遊戯王ZEXAL II  第128話

第128話「別れの涙…超銀河眼の時空龍(ネオ・ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン)の暴威!!」



続くミザエルとV、IIIのデュエル。



時空竜を奪われたミザエルを見て

 「ドラゴン族使いがドラゴンを奪われちまうなんて、いくら何でもダメ過ぎるだろ?

  はっずかしー!」

と、高みの見物を楽しんでいる様子のベクター

足をバタバタさせて、はしゃいでいます。



122話の足の裏を叩き合わせて喜ぶ仕草など、ベクターの仕草はいつも

無邪気な子供の様で面白い。

ベクターというキャラ自身も、悪意に満ちたゲスい悪役ですが、

悪事を子供のイタズラのようにはしゃいで喜ぶ姿が、何ともおかしくて憎めないというか。

これまでの遊戯王シリーズには無かったタイプの悪役だと思います。



ミザエルは時空竜を取り戻す為の時間稼ぎに、召喚したモンスターの効果で相手のバトルを阻止する。

Vは墓地のダイソン・スフィアを復活させ、

マッジクで墓地のRUM - アージェント・カオス・フォースを手札に戻して発動。

 「天空を覆う星よ 森羅万象をその内に宿し、今ここに降臨せよ!」

CNo.9 天蓋妖星 カオス・ダイソン・スフィアを召喚する。



カオス・ダイソン・スフィアには、

バトルした相手を自分のORUとし、さらにORUの数だけ効果ダメージを与える効果を持っていた。

Vがカオス・アトランタルの効果を発動し、ミザエルのLPは1に。

これでカオス・ダイソン・スフィアの効果ダメージが決まれば・・・・。



  V「散るが良い、ミザエル!誇り高きバリアン七皇の戦士よ!」



敵であるミザエルに対する敬意を感じさせます。

この台詞からも、V達が決してIVの敵討ちの為、憎しみだけでデュエルしているのではないと分かります。

遊馬が伝えたかった事を、ちゃんと分かってくれていたんですね。



仮にここでV達がミザエルを倒す事ができたとしても・・・。

七皇の足止めが目的なら、フィールドに閉じ込めた残り二人、ドルベとメラグとも、続けてデュエルするつもりだったのかな・・・。

無茶を承知での、この作戦だったのか・・・。



だが、ミザエルのLPは1のまま。

ミザエルの発動したカウンタートラップが、カオス・ダイソン・スフィアの効果ダメージを無効化したのだ。

さらに、その効果で、Vが選択した自分フィールドの表側表示のカードをデッキに戻させ、

それがモンスターなら攻撃力分のダメージを受ける事に。



今表側表示のカードは、カオス・ダイソン・スフィアとカオス・アトランタル。

どちらをデッキに戻しても、残り少ないLPが尽きてしまう。

ダメージを回避するには、装備カード状態の時空竜を選択するしかなく、

一度時空竜を手放せば、ミザエルのネオタキオンの召喚を可能にしてしまう・・・・。



相手のバトルを無効化する効果モンスターを越えて、

効果ダメージを狙ってくると読んだ上でのミザエルの戦術だったのだ。



Vはカオス・ダイソン・スフィアのORUを使い、再び効果ダメージを狙うが、

これもミザエルの永続トラップに防がれ、さらにモンスターを特殊召喚させてしまう。



その頃、バリアン世界に向かうナッシュは、ギラグにより捕らわれてしまう。

全てはドン・サウザンドの為、というギラグの言葉を聞いて、

ようやうナッシュもドン・サウザンドの存在に気付くようですが。



七皇の中に、ドン・サウザンドに荷担し、七皇を裏切る者が居ると分かったら、

ナッシュはどうするのか?

遊馬と決着をつける事よりも、七皇の裏切り者を見つけ出す事、影で糸を引くドン・サウザンドを倒す事、

を優先してくれたらいいのですが・・・。



ドン・サウザンドが、今ギラグを使ってナッシュを捕らえたのは、あくまでも遊馬と戦わせない為の足止めのようです。

このままナッシュを殺したりはしないと思いますが。

ナッシュと遊馬に今戦われては困るというドン・サウザンドの思惑とは一体・・・?

