遊戯王ZEXAL II  第125話

第125話「不死身の槍術士 S・H・Dark Knight(サイレント・オナーズ・ダーク・ナイト)」



続く七皇達のデュエル。



ナッシュと同時にバリアンズ・カオス・ドローしたバリアン達は、

RUM(ランクアップマジック)- 七星の剣(ザ・セブンス・ワン) を発動。

墓地からオーバーハンドレットを蘇らせ、カオスナンバーズへと進化させる効果を持っていた。



ミザエルはCNo.107 超銀河眼の時空龍(ネオギャラクシーアイズ タキオンドラゴン)、

ギラグはCNo.106 溶岩掌ジャイアント・ハンド・レッド、

アリトはCNo.105 BK 彗星のカエストス、

メラグはCNo.103 神葬零嬢ラグナ・インフィニティ、

ドルベはCNo.102 アンホーリライトニング ノーブル・デーモン

そしてナッシュはCNo.101 S・H・Dark Knight(サイレント・オナーズ・ダーク・ナイト)。



と、それぞれのオーバーハンドレット・カオスナンバーズが一気に登場。

メラグとドルベとナッシュのカオスナンバーズは今回が初登場かな。

これでベクターがデュエルしていれば、107から101までのカオスナンバーズ揃い踏みとなる所でした。



OPは前回影だったナッシュとメラグの姿、七皇それぞれのエースモンスターの姿が明らかになってます。

今回から効果音も付いてる?



ナッシュの力に関心するベクター

一方で、本当にナッシュがかつての仲間と敵として戦えるのかを、見定めようとしています。



ここで回想。

バリアン世界で一人海を見つめるナッシュ。

近づく璃緒は「凌牙」と呼ぶが、もうその名で呼ぶな、と。



あなたはナッシュ、戦火に焼かれ、バリアン世界に流れ着いた魂を背負う者。

そうさせてしまったのは私だと、璃緒は涙を流す。

自分を責めてるんですね・・・。兄を思う璃緒としたら、そうなるのも無理もない。



しかし、ナッシュは、 憎しみに憎しみでしか応えられなかった俺が招いた運命だ、と。

兄も兄で、自分を責め、苦しんでいる・・・。

凌牙として生き、遊馬と出会って、憎しみでデュエルをするな!と諭された今のナッシュには、

憎しみに憎しみで応える愚かさも、よく分かっている。



憎しみに捕らわれてしまった前世での過ちを、今世の神代凌牙は遊馬のお陰で繰り返さずに済んでます。

なのに今、前世での償いの為に戦いを選ぶというのか?

過去の記憶に引きずられているだけではないのか?



他国に侵略され、戦う事を余儀なくされた前世のナッシュ王と、

バリアン世界を守るために戦わざるを得ない今の七皇のナッシュ。

その苦悩が、重なってみえます。

過去の因縁も因果も捨てられないんだな・・・。



この二人に、前世において、他にどんな選択肢があったのか?と考えてしまいます。

璃緒が自分を犠牲にせず、凌牙と国民と共に滅びと死を受け入れるべきだったのか?

璃緒の死後、ナッシュ王はベクターを追撃せすにいれば良かったのか?例え他国がベクター軍の侵略により被害を受けても。

結局、どんな選択をしても、悲劇と後悔と罪悪感しかなかったのかもしれませんが・・・。



遊馬と戦えるの??と問う璃緒に、仲間も全て葬り去る!と言い、

家族の写真の入ったペンダントを海に投げ捨ててしまう。

それは「神代凌牙」との決別と、バリアンのナッシュとして生きる覚悟。



カオスナンバーズのダーク・ナイトにも、相手モンスターを自分のカオスオーバーレイユニットに出来る効果が。

しかも、アーク・ナイトと違い、CORUを使わずにその効果を発動できる。



シリアスキラーを奪われたIVはダーク・ナイトのダイレクトアタックを受けそうになるが、何とかこれを凌ぐ。



  IV「俺は、必ずお前を連れ戻すって決めたんだ!

    お前が運命だと言って受け入れちまったものを、デュエルでぶっ壊してな!」



対するナッシュも、「だが驚いたよ。極東のイカサマチャンピオンがここまでやるとはな。」と煽るが。



かつて大会での不正で落ちぶれて、その事で散々言われた凌牙が、今はナッシュとなって、それを言うのか?

