遊戯王ARC-V  第21話

第21話「ペンデュラムのその先に」



赤馬零児はペンデュラムカードの開発実験をしていた。

実験は成功し、レオ・コーポレーション製ペンデュラムカードの完成は近いという。

しかし、それは遊矢の持つオリジナルのペンデュラムカードの完成度にはまだ及ばない。

発するエネルギーの質・量共に見劣りする、と。

カードの発するエネルギー、とは一体?



これまでも度々登場した「召喚反応の強さ」というものが気になります。

召喚反応とはそもそも何なのか?

反応の強弱は何で決まるのか?

デュエリストの実力?才能?精神状態?使用されるカード?



実践に投入するにはまだ程遠く、選手権開幕までにカードの完成を急がせる零児。

零児は完成させたこのペンデュラムカードで、何をするつもりなのか?



 零児 「この舞網市で行われる大会で、我々が苦杯をなめる訳にはいかない。

     相手がどこから来たデュエリストであろうとな。」



零児自身か、またはLDS生にこのカードで出場させるつもりなのか?

「どこから」というのは、この世界の世界各地からデュエリストが集まる、という事なのか。

それとも、異世界から来た者の事を指すのか?

黒マスクや素良などの異世界から来た者の存在に零児は気づいている?



遊勝塾で一人、険しい顔で悩む遊矢。

遊矢の回想では、ニコが「私が進める榊遊矢プロ化計画は順調」だと言う。

もしかして、遊矢のデュエルとエンタメを磨くために、 それに適した対戦相手をニコは選んでるのかな?



だがニコに、今の遊矢はまだまだ私の想定内、観客の予想を上回るデュエルを次こそ見せて欲しい、と

遊矢は課題を突きつけられていた。

遊矢は零児とのデュエルを思い出す。

融合、シンクロ、エクシーズ、そしてペンデュラム召喚までも使いこなし、

さらに、ペンデュラム召喚の進化の可能性が見えたという零児の言葉。

その進化の可能性が、零児には見えて、自分にはまだ見えていない事に、遊矢は焦りを感じていた。



一人黙々とドローの訓練をする修造に、俺はどうすればいい??と遊矢は問うが。

修造はドローする手を止めず、ただ、諦めるな!と遊矢に言う。



「俺には見えん!全く見えん!

 ここまで二人で歩いてきたというのに!

 今の俺には、娘の心が全然見え〜ん!」



修造の目には涙が。

アユ達は今日も塾に来ていない柚子の様子から、修造の悩みを察しているようです。



修造のこの泣き方をみるに、柊親子の関係はかなり悪化してる様子。

ブレスレットの件がまだ響いているようです。

結局その後も、柚子を納得させるような説明を、修造は出来なかったのか。



「ここまで二人で歩いてきた」という言葉からすると、父子家庭なのかな?

修造は柚子のブレスレットを、生まれた時からしていたと言ってましたが。

今柚子の周囲で起きている不思議な現象を考えると、

このブレスレットの謎は柚子の出生の秘密に関わるのかもしれません。



修造とは血の繋がらない親子の可能性。

或いは、修造と柚子の記憶が改ざんされている可能性。

異世界に関わる秘密などもありそうです。



その頃、柚子は素良の5戦目のデュエルに付き添っていた。

今度は歌舞伎デュエリスト

歌舞伎塾というデュエル塾があるようです。



融合を完全にマスターした柚子は、素良に尋ねられた召喚手順を正確に答えられるようになっていた。

舞台上でデュエルする素良に合わせて、召喚の動作と口上をシンクロさせる柚子。

そんな張り切る柚子の様子を「無理矢理テンションあげてるみたいだ」と言う素良。



その頃、真澄は黒マスクの男を探し続けていた。

行方不明のマルコ先生の手がかりを手に入れる為には、襲撃犯のあの男を捕まえるしかない。

男が本当に犯人かどうかは、デュエルして男がエクシーズ使いである事を確かめればよいと言う。



駆け出す真澄を見送る刃が「あいつ、ホント執念深いよな。」と言ってます。

お互いの性格もよく知っているような口ぶりです。

今回のマルコ先生の件以外でも、真澄がその執念深さをみせた事が過去にあったのかな?

