遊戯王ZEXAL II  第126話

第126話「さらば友よ…虚空へ散る想い!!」



ボロボロになりながらも、怒りで奮い立ち、デュエルを続けるIV。

No.88 ギミック・パペット デステニー・レオを特殊召喚し、さらに、

RUM - アージェント・カオス・フォースを三度使い、

CNo.88 ギミック・パペット ディザスター・レオを召喚する。

これが最強で最後の切り札



紋章の力も使い、三度もRUMを使う事は、IVの体にも負担になっている様子。

片膝をつきかけましたが、なんとか持ちこたえています。



ディザスター・レオが効果でナッシュに4000のダメージを与え、ナッシュのLPを大きく削る。

さらに、ORUを使い切ったディザスター・レオには、デステニー・レオ同様に、特殊勝利条件があった。

今度こそナッシュの敗北か?と思われたが。



ナッシュはトラップでダーク・ナイトのCORUをディザスター・レオのORUに変えてしまう。

ターンは凌いだが、ディザスター・レオはダーク・ナイトの効果を受け付けない上、

CORUを失ったダーク・ナイトは、もはや不死身ではない。



  ナッシュ「IV、感謝するぜ。

       お前の憎しみがおれを追い込んでくれている・・・。

       引き返せない、地獄の深淵に・・・。」



そんなに地獄の深淵に自分を追いやっても、後で後悔する事になるだけなのに・・・。

かつてもシャークもIVも、もう引き返せないと思い込んでいた時期を経験しているハズなのに・・・。

その覚悟が見ていて辛いです。



ナッシュはマジック、運命のクロス・ドローで起死回生をはかる。

ナッシュがドローしたのは、モンスターカードだった!



  ナッシュ「・・・運命は俺に、戦えと言った・・・。」

      「よく見ておけIV!このカードこそが、真のバリアンとして生きていく運命の一枚!

       俺が、人の心に別れを告げる一枚!!」



人の心を捨てようとするナッシュの覚悟に、流石のIVも驚愕する。

もう、誰にもナッシュを止める事は出来ないのか・・・・?



LPを回復し、相手の場に召喚したモンスターを、ダーク・ナイトの効果でCORUに。

攻撃力の低いダーク・ナイトでディザスター・レオにバトルさせ、

自爆して復活させ、さらにLPを回復する。

速攻魔法パワー・ストリームでまたCORUを得る不死身のダーク・ナイト。

永続トラップがある限り、ディザスター・レオの特殊勝利条件は阻止されてしまう。



だが、ナッシュが運命のカードをドローした時、IVも強力な速攻魔法をドローしていた!

相手ターンに発動出来るこのカードの効果で、再びナッシュに大ダメージを与えるIV。



それでもなお、ナッシュは立ち上がり、自分の勝利を確信していた。

パワー・ストリームのもう一つの効果で、攻撃力を上げたダーク・ナイトが、バトルでディザスター・レオを破壊。

残り少ないIVのLPが、遂に尽きてしまう。

運命のクロス・ドローでモンスターカードを引いた時点で、ナッシュの勝利は確定していたのだ・・・。



ダメージを受けては復活と回復を繰り返す、粘り強いナッシュの戦法。

何度も立ち上がるナッシュに、怯まず立ち向かい、凌牙を取り戻す事を諦めないIVの強い思い。

熱くて、辛いデュエルです・・・。

IVは、不死身のダーク・ナイト相手によく持ちこたえたし、忍耐強さと不屈の闘志をみせてくれました。



  IV「そうさ・・・分かっていた・・・・分かっていたさ・・・。」



敗北したIVに別れを告げるナッシュは、凌牙の姿へと戻っています。

人間の心を持った凌牙として、IVの最期を見送りたかったのかな・・・。



後戻り出来ない様自分を追い込むために、IVを煽り、その憎しみを利用したことも、

IVはちゃんと気付いていた・・・・。

凌牙の運命を変えられなかった事を悔やみ、その先で待つ遊馬との辛い対決の事も、分かってくれている。



遊馬と戦うと言う凌牙に、

  IV「やっぱりそうなっちまうんだな・・・。全く、運命ってやつは・・・。」



IVにとっても大事な友であるはずの遊馬と凌牙が、この先互いに戦わなくてはならない残酷な運命。

「全く、運命ってやつは」と言うIVの自嘲気味の台詞が、悲しい・・・。



けど、最後にお前とやれてよかったと言うIV。

一足先に地獄で待ってるぜ、と言いながら瞼を閉じる・・・。(涙)

デュエルディスク付きのガントレットだけを残して、消えていきました。



残された凌牙も、「この戦いが終わったら、俺もすぐに行く・・・。」と言っています。

それは・・・どういう意味なのか??

