遊戯王ARC-V  第36話

第36話「共鳴する竜」



デュエルディスクを構える遊矢。

バトルロイヤルモードが発動し、遊矢がユートと素良のデュエルに加わる。



早速ペンデュラム召喚でオッドアイズを呼ぶ遊矢。

その時、遊矢とユートに異変が。

遊矢は体が熱いと言い。

オッドアイズとダークリベリオン、二体の竜が呼び合うように咆哮する。



ユートがペンデュラム召喚を見るのは、これが初めて?

あまり驚く様子はみられませんでしたが、

この召喚法の事は隼から情報を得て知っていたのかもしれません。



同じ顔の二人、咆哮するドラゴン、となると、

やはり遊矢とユートには世界を越えた関係が何かあるようです。



遊矢がオッドアイズで攻撃を仕掛けるが、ユートは永続トラップでこれを無効に。

攻撃を防ぐトラップを伏せながら、シザー・ベアの攻撃時に使用せず、二度目のエクシーズ召喚に繋げた事、

そのくせORUを一つ残した事が許せない素良。

「どこまで僕をバカにする気なんだ!」



時読みのペンデュラム効果でユートの永続トラップを無効にするが、

これもユートが発動したもう一枚のトラップにより阻まれ、オッドアイズは攻撃出来ずにターンを終了する。



そこに素良が遊矢を突き飛ばし、アイツは僕の獲物だ!遊矢は手を出すな!と言う。

獲物という言葉に、遊矢は驚き、その意味をユートと素良に問いただす。

柚子がユートに語った事は、本当なのか?と。



だが、ユートは遊矢の問いに何も答えず。

それをみた素良が、そいつは負け犬の残党だと言い、またユートを煽る。

「僕の仲間達が制圧したエクシーズ次元から逃げてきた奴らなんだよ。」



この事は、隼との試合では明言していませんでした。

隼を煽る為の嘘か?とも思ってましたが。

やはり素良はユート達と敵対する勢力だったのか・・・。

今や遊矢の仲間となった素良が、ユート達の敵、と言うのは、なんだか残酷にも思えます。



ユートは反論する。

逃げてきたのではない。この世界に来たのは融合次元に対抗する為。



素良は言う。

「僕の仲間達は勇敢に戦い、エクシーズ次元に勝った。

 僕が負けたら、その仲間達の栄光に泥を塗る事になる。

 何より、僕が自分自身を許せない。」



この台詞からすると、素良はエクシーズ次元を制圧した自分の仲間達を誇りに思っている様子。

敗北を認めず、隼やユートに勝つことに強く執着する理由は、そこにある様です。



「アカデミアの特進クラスの中で最も優秀と言われ、特別任務に抜擢された僕が、

 エクシーズの負け犬なんかにやられるなんて、絶対にあり得ない!」



さらに「アカデミアの特進クラス」という言葉も。

やはり、エクシーズ次元を制圧した融合使い達の組織とは、「アカデミア」?

ユートが登場し時、敗北した沢渡に、アカデミアとの関係を聞いたのも、そういう訳か。

そして、零児はアカデミアの名前を知っていた。



素良に与えられた「特別任務」とは?

アカデミアの目的は?



遊矢の制止を振り切り、素良がデュエルを続ける。

トラップと墓地のモンスター効果を使い、素材を揃えて、手札のマジックで融合召喚

アカデミアで培った本当の本物の融合召喚で、最強のモンスターを呼び出してみせると言う素良。

その時、素良のデュエルディスクが赤く輝き、

今アカデミアに戻るわけにはいかない!と必死に抵抗しながら、素良の姿が消えてしまう。

モニター越しに見ていた零児は、おそらく強制送還されたのだろうと推測していた。

正体が明かされた時に発動するよう、デュエルディスクにプログラムされていたのだ、と。



突然の事態に混乱する遊矢は、次々と質問し、ユートはそれに答え、説明する。

素良は融合次元に戻った。

アカデミアにも医者はいるはずだから、素良の怪我を心配する必要は無いと、

アカデミアとは、「融合次元にあるデュエル戦士養成所」。



デュエル戦士、とは一体?

デュエリストを、戦場の兵士として育成するという事か?

そうなると、遊戯王GXに登場したアカデミアとは目的や性質が異なります。



場面は変わり。

海の中の孤島に、城のような建造物。

上空には不思議な物体が浮いています。

このシーンだけだと、GXのカラフルなデュエルアカデミアとは違う印象ですが、

全体の構造や外観が似ている所も。



構内の芝生に倒れている素良を、生徒が見つける。

生徒達の衣装、これもGXのものとは違いますが、青、赤、黄色の三色があり、

ここもデュエルアカデミアを思わせる要素です。

デュエルアカデミアに似た制度なら、青の制服は優秀な生徒の証。

素良が着ているのは制服ではなく私服の様ですが、青いジャケットなのは関係あるのかな?



