遊戯王ARC-V  第24話

第24話「反逆の翼 レイド・ラプターズ



北斗、刃、真澄は「俺達三人に任せてくれ」と自ら申し出て、

襲撃犯を誘き出す囮を買って出たらしい。

舞網市内を歩き回る北斗と真澄を監視するデュエル管制室。

刃一人だけは作戦区域外に。



その頃、素良はジュニアユース選手権への出場権を獲得し、大はしゃぎ。

出会った頃に比べて、遊矢達ともすっかり仲良くなってますね、素良。

アユ達とも仲直り出来たのかな。



柚子は町中で真澄を見かけ、遊矢達と離れて真澄を追いかける。

前回の件もあって、何かを予感したのか?

目の前でユート達が消えるのを目撃した後、真澄達とちゃんと話をしていないのかな。

柚子が襲撃犯と関係があるという疑いは晴れてないのか?



真澄の前に、黒咲隼が現れる。



 隼 「一人か?あの時のガキとオンナはどうした?」



あの時のガキとオンナ、というのは、柚子と素良の事か。

柚子を「オンナ」と呼んでいる所を見ると、柚子が瑠璃ではないと今は理解している様です。

ユートから瑠璃に似ているが瑠璃ではないと説明を受けたのかな。



マルコ先生をどうした!?と問う真澄に、隼は「大した腕じゃなかった」という。

「実戦経験の無さが露骨に現れた、哀れなほど薄っぺらな」とも言っています。

マルコを貶すのは、真澄を故意に挑発する為か?



以前のユートが、沢渡のデュエルを

「刃のごとき鋭さも、弾丸のごとき威力も感じられない」

「易い戦略だ、児戯にも等しい」

などと言っていましたが。

今回の隼もLDSのデュエリストに対し、

「奴らのデュエルには、鉄の意志も、鋼の強さも感じられなかった。」と。



隼もユートも、相手のデュエルを見下しているように見えます。

異世界から来た彼らは、平和な世界でデュエルするお前達とは違う、

自分達はもっと過酷な環境でデュエルしてきた、とでも言いたげです。



マルコ先生への侮辱は許さないと憤る真澄。

隼はLDS襲撃事件は全部「俺がやった」を白状し、

許さないと言うなら俺を倒して恨みを晴らせ!と言いデュエルディスクを構える。



真澄は北斗と刃を通信で呼ぶ。

刃一人が作戦区域外に居たのは、やはり権現坂に特訓をしていたからか。

真澄は自分が囮だった事を明かし、LDSのトップチームが来る前に、

自分達三人で襲撃犯を倒そうとしていた。



バトルロイヤルルールで三対一でのデュエルが始まる。



真澄はモンスター一体を召喚し、隼が三体のレイド・ラプターズ・バニシングレイニアスを召喚。

続く北斗が場にセイクリッドモンスターを揃える。

セイクリッド・プレアデスと、セイクリッド・トレミス メシエセブンをエクシーズ召喚。



同じエクシーズ使いとして、エクシーズを悪用する隼を許せない北斗は、

エクシーズの名誉を守るために隼を倒すと宣言する。

イヤミな印象の北斗ですが、こうしうプライドの高さは好感が持てます。



刃のターン、エックスセイバー・ウェインとダブルエックス・セイバー・ガトムズ、

更にダブルエックス・セイバー・ヒュンレイの三体をシンクロ召喚

刃のエックスセイバーと北斗のセイクリッドの効果で、

隼の場の三体のバニシングレイニアスを手札に戻させ、三枚の伏せカードを破壊。

さらに、手札まで捨てさせる。



ガトムズは権現坂戦でも登場したモンスターですが。

刃は「お前には禁じ手を使ってやるぜ!」と言っていたのは、

場のモンスターを手札に戻させた後に、その手札を捨てさせる事を言っているのかな?



最後はお前が決めろと、真澄に託して刃がターンを終了する。

デュエル開始前に北斗は真澄に「マルコ先生の仇は僕らが必ず討たせてやる。」と言ってます。

あくまで主役は真澄で、北斗と刃は真澄を立てるようなサポートをみせる。

三人の仲の良さが伺える連携ぶりです。

普段はライバル同士で馴れ合わないけど、仲間のピンチには駆けつける、

そんな感じでしょうか。



真澄はジェムナイトレディ・ラピスラズリ融合召喚

その瞬間、劣勢に追い込まれても微動だにしなかった隼の表情が一変する。

さらに真澄がジェムナイトマスター・ダイヤを融合召喚

ラピスラズリで効果ダメージを与えた後、さらにラピスラズリの効果を得たダイヤで、

再びダメージを与え、隼のLPに止めを刺そうとするが。



隼は墓地からトラップを発動し、効果ダメージを無効化。

さらにこのターンの戦闘ダメージも無効にされ、残り10の隼のLPを削れぬまま真澄はターンを終了する。



崖っぷちに追い込まれていると揶揄する北斗に、隼は言う。

「そう、俺達はまさに絶体絶命の崖っぷちに追い込まれている。」

「だが、そこから必ず立ち上がる!

