遊戯王ARC-V  第57話

第57話「黒い旋風 クロウ・ホーガン」



コモンズ達の住むスラムでDホイールを隠し、路地に身を潜めるユーゴと柚子。

ここがユーゴのふるさと。生まれた場所や親の顔は知らないというユーゴに、

私もお母さんの顔を知らないのだと柚子は言う。



柚子が母親の事に初めて言及しました。

修造の回想シーンに母親が全く登場せず、親子二人で生きてきたという言葉どおり、

柚子の母親は何らかの事情でいない様子です。



母親の顔を知らずに育った・・・というのは切ない話ですが。

母親の写真も無かったのかな?修造は母親について柚子に話したりしなかったのか?

詳しい事情は語られていませんが、柚子の出生には何か秘密があったり、この多次元世界と関係があるのか?



通りかかったセキュリティから身を隠す二人。

突然、柚子の言葉を遮って肩に手を回し、真剣な顔を近づけて、唇に指を当て静かにするよう促すユーゴ。

・・・て何だが、ドキドキするシーンですね。

二人の顔が近い。(笑)



トップスとコモンズで対立している場合じゃない、アカデミアの脅威が迫っている!と柚子はユーゴに訴える。



その頃、公園では遊矢を探して人々に尋ねる権現坂と、通信が妨害されていると途方に暮れるデニスの姿があった。

この通信の妨害はこの世界の規制の厳しさのせいだと、デニスは理解しています。

日差しを避けようと、シルクハットを取り出すデニスのマジックに、子供がコインを投げ入れ。

デニスが何かを思いつく。



エンタメの見せ方にもいろいろありますが、

遊矢のエンタメは、サーカスのショー的で、

デニスのエンタメは、マジシャン(手品師)的です。

デニスのスマートな身のこなし、場の雰囲気に合わせた振る舞い方は、

遊矢とはまた違ったエンターテイナーですね。



クロウと別れて去って行くDホイーラー達。

彼らとはどんな関係なんだろう?ただのDホイーラー仲間?



「お前、すげえな。

 あんだけのセキュリティ相手に立派にその子を守ろうとしてた。

 子供を庇う奴に悪い奴はいねえ。見所あるぜ、お前。」



マーカーだらけの顔の男から突然褒められ、戸惑う遊矢。



クロウが遊矢を助けたのは、零羅を守ろうとする遊矢の姿に感心したから?

この世界のクロウも、子供好きな様子です。

たったそれだけの理由で、セキュリティに介入してしまうお人好しな所も。



一緒に暮らしているらしい少女、アマンダに、青年はクロウと呼ばれていた。

今日はいいもんが手に入ったぞ!と言ってクロウがアマンダに見せたのは、ツナ缶!

彼らの暮らしの厳しさを感じさせます・・・。

そんな苦しそうな食糧事情の中、遊矢達にも食べ物を分けてくれるクロウの優しさ。



どこから来たのかというクロウの問いに、

出しゃばる沢渡が勝手に説明を始める。

沢渡は舞網市の無敗のデュエリスト、遊矢は俺の弟子、と紹介してます。(笑)

セレナの事は「気の強い女」と言ってますね。セレナは特につっこまず、黙って怒ってますが。

気の強さは自覚してるのかな。

沢渡のくだらなさにはあえて取り合わず、という所でしょうか。



それを聞いて、やばい奴を助けちまったかなぁとおどけるクロウ。(笑)

遊矢達はほとぼりが冷めるまでここに泊めてもらえる事に。



公園で大道芸を披露するデニスと、その隣で不機嫌そうに小旗を振る権現坂。

権現坂が低い声でレディースエンドジェントルメーンと呟いてます。

こうして目立つ事をしていればきっと遊矢達が見つけてくれるはずだという、

デニスのアイデアでした。

小銭も稼げるし、ここでの生活費もまかなえる上手い方法ですね。



一方、レストランの前で、アカデミアの脅威を市民に訴えかける柚子。

しかし、次元戦争などという話を信じてもらえるはずもなく。

「簡単じゃないのは分かってる。でも、地道に説得していかないと・・・。」



柚子は真面目ですね。

彼女はシンクロ次元の人間ではないのに、この次元の事を本気で心配してくれてます。

エクシーズ次元の悲劇を直接見た訳でもないのに、黒咲隼の話を信じ、

その悲劇を繰り返すまいと頑張っています。



カード化されたハリルとオルガのカードは、今も柚子が持っていたのか。

カード化された人を元に戻す方法は、果たしてあるのか・・・?