北斗の方は「(真澄に聞こえたら)ぶっ飛ばされるぞ。」と。(笑)

普段からそれ程凶暴なのか。それとも単に、北斗からみると真澄は怖い女の子という事なのか。



そこに、権現坂が険しい表情で現れ。

突然、刃の前で土下座をして、シンクロを教えて欲しいと言い出す。



地面の上で曲がるリーゼント。(笑)

権現坂が、まさかシンクロに興味を持つとは。

しかも、対戦した相手に頭を下げてまで。

シンクロ召喚の威力に惹かれたのでしょうか。

選手権ではシンクロを使いこなす権現坂が見られる!?



真澄は立ち入り禁止となった事件現場で、高架橋の壁の傷跡を発見し、

マルコ先生の身を案じる。



港近くの倉庫街。

素良と柚子の前に現れ、あの黒マスクの男の居場所を教えろ!と言う真澄。

今、舞網市で起きている謎のデュエリストによる連続襲撃事件。

被害者は全て、LDSの関係者。

その被害者達はみな消えてしまったと、真澄は言う。



「マルコ先生が消えてしまったんだ。

 あんなに強くて優しかったマルコ先生が。

 今もどこかで苦しんでいるかもしれないんだ!」



知らないと繰り返す柚子に、しらばっくれるならデュエルで聞き出すといい、

真澄がデュエルディスクを構える。

LDSの融合召喚は大した事ないと言う素良の言葉は、

私に融合召喚を教えてくれたマルコ先生への侮辱だと、

今度は素良にデュエルを挑もうとする真澄。



「LDSこそ最強だ!」という真澄の声をきき。

「お前もLDSか?」

柚子を突き飛ばし、突如現れたのは、赤マスクの男(黒咲隼)。

LDSなら俺が相手だ!と隼がディスクを構える。



そこに駆けつけた黒マスクが、隼を止める。

「ヤメロ、隼!これ以上、無茶な事をするな!」

隼は黒マスクを「ユート」と呼び。

ここで初めて明かされる黒マスクの男の名前。



 ユート 「この前も言ったはずだ。

      ここは俺達の戦場ではない。

      彼らは我々の敵ではないと!」



 隼 「ここは俺の戦場だ!

    瑠璃を取り戻すにはこうするしかない。

    邪魔立てするなら貴様も倒す!」



言い争う二人。

会話の内容から察すると・・・。

赤マスク(隼)がLDSを襲っていたのは、瑠璃を取り戻す為。

以前の回想でも二人は瑠璃を捜していました。

ユートはLDSは敵ではないと言ってますが。

その瑠璃とLDSに何か関係があるのか?



北斗と刃をディスクの通信で呼ぶ真澄。

彼が本当に犯人かどうかはまだ分からないと制止する柚子。

その声を聞き、振り返った隼が驚く。



初めて柚子を正面から見た隼は、「瑠璃!」と。



 隼 「なぜ瑠璃がここに?

    逃げたのか?自力で脱出を?瑠璃!」



瑠璃と呼ばれて、戸惑う柚子。

柚子の怯えた様子からすると、隼とは面識がなさそう。



柚子に近づく隼の前に割って入り、腹パンチで隼を気絶させたのは、ユートだった。



 ユート 「彼女は瑠璃ではない。」



瑠璃、とは一体誰なのか?

二人にとって大事な存在の様ですが。

仲間か、それとも妹か?

ユートの回想シーンに出てきた、Dホイールらしきものに乗った人物とも関係がありそう。

瑠璃はあの男に連れ去られたのか?



ユートは、柚子を「瑠璃ではない」と言ってます。

いつからユートはその事に気づいていたのか?

沢渡とデュエルしたあの時も、柚子が瑠璃ではない事を承知で助けたのか?

柚子が彼らが探している瑠璃ではないと知っていたのなら、ユートが影から柚子を見守っていたのは何故か?

彼らにとって大切な存在であろう瑠璃と似ている柚子を、どんな思いでユートは見ていたのか・・・。



唐突な腹パンチにも驚きました。(笑)

ここで気絶させる必要があったのか?とも思いましたが。

真澄が応援を呼んでいる事から、ユートも焦っていたのかもしれません。

戦場という言葉と、あの出で立ちと、今回の腹パンとで、

ユートはかなり腕っ節の強い、逞しい男という印象を与えます。



しかし、仲間であるはずの隼に対して腹パンをするとは。

このまま隼を放置すれば面倒なことになると思ったのか?