プロフェッサーと呼ばれる男が、部下から素良帰還の報告を受ける。

部下の「敵」とい言葉を訂正させ、「スタンダードは敵ではない」といい、

素良の記憶を調べろと指示する。

緑に光る粒子が舞う、謎の巨大装置を見つめるプロフェッサー。



このプロフェッサーと呼ばれる男が、アカデミアの指揮を執っているのか?

彼の目的は?

「スタンダードは敵ではない」と言ったのは、驚異に値しない、敵以下の存在である、という意味なのか?

あの巨大な装置は一体何なのか?

融合次元を制圧した事と関係があるのか?

何となく、5D'sで登場したエネルギー機関、モーメントを思わせるような物体です。



赤馬零王に対抗する為に零児の身柄が必要だと、黒咲隼は以前言っていました。

零王とは、この男の事なのか?

零児とこのプロフェッサーでは、親子のようにはみえませんが・・・。

それとも、プロフェッサーに指示を出しているのが零王なのか?



素良がいなくなった事で、このデュエルは意味を成さなくなったといい、

ユートはマジックを使い、攻撃を防ぐ自分の場のトラップを全て除去し、

遊矢に「やりたければやれ。」と攻撃を誘う。

遊矢は「できるわけないだろ!」と言い、デッキを引き抜き、デュエルを中止。

同じくユートもデッキを引き抜き、デュエルは終了する。



自ら一歩引く事で、デュエルを終わらせるよう遊矢に促したのか。

ユートには元々戦う意志はなかった事が、この行動からも分かります。

遊矢にも戦う理由はないハズだと分かっていたから出来た事ですが。

もしも遊矢がデュエルを続行していたら、ユートはこのまま戦う覚悟もあったのかな。



素良が居なくなり、ユートは「どこかほっとしているんじゃないか?」と遊矢は言い当てる。

素良とのデュエルで手加減した事に言い及び、「お前、本当は戦いたくないんじゃないか?」と。



遊矢にはユートの気持ちが分かっているようです。

顔だけでなく、争いを好まない優しい性格も、この二人は似ているように思えます。

こんな出会い方でなかったら、二人は分かり合えたのかもしれません。

素良の事さえ無ければ、或いは今後その点が解決出来たら、仲間となって助け合えそうですが。



ユートは、アカデミアとの因縁を詳しく語り出す。

アカデミアはユート達の故郷、エクシーズ次元を蹂躙し、仲間の妹を連れ去った侵略者。

アカデミアが融合召喚を使うように、ユート達の世界のデュエリスト達は、みんなエクシーズ召喚と使っていたから、

アカデミアから「エクシーズ次元」と呼ばれていた。

かつてはエクシーズ次元でも、デュエルは戦いの道具では無かった。

侵攻してきたアカデミアは、ハートランドの人々を次々とカードに変えていった。



ユートの回想に登場する、笑顔が溢れていた頃のハートランドには、ハートの塔も登場しています。

遊戯王ゼアルに登場した、あのハートの塔です。

しかし、アカデミア襲撃後のハートランドの回想シーンには、ハートの塔は登場せず。

アカデミアに破壊されてしまったのか?



ゼアルのハートランドとの関係がとても気になります。

しかし、ユートも隼も、Dゲイザーを使用していません。

(回想シーンの子供達も、Dゲイザーを装着せず。ARデュエル特有の演出もありません。)

ゼアルのデュエルでは、必ずDゲイザーを使用し、または片目の瞳の色が変化する事でARデュエルに対応していました。

ユート達がDゲイザーを使わず、瞳の色も変化しない所を見ると、彼らのデュエルはARデュエルでは無さそうです。

デュエルディスクも、ゼアルのものとアークファイブのものとでは形状が違います。

侵略してきたアカデミアや、ユートと隼のデュエルで、

モンスターやデュエルのダメージが実体化してしまう点も、謎です。



そうなると、ユート達の語るハートランドとは、果たして、

遊馬達が活躍した舞台である、ゼアルのあのハートランドなのか?

遊馬達の時代から更に時代の進み、ARデュエルが進化した、未来のハートランド

それとも、景色もハートランドという名前も同じだけど、

遊馬達もARデュエルも存在しない、ゼアルの平行世界なのか?



ユートの語るハートランドの悲劇をモニター越しに聞いていた隼と零児が、苦々しい表情に変わる。

隼はともかく、零児もこの事実を知っていたのか?