今の所、元に戻った人はいない様子です。



セキュリティに手配されているのに、街の中でこんなに堂々としていて大丈夫なのか??と

思いましたが。セキュリティが探しているのはスラム街の方で、トップスの街には捜査は及んでいない?

監視カメラなどで見つからなければ良いのですが。

その危険も顧みず、という事なら、柚子の勇気と覚悟は相当なものです。



見かねたユーゴが、柚子の話は本当なんだと一緒に訴えるが、返って馬鹿にされてしまう。

次元を超えて見せろと言われ、ムキになったユーゴがクリアウィングのカードを掲げるが、

やはり何も起こらず・・・。

あまりの不審さと迷惑ぶりにレストランのウェイターにはセキュリティを呼ばれ、

その隙にコモンズの子供がワゴンのお菓子を盗まれ大騒ぎに。



市民に訴える柚子に協力をしてくれるユーゴが優しいです。

ちなみに、この場面で登場したウェイター、ZEXALの桑原監督がモデルらしい、という話を聞きました。



日が暮れて、クロウの元に返ってきたタナーとフランクは、盗んできたお菓子を披露。

パクってきた!という二人をクロウが叱る。

クロウはこの世界でのコモンズへの差別を遊矢達に説明する。



こんな事して収容所送りにでもなったらどうする!?と言い、

子供達の事を本気で心配しているのが分かります。

自分の顔はマーカーだらけですが、子供達は犯罪者にしたくないんですね。

所で、このアマンダ、タナー、フランクの子供三人は、クロウとどういう関係?

弟妹ではないけど、クロウが一人で面倒を見ている?

やはり孤児なのかな?



タナーとフランクが、遊矢とセレナを見て、さっきの人!と言いだし。

二人が町中で柚子とユーゴを見たのだと知る。

クロウは遊矢の真剣な表情を見て、セキュリティに追われている遊矢達に代わり、仲間を探してやると言う。



追われている遊矢達を匿うだけでも危険なのに、仲間捜しまで。

本当にいい奴です。クロウ!



TV番組”TELL ME MELISSA”(教えてメリッサ)。

メリッサがセントラルパークで人気の大道芸人として、デニスと権現坂を紹介する。

テレビの取材と観客の子供達の期待に応えようと、ヒーローショー風にデュエルしようとデニスが提案。

自分がヒーロー、ゴンちゃんが悪役だといい、強引にデュエルを始めるデニス。

アクションフィールドが展開し、デュエルが始まる。



先攻のデニスが、マジックで権現坂の場にEm(エンタメイジ)ヒグルミを特殊召喚

火を纏わされ怒る権現坂を、炎の怪人が暴れているぞ!と悪役に仕立て上げる。

さらにEm ウィンド・サッカーを特殊召喚、マジックを使って権現坂にダメージを与える。



勝手に悪役にされた事に怒り出し、本気を出すと言う権現坂。

相手の調子に合わせて悪役を大人しく演じるようなノリの良さは権現坂には無かったようです。(笑)

真面目に遊矢捜しをしていない!と苛立ちをデニスにぶつけ。

自分が本当のヒーローなのだと子供達に宣言。

やる気の権現坂に合わせて、悪役に転向するデニス。



デニスの悪役ぶりが楽しい。

声のトーンを落とした悪役っぽく演技。

自分を「我が輩」といい、アイマスクを付けて、台詞にもいちいち「悪」を付けて強調しています。

声優さんの中には悪役を演じる時の方がノリが良い方もいますが、デニスもそういうタイプかな。

悪役を楽しんでますね。(笑)



しかし、デニスが実はアカデミアのスパイである事を考えると、見ている方としては複雑ですね。(笑)

