遊戯王ARC-V  第61話

第61話「ドローを捨てた男」



続く徳松と遊矢のデュエル。



徳松のデュエルを見て、クロウとシンジが気づく。

あれは、かつてのエンジョイ長次郎。

だが今はデュエルで相手を叩きのめし、敗北者の涙雨を降らせる「秋雨の長次郎」だと徳松は言う。



徳松のトラップで手札からの特殊召喚を封じられた遊矢は、裏守備で通常召喚し、ターンエンド。

徳松は雨四光の効果で自分のドローを放棄する事で、遊矢のドロー毎に1500のダメージを与えようとする。



徳松の必勝コンボを前に、それでも遊矢は諦めず、デュエルを続ける。

裏守備モンスターは雨四光に破壊され、二度目のドローで遊矢の残りLPは500。

再び裏守備で通常召喚し、ターンを終了する。



次のターンも徳松はドローを放棄し、遊矢の裏守備モンスターを破壊。

遊矢が次にドローすれば遊矢の敗北が決まってしまう・・・・。



デニスの問いに、エンジョイ長次郎について語るシンジとクロウ。

二人が子供の頃に憧れたデュエリスト。コモンズの希望の星。

勝ち負けに拘らず。劣勢な時でもデュエルを楽しむ事を忘れなかった。

ここ一番のドローでいつも奇跡を起こし勝利した。

人気デュエリストになった後も子供達によくデュエルを教えてくれた。

クロウもよくそのデュエル教室に行ったと言う。



若い連中がケンカをしていれば、

 「ケンカなんてくだらねえ真似はやめろ。」

と言って彼らにデュエルディスクを与え。

 「デュエルってのはただの勝負事じゃねえ。

  相手を知り、己をも知る。そして、それが互いの絆になる。それがデュエルだ。」

子供達にあれ程慕われていたエンジョイ長次郎が、なぜ今はこんなデュエルを・・・?