むしろ二人に決着を付けさせ、ナッシュが勝利すればナンバーズとヌメロンコードも手に入れやすいように思えますが。



Vは二枚の永続トラップを発動し、ネオタキオンの攻撃を封じ、さらにターンの終了時にネオタキオンは破壊され、

その攻撃力分のダメージを与えるというコンボを仕掛ける。

だが、ネオタキオンの効果で、全てのカードは無効化され、

二枚の永続トラップも発動前の裏側表示へと戻されてしまい、このターン、ミザエルの許可無しには発動できない。

まるで時間を巻き戻したかのような、恐るべき効果。



さらに、ネオタキオンの効果で、ミザエルの場の攻撃していない二体のモンスターをリリースし、

ネオタキオンの攻撃を合計三回にしてしまう。



その時、上空へ向かって飛んでいく物体が。

それを見て、時は十分稼げたようだ、と悟るV。

遊馬はバリアン世界へ、そしてカイトは月に向かっている事をミザエルに明かす。

この二人の旅立ちを邪魔させない為の、七皇の足止め作戦だったのだ。



自分達のすべきことは終わったと言うIIIに、Vはまだ終わっていないといい、

遊馬との通信をつなぎ、ミザエルと遊馬にある事を語りだす。



カイトはドラゴンの伝説を解明するうち、ひとつの説を導き出した。

ナンバーズを揃えただけでは、ヌメロンコードは機能しないという。

カイトはジンロンの遺跡を再び訪れ、ドラゴンが描かれた石碑を発見する。



 「光と時の龍 生まれし地にて相まみえる時

  銀河の瞳・・・ 真に見開きて 新たな世界の扉を開く」



このシーンに登場する壁画には、三体の竜が描かれているように見えました。

三体・・・だとすると、光子竜と時空竜と、もう一体は・・・?

グルーオンか?それとも、それとは別の、新たなドラゴンなのか?