ヌメロンコードを手に入れ、アストラル世界を滅ぼし、バリアン世界の危機を救って。

その後、どうするのか?

バリアン世界の平和を手に入れた所で、

遊馬達との絆を断ちきり、裏切ったのでは、その後バリアンの仲間達と幸せに暮らす、なんて到底出来そうにありませんが・・・。



全ての戦いが終わったら、死ぬつもりなのか?

だとしたら、メラグは、璃緒はどうする??

ナッシュを信じて共に戦ってきた仲間達は、それを受け入れられるのか?

その決意はまた、ナッシュの身勝手にも思えます。



優しさのあまり、凌牙も璃緒も、すぐ自分を犠牲にしてしまう。

そうした安易な自己犠牲が、新たな不幸を呼ぶ原因のように思えますが・・・。



デュエルを終え、ナッシュの元に集う七皇の仲間達。

メラグだけは視線を落とし、悲しそうでした・・・。

残りのナンバーズを持つのは、遊馬とカイト、IIIとVの四人のみ。



そして、この場にベクターは居ません。

ナッシュの実力を見て、七皇が一丸となったらベクターにとっても厄介だと考えています。

  

  ベクター「さあ、よからぬ企みをおっぱじめるか。」



124話以来の、多分通算五回目の「よからぬ」です。(笑)



この状況で、次は何をしようと言うのか?

ナンバーズを集め、ヌメロンコードを手に入れれば、七皇の仲間はベクターにとって用済みになるのか?

このままでもいずれナッシュとメラグがベクターに殺された記憶を取り戻せば、

ベクターの悪事がばれ、仲間達を敵に回す事になる。

そうなる前に、何か手をうつつもりなのか?



ベクターの真の目的は、遊馬への復讐ですが、

その復讐心をドン・サウザンドに利用されている可能性に、ベクターは気付いていないのか?



意識を取り戻した遊馬は、現状を知る。

七皇から遊馬を逃すため、鉄男とIVが残った事。

その時、IVの信号が消え、IVの敗北を知る一行。

そして、遊馬の為に駆けつけてくれたデュエリスト達も・・・。



遊馬は、俺のせいでみんなが・・・!と自分を責め始める。

そんな遊馬に語りかけたのは、意識を取り戻したばかりのカイトでした。

足っているのもやっとと言う辛そうな姿勢です。



お前のせいじゃない、俺達のせいだ。

今更事実を誤魔化してどうする?

辛いのはお前だけじゃない!と。



実にカイトらしい、厳しく力強い言葉。

そして、この人は本当に精神的に強いな。



遊馬の視線の先には、悲しみを堪えて背を向けて立つVとIII。



  V「その通りだ、遊馬。

    君がここで弱気になったら、IVは・・・。

    いや、トーマスやみんなは犬死にだ!」



トーマスって言った!!

遊馬がこの名を知るのは、初めてですよね?

WDC後の遊馬とカイトのデュエルを見届けて去る時、トロンの口から視聴者だけに明かされた、IVの本当の名前。

それが本編でもう一度呼ばれるのが嬉しいです。

そのトーマスも退場してしまいましたが・・・・。



遊馬は以前、Vが「父と共に自分たち家族の名を棄てた」と56話で言っていた事と、

カイトの台詞からVの本当の名がクリスだと知っているので、

IIIやIVにも本当の名前がある事は気づいているはず。

でも、こんな形で知る事になるなんて・・・。



シャークがバリアンであった事実を、まだ受け入れられない仲間達の葛藤。

小鳥やカイトは、なぜシャークがバリアンになったのか、その理由を知りません。

皇の鍵を通してその理由を知った遊馬も、仲間であるシャークと戦わなければならない事実を受け入れられない。

そんな遊馬にカイトは、同じ仲間であるIVを倒した事が、凌牙の本気だと分からないのか!?と言い聞かせる。

仲間同士が戦い、死んでいくという今の状況は、何より仲間を大事にする遊馬には、一番辛いはず・・・。



それでも遊馬は、分かり合おうとする気持ちを諦めちゃダメなんだ!と。



シャーク達との戦いを避ける道があるはずだ!と言う遊馬の言葉に、アストラルが反応してます。

何か思いついたのか?