エンジョイ長次郎、凄いデュエリストだったんですね。

ケンカなんてくだらねえ真似はやめろ、と仲裁する所は、洋子と出会った時の遊勝を思わせるし、

デュエルで相手を知り、己をも知り、それが絆になる、というのは、遊馬や遊星の信念だし。

劣勢な時でもデュエルを楽しむ事を忘れなかったのは、十代を思わせ。

ここ一番のドローでいつも奇跡を起こし勝利するのは、闇遊戯を思い起こさせます。

歴代主人公達の信念を全部持っているような人です。凄い。

これなら、人気があったのも頷けます。



有名になった後もコモンズの子供達にデュエルを教えていたのも、

スラム出身からプロになったブラジルのサッカープレーヤーのようですね。



劣勢に追い込まれながら、徳松に何を言われても、負けを認めない遊矢。

「まだ、何も決まってないさ。

 この先、まだ何が起こるか分からない。だから楽しい。

「(デュエルを楽しむ事に意味は)ある!みんなを笑顔にする!」



遊矢が、とても主人公らしい事を言っています。

追い込まれて嘲笑され、メソメソしたいた初期の頃の遊矢とは違います。

ここまでハッキリと、自分の信念を強く持って言えるようになったのは、成長の証ですね。



諦めない遊矢に苛立ち、自分の過去を語り出す徳松。

トップスとコモンズの壁を打ち払おうと、トップスのデュエリストに挑んだが、

金にものを言わせて強いカードを手にした連中からの狙い撃ちを受けてしまう。

観客の声援はブーイングから嘲笑に変わり。

打ちのめされたエンジョイ長次郎は、もう声援も笑顔も要らないと、

再起を賭けたデュエルで、不正をしてしまう。

それ以来、運を天に任せるドローに頼るデュエルを捨て、

この必殺コンボを生みだしたと言う。



追い詰められて不正をしてしまい、それが切っ掛けで落ちぶれ、

デュエルを楽しめないようになった、という所が、ZEXALのシャークを思い出させます。

不正を悔いているからこそ、苦しんだんだろうな・・・。



そして、ゴーグルをつけた遊矢の、気合いのドロー。

遊矢が引いたのは、EM(エンタメイト)レインゴート。

このカードを墓地に送る事で、雨四光の効果ダメージを無効に。

さらに、墓地のギッタンバッタを守備表示で特殊召喚

雨四光の攻撃を受けてもギッタンバッタは破壊されず、エンドフェイズにこのカードを墓地に送れば、

再びレインゴートを手札に戻し、次のターンもドロー毎のダメージを回避できる。



遂に、遊矢は徳松の必勝コンボを打ち破った。

だが、このまま徳松がドローを放棄し続ければ、遊矢のデッキ切れまでデュエルが続く。



対する徳松も、雨四光の効果ダメージを放棄して、数年ぶりのドローに指をかける。

イカサマして以来、まるで見捨てられたかのように、何度引こうとしてドロー出来なかったあのカード。

駆けつけた囚人達の声援を受けながら、笑顔を取り戻した徳松が、マジック、超こいこいを引き当てる。

その効果でリスクと引きかに見事引き当てた三枚のカーディアンを特殊召喚

三体でシンクロ召喚、カーディアン 猪鹿蝶が現れる。

「負けを恥じず、勝って奢らず、すなわち、レッツ・エンジョイ!」



長次郎の口上も凝ってます。

はしゃぐ囚人達も、元は長次郎の大ファンの子供達だったんでしょうね。



遊矢のギッタンバッタは猪鹿蝶に破壊されるが。

「これで終わるつもりはねえんだろ!」という徳松に笑顔で答える遊矢。

「お楽しみはこれからだ!」遊矢のエンタメモードで反撃が始まる。



引き当てたマジックを使い、手札からの特殊召喚を封じていた徳松の永続マジックを破壊、

新たにペンデュラムスケールをセットし、二体のモンスターをペンデュラム召喚。

雨四光を破壊し、P効果でダメージを防ぎ、Pゾーンのオッドアイズを特殊召喚し、猪鹿蝶へ攻撃。

徳松はトラップで猪鹿蝶の破壊を防ぐが、オッドアイズの効果でダメージは二倍。

さらに速攻魔法で攻撃力を上げたオッドアイズは二度目の攻撃を可能し、遊矢が勝利する。



徳松は負けを認め、こんな楽しいデュエルは久しぶりだと言う。

笑顔を取り戻したのは徳松だけではなかった。

わき起こる囚人達の長次郎コール。

「エンジョーイ!」と声援に笑顔で応える徳松。



その頃、ロジェ長官によるセレナの取り調べが始まろうとしていた・・・。





遊矢によるエンタメで、笑顔を取り戻した徳松。

諦めない遊矢の姿勢が、対戦相手にデュエルの楽しさを思い出させる、という展開でした。

遊矢のエンタメが、自分のファンの為だけの独りよがりなものから、段々変わってきています。



徳松の口上をみると、彼もかつてはエンターテイナーなデュエリストだったんですね。

たった一度でもイカサマをしてしまえば、過去の奇跡のドローもイカサマだったんじゃないか?と

疑われてしまいそうですが。

かつての長次郎ファンだった子供達は、マーカー付きとなり収容所に収監された今でも、

長次郎を慕い、彼のデュエルにワクワクする純粋な気持ちを忘れていない。

それほど、徳松は素晴らしいエンタメデュエリストだったのでしょう。



セレナが心配です。

最初はかなり暴れて手を焼いた、と報告されていたので、

セレナもずっと大人しくしていた訳では無く、抵抗していたんですね。

ロジェ長官はセレナに、一体何をするのか?

零児達のように記憶を操作したり、

あるいはアカデミアのように薬物や装置を使って記憶を直接調査したり、

もしくは電撃を使った拷問・・・はないと良いのですが。







作監:飯飼一幸・相坂直紀・白石悟)

(脚本:広田光毅