 そして最後には敵を圧倒し殲滅する!」



以前の「戦場」という言葉といい、この台詞といい、

ユートと隼は深刻な事態の中にあり、相当な覚悟でデュエルしているのが伺えます。

彼らの世界で、一体何があったのか・・・?



マジックを使い、墓地のバニシングレイニアスでエクシーズ召喚。

ランク4、レイド・ラプターズ ライズファルコンが現れる。

特殊召喚されたモンスター全ての攻撃力を自分の攻撃力に加え、

特殊召喚されたモンスターの数だけ攻撃を可能とする。

攻撃力16400となったライズファルコンの7回攻撃で、北斗・刃・真澄の場のモンスターは全滅し、敗北する。



倒れた真澄・北斗・刃を見下ろす隼。

そこにLDSトップチームが駆けつける。

雑魚の相手は沢山だ、ボスを連れてこいと言う隼の前に、赤馬零児が姿を現した。







一方、真澄を追って路地裏を彷徨う柚子の前、ユートが現れ。

「この先に行かせる訳にはいかない。」と行く手を阻む。



「俺の仲間の邪魔をされたくない。」と言うユート。

以前は隼に「ここは俺達の戦場ではない。彼らは我々の敵ではないと!」とユートは言ってましたが。

敵ではない者とデュエルする隼の行動を今回は止めないのは、なぜ?

今までの襲撃とは違う理由があるのか?



真澄の危機に気づいた柚子は「お願い止めて!」と頼む。



 柚子 「あの時は止めてくれたじゃない!なんで今は・・・。」



 ユート 「君は知らなくていい。

      巻き込みたくない。」



意を決した柚子が、ユートを無視し先へ進もうとするが、その腕をユートが掴み、

「君を傷つけたくないんだ!」と力強く訴える。

その言葉にはっとする柚子・・・。



 柚子 「傷つけたくない?なぜ私にはそんな事言いながら、他の人は傷つけるの?」



    「真澄は・・・彼女は傷ついてもいいって言うの?」



柚子の台詞が正論ですね。

「君を傷つけたくない」の言葉に、女の子ならドキドキしてしまいそうですが、

(言っている本人に自覚はないにしろ)そんな魅力的な言葉にそう簡単に惑わされたりしません。

柚子はしっかり者です。



柚子の言葉に思わず言葉に詰まり、視線を逸らすユート。

あなたたちは何者なの?と問う柚子。



ユートが、遂にその問いに答えた。



 ユート 「俺達は仲間を、敵に囚われた大切な仲間を救おうとしている。」



大切な仲間、それが隼が言っていた「瑠璃」だと柚子が気づく。



 柚子 「囚われた大切な仲間って瑠璃?その人に私が似てるの?」



 ユート 「俺も最初、そう思った。

      なぜ瑠璃がここに?と。

      だが、君は瑠璃じゃない。瑠璃が敵の召喚法を習うわけがない。」



最初に沢渡とデュエルした時は、ユートも柚子を瑠璃だと思っていたのか。(7話)

だとすると、あの時のユートの「もう君を傷つけたくない」の台詞は、瑠璃に向けて言ったもの。

瑠璃を「傷つけた」のは、守り切れずに敵に囚われてしまった事を指しているのか。



素顔を見せたユートの事を、ユウヤと呼んだ事に違和感を感じ。

その後影から様子を伺い、柚子が素良に融合を習おうとした事で、

彼女が瑠璃ではないと気づいた。(18話)



しかし、今回のユートの「君を傷つけたくないんだ!」は、柚子に向けられた台詞ですよね。

柚子が瑠璃ではないなら、ユートには無関係のハズなのに。

その後も影から柚子を見守り続け。

人違いして柚子に迫る隼を腹パンチで遠ざけてくれたり。

今もこうして、巻き込みたくないと柚子を説得しようとしたり。

柚子の事を思ってくれているのが分かります。



隼が真澄の融合召喚を見て表情を変えたのも、敵の召喚法である融合を憎んでいたから・・・。



 柚子 「融合召喚が敵って・・・。

     私が融合召喚を習ったのは、塾を・・・仲間を守りたいと思ったから!」



仲間を思う気持ちは、ユートも柚子も同じなんですね。

柚子は融合を習った理由をキチンと言葉で説明するのは、

自分が敵ではない事を分かって欲しかったからかな。



 ユート 「俺達も瑠璃を、仲間を守る為に戦っている。

      この戦いを終わらせ、もう誰も傷つけられない世界を作る為に。

      その戦いに、君を巻き込みたくない。



      だが、もし戦わざるを得なくなった時には、

      生き抜いて欲しい。

      たとえ融合召喚を使ってでも。」



「生き抜く」という言葉から、彼らが命がけの緊迫した厳しい状況にいる事と、

ユートの柚子を思う気持ちが、この台詞から感じられます。



「だが、もし戦わざるを得なくなった時には」というのは・・・・



ブレスレットの件を考えると、柚子が今のこの事態に無関係ではないと予想できます。

ならば、いずれ戦いに巻き込まれる事は免れないと、ユートには分かっているのかな。

或いは、将来、柚子とユートが敵対関係になる事を暗示しているのか?