何と、アストラルが提案したのは、大胆な発想。

我々の手で、ドン・サウザンドを倒す!!



ドン・サウザンドの名をここで初めてきく遊馬達に、アストラルが説明する。

ドン・サウザンドは、バリアンの神。

一度封印されたが、この状況だと、ドン・サウザンドの力が蘇っている。

アストラルの推測では、ドン・サウザンドがバリアン七皇を操り、自らの力を復活させた、と。



一部当たってはいますが。

ドン・サウザンドの力を蘇らせたのは、ドン・サウザンドに操られた七皇ではなく、

遊馬への復讐を願ったベクター個人の意志です。

そして、今のナッシュ達はドン・サウザンドの事をよく分かっていません。

あくまで、バリアン世界の危機を救う目的で戦っています。

ドン・サウザンドがベクターを利用し、ベクターが他の七皇の仲間を利用しているので、

ドン・サウザンド黒幕説も、あながち間違ってはいないのですが。



遊馬はアストラルの推測に、ドン・サウザンドが黒幕だと単純に考えたようです。

そう単純な事態ではないような気がします・・・。



しかし、アストラルの中にNo.96を仕込んだのはドン・サウザンドでした。

バリアン七皇を生み出したのがもしもドン・サウザンドで、

人間であった時の記憶を消し、彼らにアストラル世界と戦うよう仕向けたのも

ドン・サウザンドだとしたら・・・・。

いずれ七皇の一人がアストラル世界の使者に敗北し、復讐の為に自分の力を蘇らせる事も、

全て計画の内だったとしたら。

本当に黒幕はドン・サウザンドなのかもしれません。



ドン・サウザンドを倒す為に、ドン・サウザンドの居るバリアン世界へ行こう!と言い出す遊馬。

アストラル世界に行って帰ってきた遊馬は、気軽に別世界へ行こうと言えるんですね、(笑)



ここで、カイトは同行を拒否する。

やるべき事があると言っていますが・・・。

その目には、遊馬の姿が霞んで見えている・・・。

疲労とダメージでこれ程弱っているのに、この上、何をしようと言うのか?

それを遊馬には告げずに去って行くカイト。

これからカイトがするべき事とは、遊馬達には打ち明けられない事なのか?



それと同時に、七皇の接近を察知したVとIIIは、

七皇と決着を付けると言い、遊馬の元を去ろうとする。



  V「肉親を殺された我らの怒り、所詮君には分からない!」



  III「分かっていないのは君の方さ!

    兄様の仇は必ずこの手でとる!

    僕は君のような意気地無しとは違う!」



  III「遊馬、君と話していると、ウンザリする・・・。」



復讐の空しさは一番分かってるハズだろ!と言う遊馬に、この痛烈な言葉。

二人は本気で言っているのか??



普段優しいIIIが怒った時の言葉は、残酷に聞こえます。

遊馬とデュエルした時の、「ウザいんだよ!目障りなんだよ!君にいちいちが!」の台詞もそうでしたが。

「ウザい」「ウンザリする」という表現も、どこか幼さを感じさせます。



しかし・・・・。



  III「悔しかったら、自分のやり方を証明してみろ!」



涙を流しながら、遊馬の隣を通り過ぎていくIII。

この言葉を、どんな思いでIIIは言ったのか・・・・?

本気で遊馬を憎んで言った台詞、とは思えません。



遊馬はアストラルと共に、飛行船で旅立とうとする。

小鳥達には家へ帰り、ばあちゃん達に心配ないと伝えてくれ、と。



別れを悟った小鳥とキャットちゃんが辛そう・・・。

が、その時!

小鳥の背中を押したのは、キャットちゃんでした!!



  「小鳥!遊馬の事、任せたからね!

