックを巡り論争が沸き起こっていた。

トップスは、勝ち続ける限りジャックは我々の仲間だと言い。

コモンズの間では、ジャックはトップスに媚びを売る裏切り者だと言う者と、

今でもコモンズのヒーローだと言う者で揉める。



ジャックに対する評価は、コモンズでも分かれているようです。

トップスにしても、負ければジャックは用無しとも思えるその発想が、怖い所。



紹介を終えても騒ぎ続ける観客に、メリッサも呆れるばかり。

この大会のスローガンは「シティはひとつ!みんな友達」のはずですが。

議長の言う、コモンズとトップスの融和という目的は、本当なのか?

コモンズの不満を解消させ、行政への批判をかわす為ではないのか?と疑ってしまいます。



ここで紹介される出場者16名.

映像を見ると、

遊矢、権現坂、沢渡、黒咲、セレナ、零羅、デニスのランサーズのメンバー。

遊矢を助けてくれた、クロウとシンジ。

長次郎、柚子、ユーゴ。

脱獄の手引きをしてくれた、クロウの仲間の二人。

セキュリティらしき制服の男。

謎の大男。(ロジェの背後に立っていた男か?)

この16名が、どんな組み合わせで対戦するのか、楽しみです。



そして、開幕第一戦の対戦者がクロウと権現坂だと発表される。

クロウが意気込みを内心呟く。

トップスの見世物になるのはゴメンだが、裏切り者のジャックに、

コモンズの絆がどれ程強いかを見せつけてやる、と。



次回はクロウと権現坂。

不動のデュエルの権現坂がDホイールに乗ってライディングデュエルというのも、面白い所です。

クロウはABFかな?



5D'sのテーマである「絆」という言葉が、クロウから出ました。

クロウの言う、コモンズの絆とは?

ジャックにそれを見せつけたいと思うのは、なぜか?

やはり、まだ明かされてないジャックとの因縁が、クロウにはあるようです。



クロウのこの言葉だと、ジャックはコモンズとの絆を捨てた、と思われているのかな?

かつては絆があったのか?

それを自ら捨てた、となると、5D'sのジャックと益々似た境遇になりますね。

逆に言えば、どんな世界に生きていても、ジャックは絆を捨て孤高を目指してしまう、と言う事か・・。



遊矢は、サムに思いとカードを託されて、どうするのか?

サムの思いを叶えてやるつもりなのか?

遊矢自身には敗北の悔しさはあるけど、ジャックを恨む理由はありません。

出来ればジャックともう一度対戦し、サムに代わってその真意を確かめて欲しい所です。





サムの回想で、記者会見のような場所でジャックを握手するスポンサーらしき人物も、

ゼアルの桑原監督がモデルかな?







作監:川村裕哉)

(脚本:上代務