そして、その戦いの中で、柚子には「生き抜いて欲しい」と・・・。

もしも、この台詞が敵対する事を前提にしているのなら、

「誰も傷つけられない世界を作る」という、その悲願と引き替えにしてでも、

柚子には生きて欲しいという事なのか?



自分の仲間ならその召喚を使うはずがないと言う程、

敵が使う融合召喚をユートと隼は心底憎んでいて。

それでも柚子が使う融合は仲間を守るためだと、理解してくれています。

だから「融合を使ってでも」と。



以前の「このカードは君に似合わない」の言葉も、

瑠璃に似た柚子に、自分達が憎む融合を使って欲しくなかったのかな。



ユートの意外な言葉に呆気にとられる柚子に、ユートは言葉を続ける。



 ユート 「仲間のために強くなろうとした君は、変わろうとした君は間違ってない。」



影から柚子と素良のやり取りを聞いていたユートは、柚子の苦悩も知っていて、

だからこうして励ましてくれたんですね。



最後の「間違ってない」を言う時だけ、今までずっと険しかったユートの表情が一瞬和らぐ。

ユートの言葉にはっとする柚子。

柚子の中で、遊矢の言葉が蘇る。



 遊矢 「こいつと一緒に柚子は今までの自分とは違う自分になろうと頑張ってる。」



これは前回のミエル戦の後、融合のカードを柚子に返した時の遊矢の台詞。

その言葉と、その笑顔、柚子への優しさも、二人は似ている。

遊矢を見てユートと思い出し、ユートを見て遊矢を思い出してしまう柚子。

柚子が二人を重ねて見てしまうのも仕方ありません。



遊矢は柚子の様子がおかしい事に気付いていながら、特に何もせず、

今は選手権出場を目指してデュエルに集中していますが。

あれこれ悩みを聞き出そうとせずに、信じて離れて見守るのも、遊矢なりの優しさかもしれません。



 ユート 「俺も戦い続ける。瑠璃と仲間達と、俺達の未来を救う為に。



      君は、瑠璃によく似ている。」



瑠璃によく似ていると言った時のユートの声も、笑顔も、柔らかく優しい。



その場を去るユート。



 柚子 「待って!教えて!瑠璃って誰?」



 ユート 「瑠璃は、俺の仲間の、隼の妹だ。」



 柚子 「あなたは?あなたの名前は?」



 ユート 「俺は・・・ユート。」



 柚子 「ユート・・・。」



姿を消すユート。

今回はいつもの様にブレスレットの光で強制移動ではなく、自分の意志と力で消えた様です。



重要な事が二つ明かされました。

囚われた、柚子によく似たユート達の仲間、瑠璃とは、隼の妹だった。

隼が瑠璃に対して必死になる理由も、頷けます。



ユートにとって瑠璃は、どんな存在なのか?瑠璃にどんな感情を抱いていたのかが気になります。

大切な存在だと言うのは、仲間の隼の妹だからなのか?

それとも一緒に戦う戦士同士の絆や友情があるのか?



「瑠璃によく似ている」とユートが言っていたのは、外見の事だけじゃなく、

柚子が仲間のために強くなろうとした事を言っているのかな。

瑠璃も柚子の様に、仲間を守ろうと頑張る、真面目で優しい子だったのかもしれません。



そして、遂ににユートが柚子の前で名乗りました。

ユートの名が最初に呼ばれ、その名が明かされたのは21話でしたが。

この時、柚子は突き飛ばされて倒れていた為、二人の会話を聞いてません。







どう見ても、惹かれ合っているように見える柚子とユートの会話が気になってしまう回でした。

ユートは、誠意を持って柚子の質問に答えようとしている。

ユートの、柚子に向ける言葉の一つ一つがとても優しく感じます。



モンスターの怒濤の大量展開と、それを一気に覆すデュエル展開に盛り上がりました。

真澄・北斗・刃の三人の仲の良さ、見事な連携、それすらも圧倒する隼のデュエル。

四人ともカッコ良かった。







夕闇の中でのデュエルで、陰影強め、キャラ顔がキレイ。

召喚時のアクション、真澄の髪の揺れ。

隼の一瞬の目のアップと顔芸の気迫。

隼の気合いのドローと共に鳥たちが飛び立つ描写がドラマチック。

ライズファルコンの攻撃の衝撃で真澄達三人が派手に吹き飛ばされる所。



今回は複雑なデザインのモンスターが多数登場しましたが、

以前の登場回と比べると画面がゴチャゴチャせず、モンスターが見やすくて、アクションもかっこいい。



総作監の修正は総作監の原さんが選ぶ訳では無く、監督からの要請等で決まるらしい。

今回の黒咲は修正は殆どなく、柚子の修正は入っているそう。(作監さんのツイッターより)



柚子ちゃんの顔は、カット毎に結構違う時があるので、確かにバランスが難しいデザインなのかもしれません。



作監:蛯名秀和)

(脚本:上代務