   絶対離れちゃダメだからね!!」



離れたらホントに食べちゃうからね!なんてふざけてみせて・・・。



自分も遊馬の事が心配で、サルガッソの時のように一緒について行きたいはずなのに・・・。

あえて堪えて、小鳥の背中を押すんですね。

幼なじみである小鳥と遊馬の絆の強さを、キャットちゃんは分かっている。

普段は小鳥と競うような素振りをしていましたが、

叶わない恋である事も、どこかで理解していたのかな・・・。

そう思うと切ないです。



背中を押されて一瞬、密着する小鳥と遊馬の、驚いた表情。

小鳥は時折、遊馬の事を意識していましたが。

遊馬の方が小鳥を意識して、こんな表情をみせるのも珍しい気がします。

二人で同時に、何を!!って声を揃えて抗議する所、かわいい。(笑)



小鳥がバリアン世界へ同行した所で、何の役に立つ訳でもありませんが。

アストラル世界へ旅立つ時は、装置の都合もありましたが、小鳥は見送る事しかできませんでいした。

それでも、WDCでも、サルガッソでも、ほぼ全ての遊馬のデュエルを見てきた小鳥は、

遊馬にとっても、この物語にとっても重要な存在です。



足手まといだ、という批判もありそうですが。

小鳥は、守られ、見守るだけのヒロインではないんだと思います。

遊馬の精神を支える、もう一つの柱、なのかな。



常に側にいるという点では、

どんな危険な場所への冒険でも夫に同行する遊馬の母・未来とも似ている気がします。



飛行船で去って行く遊馬達を見送ったキャットちゃん。

どうしてあんな事を?と委員長に問われて、本心を告白してます。

私がしてあげられる事なんて、何もないモン・・・と。

ずっと空気だった委員長ですが、キャットちゃんの本心を聞いてあげる事も、友達として大事な役目だと思います。



そして・・・・・・。

この後のVとIIIの、いろんな意味で重要なシーン。



二人で並んで、食べているのは、おにぎり??

小鳥が二人に渡していた様です。

車に積んであったのかな?

小鳥ちゃんはいつの間に用意したんだろう?



  V「小鳥が用意してくれたコレは・・・。」

   「おすしと言うものか?」



  III「違いますよ、これがデュエル飯です。」



Vのおすし発言に笑いました。

高貴な身分だからなのか、日本の文化に疎い様子です。(笑)



遊馬との別れを、あんな事に・・・と、VがIIIに謝罪しています。

新たな希望を見つけた遊馬達に、バリアンの追っ手と戦わせない為に、あんな事を・・・?

彼らが無事旅立つまで、奴らを引きつける。

それが本当のV達の狙いだったのか・・・!



遊馬の持つ、人を信じる力に、全てを賭けた、と言うV。

そして、二人の前に現れたのは、ミザエル。



遊馬とカイトの所在を知りたければ我らを倒していけ!というVに、

「私のネオタキオンの相手になるのかな?」と煽るミザエル。

この時と、最後のミザエルの表情が、とても悪い顔になってます。



  III 「やってみなけりゃ分からないさ!

    それに!ここで逃げたら、トーマス兄様に笑われる!」



  V「その通りだ!地獄でトーマスが待っている!!」



今回は三度もトーマスの名を呼んでもらえました。

今回がIVの最後の活躍回だったとしたら、その最後を飾るに相応しい回だと思えます。



「地獄でトーマスが待っている」と言う事は、VとIIIも、これが所詮は時間稼ぎであり、

自分達が敗北し死ぬ事も覚悟している、と言う事なのか・・・・。

出来れば生き残って欲しいです・・・。







今回は二人の共同脚本ですが、

前半の熱いデュエル、後半の展開と、終盤のおすし発言など。

熱血とシリアスとコミカルがごちゃ混ぜで混乱します。(笑)



力強い線、整った作画、美しい光沢感、微妙な表情の変化。

キャットちゃんや小鳥遊馬のコミカル時の顔もかわいい。

最後のミザエルの悪い顔。その他、細やかな仕草も凝ってます。

デュエル飯を食べきるVの仕草が細かいのに驚きました。

涼しい顔してデュエル飯片手に熱く語る図も十分シュールですが。

整った作画がそのシュールさに拍車をかけている様です。(笑)





作監:蛯名秀和)

(脚本:雑破業・吉田伸)