隼が柚子に詰め寄る様子も、どこか怖く感じます。

隼が瑠璃に対して強い執着があるのだとしたら、言い聞かせるのも手間取りそうです。

怯える柚子を、人違いして迫る隼から守った、ようにも見えました。



遊矢は、連絡を受け真澄の元に向かう北斗と刃に出会い、事態を知る。



隼を肩に担いだまま、ユートは地面に落ちた柚子のカード、融合を拾い上げて言う。

「君のこのカードは似合わない。」



ユートは融合召喚も知っているのか?

なぜ、柚子にこんな事を言ったのか?

それは瑠璃にも関係があるのか?

似合わない、というのは、融合を使って欲しくないという意味なのか、

それとも、今の柚子のデッキ構成を考えての事なのか?



ユートとデュエルがしたい素良は、ユートを挑発するが。

そこに北斗、刃と一緒に遊矢が駆けつけ。

その時、また柚子のブレスレットが輝き出す。

隼と共にユートは消え。

真澄も二人が消える瞬間を目撃する事に。



混乱し戸惑う柚子に、遊矢は落ちたカードとディスクを拾い上げて渡す。

連絡を受け駆けつけたLDSを見て、面倒にならない内にとその場を去る素良と柚子。

二人の後を追う遊矢が、拾い忘れた柚子の融合カードを見つける。







ここの所の遊矢は、選手権出場を目指して自分のデュエルに集中するばかりで、

柚子の様子がおかしい事に気づきながらも、それをフォローする様子が見られません。

幼馴染みなのに、少し冷たいんじゃないかと思いましたが。



柚子から悩みを聞き出し相談に乗り言葉で励ますのではなく、

何も聞かずに落ちたカードとディスクを拾い渡す所に、

二人の距離感と幼馴染みとしての自然な気遣いが見られると、

ある方の意見を見て、なる程と思いました。



ユートが沢渡戦でみせた強気な態度、「児戯にも等しい」などの強気な発言、

隼への腹パンチや、気絶した自分より長身の隼を軽々と肩に担ぐ様子など、

逞しく乱暴にも見えるユートですが、

一方で柚子に対しては「お前」とか「おい」などと呼ばずに「君」と呼ぶ所に、

紳士な性格を感じさせます。

「誰も傷つけたくない」などの発言からも優しさが見て取れ、

もしかしたら外見だけでなく性格も遊矢に似ているのかもしれません。



真澄は今回自分がみた不思議な現象もLDSに報告するでしょう。

その報告を聞いた時、零児は何を思うのか?



今回もまたデュエルなし。

15話・18話と今回の21話で、ここの所2話おきにデュエルの無い回が入ってます。

ドラマがかなり複雑な展開の仕方をしているせいで、遊矢がジュニアユース選手権を目指すデュエル回と、

その周囲で起きる事件に焦点を当てる回とに別れてしまっているようです。



2話構成のデュエルをもう少し短縮して、他のドラマを挿入にても良い気がしますが。

今は遊矢のデュエルと精神面での成長を丁寧に描く時期なのかもしれません。



クッキングデュエリストとの戦いでおもてなしの心を学び、

クイズデュエリストとの戦いでは、デュエルはコミュニケーションツールである事を学んだ、

とニコは言ってますが。



未知夫戦では、母・洋子の差し入れが、食べる相手の事を思いやる料理での創意工夫、

それこそがおもてなしの心、と繋がります。

が、九庵堂戦の方は、最後に塾長が「デュエルはコミュニケーションツール」と唐突に言い出しただけで、

今一説得力に欠ける気がしました。

デュエルはコミュニケーションツールと言うなら、もう少し分かりやすく、

デュエル後に二人が打ち解けて仲良くなるような、

遊矢と九庵堂のコミュニケーションに関する要素を入れても良かったかな。



真澄の回想シーンのマルコ先生に爆笑しました。

思い詰めた真澄が、その思いを必死に語るシリアスなシーンなのに。(笑)

フリル付きの服を着て微笑むマルコ先生が、おかしくて。

あれは、わざとなのかな。



あのストイックそうな真澄ちゃんが憧れる講師とは、どんな人なのか?

女子が憧れる男性教師というと、ゼアルなら右京先生のようなタイプかな?と思ったのですが。

予想外のフリルで。

でも回想シーンを見る限り、真澄には優しくて尊敬できる、いい先生なんでしょうね。



柚子と素良のデュエル中の大胆なアクション。

柚子の上達を喜ぶ素良の笑顔やウインクなど、細かな仕草もかわいい。





作監:Noh Gil-bo)

(脚本:上代務