ユートによれば、シンクロ次元も、確実に存在すると言う。

そして、遊矢達のいるこの世界は、「全ての基礎となる中心の世界」という意味で

「スタンダード」とアカデミアに呼ばれている。



「なぜ世界が、デュエルの召喚法によって別れているのかは謎だ。

 だが、事実である事は間違いない。」



この謎は、このアークファイブで最後に明かされるのでしょうか?

ゼアルでシンクロ召喚が登場しなかった事を考えると、この設定と構成はかなり以前から練られていた様に思えます。



もしかしたら、この件が2016年に公開予定の劇場版に関係してきたりするのかな?

2010年に公開された劇場版「超融合!時空を越えた絆」では、

当時放送中だった遊戯王5D'sの結末に関係する伏線が張られていたのを思い出します。



融合、エクシーズ、シンクロ、スタンダード。

世界は四つの次元に別れていて、融合次元がエクシーズ次元を侵攻している。

なぜそんな事になっているのか?



遊矢のこの問いに、モニター越しに零児が答える。

それは、赤馬零王の野望。



あのプロフェッサーと呼ばれる男が、零王なのか?

零児や日美香は、零王のこの野望を知っていて、

LDSの支配を拡大し、舞網チャンピオンシップを開催し、

赤馬零王に対抗しようと備えてきたのか?



だとすると、一人の男の野望に、妻と息子が反旗を翻すという、

複雑な家庭事情を赤馬家は抱えている事になります。

家族同士でいがみ合うとは、辛い話です。



遊矢はユートの話が信じられないと言う。

デュエルを使って世界を侵略だなんて。

デュエルは争いの道具なんかじゃない。

俺の信じるデュエルは、人を笑顔にする為の、人を幸せにする為のエンタメだ!



デュエルを人を傷つける為に使うなんて許せない!という、遊矢のその言葉にはっとするユートが、

「お前・・・。」と言いかける。



ユートには遊矢と同じ思いが、かつてはあったのかもしれません。

アカデミアとの厳しい戦いの中で、いつしかデュエルは戦いの道具となってしまった。

でも本当はユートも、デュエルが人を幸せにする為のものであって欲しいと、

心のどこかで思っていたのかな。



デュエルにかける思いが同じなら、いつかきっと、ユートと遊矢は分かり合えそうな気がします。



その時、閃光が走り。

零児達が見ていたモニター映像が消えてしまう。

遊矢達の前に現れたのは、白いバイクに白いヘルメットを被った男。

そして、バイクの衝突で倒された、監視カメラ付きの街灯が。

「イッチッチ・・・!

 ったく!何だってこんなもんが突っ立ってんだ!?」」



この第一声に笑いました。

この男、以前ユートの回想シーン(18話)で登場した、白バイクですね。

新OPでのバイク疾走シーンがあまりにもカッコ良くて、本編での登場を楽しみにしていましたが。

「イッチッチ」なんて言ってしまい、街灯を倒してしまうような、うっかりなキャラだったとは。(笑)



男はユートを見て反応する。

「あっ、おメエは!!

 ここで会ったが百年目!探したぜ!」



男を見て、俺にそっくりなやつが二人!?と驚く遊矢。



髪型や目付きの違いで、デザイン的にはあまり似ているという印象はありませんが、

遊矢、ユートと、この男は、顔がそっくりらしい。



この男(テロップによれば、名前はユーゴ)は、一体何者なのか?

ユートがシンクロ次元の存在を示唆したときの回想シーンにも登場した所をみると、

シンクロ次元から来たシンクロ使い、なのか?

なぜ、ここに現れたのか?ユートを探していたのは何故か?

18話の回想シーンではユートと敵対している様子でしたが。

ユーゴは、アカデミアの手先なのか?それとも別の理由でレジスタンスと敵対しているのか?



何よりも、あのバイク!!

遊戯王5D'sに登場した、デュエルするバイク、Dホイールを思わせます。

ユートがゼアルの世界に関係しているように、ユーゴは5D'sの世界と関係しているのか?

三人の顔が似ている理由は?



四つの次元の存在が今回明かされました。

融合、シンクロ、エクシーズの次元があるなら、儀式召喚の次元もあるのかな?

1期OPの冒頭で、遊矢のシルエットが五つ並ぶシーンがあった事と、

タイトルのARC-VにV(ファイブ)の文字がある事を考えると、5番目の次元もありそうな気がします。



ユート役の高木万平さんと、ユーゴ役の高木心平さんは双子という事で、

声も似ているのが面白い所です。



作監:佐藤道雄・飯飼一幸・井前隆生)

(脚本:上代務