フォトンタキオン、両ギャラクシーアイズが生まれた地、とは、月。



竜と月について詳しい解説はありませんでしたが。

時空竜の召喚口上に「永遠を超える竜の星」というフレーズがありますが、

この竜の星とは月の事だったのか・・・。



回想でカイトはVに語る。



2体のギャラクシーアイズのデュエル。

その勝者が、新たなる世界の扉を開く。

それこそが、ヌメロンコードが機能することを意味するに違いない。

それに俺は知りたい。

真のドラゴン族使いとして、こいつの持つ真実を・・・。



VとIIIの真意を知った遊馬が、二人の元へ引き返そうとするが、

愚かな真似はするな!とVが制止する。

このデュエルを目に焼き付け、七皇の実力を知り、前に進め、と。



  III「小鳥・・・デュエル飯、ごちそうさま。

    あと、遊馬のおばあちゃんとお姉さんにも、よろしく。

    ご飯美味しかったって伝えて。」



突然、モニター越しの小鳥に背を向けたまま語りかけるIII。

その言葉に、別れを知り、涙を流す小鳥・・・。



しばらく九十九家に滞在していたIIIは、春ばあちゃんと明里姉ちゃんに

お世話になった事、忘れてはいないんですね。

短い間だったと思いますが、遊馬の家族、小鳥やナンバーズクラブのみんなと一緒に過ごした日々は、

今まで復讐の為に友達を持たなかったIIIにとって楽しかったのではないかと思います。



  III「遊馬・・・。

    意気地無しだとかウンザリだとか言って、ごめん・・・。

    あれは本心じゃない。

    遊馬、君は真の友だ。」



   「遊馬・・・君に出会えて、本当に良かった。」



   「ありがとう・・・。 そして・・・。

    さようなら・・・。」



モニター越しのIIIの別れが、辛いです・・。



遊馬達との通信の前に、自分達のすべきことは終わったと言ったIIIは、

Vがこの通信の準備をしていた事は知らなかった様です。

遊馬とケンカ別れのままで死ぬ覚悟だったんですね・・・。



VはVで、月での銀河眼対決を実現させる為に、ミザエルにカイトの行く先を伝える、

という重要な役目があった訳ですが。

誤解させたまま別れた遊馬に、自分達の真意を伝え、

IIIに、親友である遊馬へきちんとお別れを言わせる為に、

この通信を密かに準備していたんだろうな・・・。



ネオタキオンの二回の攻撃で、カオス・アトランタルとカオス・ダイソン・スフィアは破壊され、

三回目の攻撃がVとIIIを襲う。



  V「遊馬・・・後は頼んだぞ。」



  III「僕たちは・・・いつも君と・・・。

    君のかっとビング魂と共にある!」



ネオタキオンの放つ光の中で消えてゆくVとIII。

けれどその表情は、遊馬に希望を託そうとする強い意志を感じさせる。

悲壮な最期でした・・・。



託された遊馬は、どうなるんだろう・・・。

徳之助が消え、IVが敗れ、そしてVとIIIも・・・。

仲間達の犠牲を乗り越え、運命に立ち向かっていけるのか?

遊馬の精神面が心配です。



  ミザエル「さらばだ。誇り高き兄弟よ。」



敗北したVとIIIを、誇り高き兄弟と呼び、敬意を払っています。

敗者をあざ笑うような事はしません。

怒りや憎しみの感情任せではなく、

お互いに譲れない事情を承知の上での、覚悟のデュエルなのが、切ないです。



デュエルを見届けたベクターは早々に退散。

メラグとドルベに、ミザエルの勝利を喜ぶ様子はなく。

VとIIIの最期を見て、同情しているようです。



カイトもVとIIIの敗北をシャトルの中で知るも、厳しい表情を変えず。

こうなる事も覚悟していたのか・・・。



今回はEDも特別仕様。

トロン三兄弟の追悼版でした。

三兄弟の名場面が、三人が退場した今見ると、切ない・・・。

けど。ED最後のカットにあるように、必ず全員戻ってきて、笑顔でラストを迎えられると信じています。



IIIは本当に優しいな・・・。

WDCの時は、家族の為に自分を犠牲にし、

そして今は、真の友である遊馬の為に、自分を犠牲にしてしまう。

そんなIIIだからこそ、仲間を思う優しさを持つ遊馬と分かり合う事が出来たんだろうな、と思います。



IIIとVが共にデュエルする、という展開は意外でした。

IIIとVの会話というのも今まであまり無かった気がするので、二人の仲の良さが見れて嬉しいです。

IIIとIVはタッグデュエルした事がありましたが。

こうした兄弟同士のタッグデュエルで、お互い連携して戦うのをみると、

本当に仲の良い兄弟なんだなと思います。



もしも三兄弟に再度、再登場の機会があるとしたら。

それは、全ての問題が解決して、人間世界とバリアン世界の融合の危機が去った後、なのか、

あるいは・・・。

トロンが再登場し、息子達を救出するような事があると良いのですが。



今、トロンはどうしているんだろう?

息子達に紋章の力を分け与え、自分自身は力を失ってしまったのか?

今は静かに息子達の戦いを見守っているのか?



月に向かったカイトですが、前回、視界が霞むほどのあの疲労とダメージは、もう回復しているのかどうか。

それとも、満身創痍のままで、月でミザエルと決着をつけるつもりか?

カイトの父、フェイカーは、この世界の危機と、カイトの命がけの戦いを知っているのか?







遊馬にモニター越しに語りかける時のIIIの声が、柔らかくて、とても優しい・・・。

III役の池田恭祐さんの演技、良かったです。



VとIIIの退場という大事な回ですが、作画も良かったです。

脚本も、二人の兄弟の心情を分かりやすく丁寧に書いてくれていたと思います。



ネオタキオンの効果、タイムタイラントで時間が巻き戻される演出がユニーク。

効果が及ぶカードと効果描写のみネガ反転した色彩、映像の逆回し、BGMも逆回しです。





作監:関口雅浩・南伸一郎)

(脚本:広田光毅