この悪役の演技の方が本性、という事はないと思いますが。

普段のあの調子の良さを考えると、誰かを陥れようと画策ような悪意はあまり感じられず。

スパイをしているのも、何か理由がありそうな気がします。



権現坂が超重神鬼 シュテンドーGをシンクロ召喚

ダブル・ホーンとシャイン・クローを装備し、

守備表示での攻撃でウィンド・サッカーを破壊、さらに二回目の攻撃でデニスに大ダメージを与える。



対するデニスがP召喚し、ウィンド・サッカーとヒグルミが復活する。



初めてP召喚を目にするメリッサが興奮しながら実況する中、

長官は二度目のP召喚をモニターから観察していた。



「新たな駒が加わりましたね」と忌々しげに言い放った長官。

未知の召喚法が次々と現れるこの状況を不快に感じているようです。

新たな召喚法の出現に興味を持ち、その力を取り込もうとした零児とは違っています。

自分の知らないもの、支配できないものが嫌いなのかな。



さらにデニスがエクシーズ召喚、Em トラピーズ・マジシャンが現れる。

観戦する子供達と実況のメリッサが、初めて目にするエクシーズ召喚に驚く。



TVを通して、この世界の人達がP召喚に続き、エクシーズ召喚を初めて知る事に。

ランサーズの中でなら遊矢、零児、零羅もエクシーズを扱えるし、

シンクロ次元で最初にエクシーズ召喚を披露するなら、やはりエクシーズ次元出身の黒咲隼かと

思いましたが、デニスだったのが意外でした。



5D'sの頃はエクシーズ召喚はまだ無かったので、

このシンクロ次元でエクシーズが大暴れしたらどうなるのか?

と考えるとワクワクしますね。



さらに、二体のP効果でシュテンドーGは守備力を下げ、

貫通効果を得たトラピーズ・マジシャンの二回の攻撃を受ける。

装備効果でシュテンドーGの破壊は免れるが、権現坂は大ダメージを受けてしまう。



子供達の声援を受け、正義のヒーロー、権現坂のターンが始まる。

シュテンドーGの装備を解除し、チューナーを召喚。

四体でシンクロ召喚、超重荒神 スサノーOが現れる。

その効果でデニスの墓地のマジックを使い、マジック扱いのPゾーンのカードを手札に戻させ。

守備力が戻ったスサノーOが守備表示で攻撃、トラピーズ・マジシャンを破壊し、勝利する。



権現坂の勝利に観戦していた子供達も大喜び。

観客が去った後、二人に話しかけてくる男が現れる。

車の中からデュエルを見ていたその男は、プロモーターのギャラガーと名乗り、

その腕前、俺に預けてみねえか?と言い・・・。







クロウと遊矢達の出会い。

深く事情に立ち入ること無く、遊矢達を匿い、受け入れてくれました。

こういう所は、人情に厚いクロウらしいです。



まだ登場二話目ですが、5D'sのクロウとは少し違う感じかな?

遊星やジャックのような仲間が側にいないし、

相手が年下の遊矢達のせいかもしれませんが、

やんちゃさ、悪ガキっぽさはあまり感じまず、落ち着きのある大人の印象です。



5D'sと同じキャラであっても、育った環境が違うとすれば、

クロウだけでなく、ジャックもまた5D'sとは違った性格なのかもしれません。

もしもゼロ・リバースの悲劇がなかったら、生まれ育った環境が違っていたら、

あり得たかも知れないもう一つの世界のクロウとジャック、なのだと思います。

そう考えると、ジャックとクロウのスピンオフとしてシンクロ次元編は楽しめそうです。



今回はコミカルシーンも多く、デニスと権現坂のデュエルが見れて、楽しい回でした!

軟派で気楽なデニスと、硬派で頭の固い権現坂、という真逆の二人のコンビがなかなか面白いです。(笑)

寄せ集め感のあるランサーズで、お互いをよく知らないまま一緒に戦うのはどうかと思いましたが。

今回のように仲間同士でデュエルしたり、或いはタッグを組んで共に戦ったりして、

いろいろな組み合わせで仲良くなっていって欲しいし、それぞれのキャラの関係性やドラマが見たいですね。



シンクロ次元編になってからまだ登場していないのは、零児と黒咲隼と月影の三人。

予告によれば次回隼が登場しそうですが。

全員合流できるのでしょうか?



5D'sの小ネタがいろいろ!!

路地にいたのは、カーリーに情報を売ったフィギュア屋のおやじ。

この世界の紙幣に印刷されているあの顔は、イェーガー!

5D'sファンには嬉しい仕掛けでした!

この世界にいるのはクロウとジャックだけではなく、

他のキャラ達も5D'sとは違った人生をそれぞれ生きているのかな。





権現坂の迫力あるアクション。

アップの時に主線が太さ、力強さ。

デニスの身振り手振りの仕草も楽しい。



言葉で直接的に形容せずに、会話を通してキャラクターを表現するのが上手いなーという個人的な印象。





作監:川村裕哉)

(脚本:田村竜)