敵となった今、情を捨てるためにあえて相手を酷く罵るのは分かるけど。

そうやって無理して悪役ぶる所は、昔のシャークにも似ているし、以前のIVにも似ている気がします。

この二人、似たもの同士なのかもしれません。



  ナッシュ「絆なんてくだらねえ!お前達との友情ごっこはもうウンザリなんだよっ!!」



絆も友情も完全に否定するナッシュ。

ここでの荒れた口調も(演技的にも)、昔の札付きにワルだった頃のシャークを彷彿とさせます。

遊馬との絆と友情にほだされたかつてのシャークが、この言いよう。

・・・無理しているのがバレバレです。



しかし、IVはその言葉を真に受けてショックを隠せずに居る。

前回、Vに「奴はお前が唯一、友と呼んだ男」と言われていたのに。

その唯一の友と思っていた相手から、友情を完全に否定されるとは・・・。

可哀相ではあるけど、その言葉の裏にある真意に気付いているのかな・・・。

今のナッシュは、昔のIVと同じなんだという事に。

情を捨てて、相手に憎まれようとしていた頃のIVに。



ナッシュは、お前に友情を感じた事などないと言い切ってみせる一方、

内心は「そうだ!IV !俺を憎め!かつての友としてではなく、敵として!」と・・・・・。



それでもIVは諦めない。

「お前との間に絆も友情もねえって言うなら、このデュエルで生み出してやる!」

その諦めない精神は、遊馬の影響もあるのかな・・・。



IVはNo.40 ギミック・パペット ヘブンズ・ストリングス を召喚。

さらにRUM - アージェント・カオス・フォースを手札に戻す。

Vから託されたこのカードを、ナッシュはまがい物のカードだと嘲笑するが。

「カードに託された人の思い」を信じると言うIV。



友情も絆も託された思いも、馬鹿にしないで信じる今のIVは、本当に真っ当になったなと関心します。

WDCの頃からは、想像もできない変化です。

家族が戻った事、凌牙や遊馬との出会いが、IVをここまで変えたんですね。感慨深い。



IVの熱い語りに「らしくない事を言うじゃねえか」と返すナッシュ。

確かに、らしくはない。けど、今はそれ程必死なんだと思わせる。

IVの中にも、これほど熱い思いがあったのかと、驚かされます。



  IV「だが、遊馬が、そして凌牙!お前がこんな事を言う男に俺を変えちまったんだ!

    だから、俺もデュエルで、変わっちまったお前をもう一度変えてやる!」



今回も前回も、RUM - アージェント・カオス・フォースを使用する時、

紋章の力を込めた腕輪が光り、IVが辛そうな表情をしてます。

今回は一瞬、IVが言葉を途切れさせる。

このカードの力はそれ程の負荷がかかるのか・・・。



CNo.40 ギミック・パペット  デビルズ・ストリングス が召喚される。

ヘブンズ・ストリングスによってストリングカウンターを乗せられたダーク・ナイトは

デビルズ・ストリングスの効果で破壊され、その攻撃力分のダメージを受ける。

大ダメージを受けたナッシュは、人間の凌牙の姿に戻る。

「これがお前の思い・・・。」と、IVの気持ちを受け止めてくれた様にみえました。



だが、ダーク・ナイトは自身の効果で復活し、ナッシュはLPを回復してしまう。

さらにトラップでCORUを得たダーク・ナイトは、デビルズ・ストリングスとのバトルで破壊されても、

再び蘇り、ナッシュはさらにLPを増やしていく。



  ナッシュ「おれがバリアンの守護者である限り、あまたの満たされぬ魂が、俺に力を貸してくれる!」



破壊されても蘇りLPを回復するダーク・ナイトの効果が、まるで兵士達の力を得た国王のようです。

国王ナッシュとしての責任を捨てられず、代わりに人間の神代凌牙としての友情を捨てる、のか・・・。



ダーク・ナイトにCORUとしてデビルズ・ストリングスを奪われるが、トラップでダーク・ナイトを守備表示に変え、

ダイレクトアタックを阻止し場を凌ぐIV。



「人間を捨てた俺に、こんなにも熱い思いをぶち込んできやがってよ・・・。」と、

内心呟くナッシュ。IVの思いはちゃんと凌牙に伝わり、その心をしっかり揺さぶっている。

それでも、憎しみを欲するナッシュは、モニターで苦戦する仲間達の姿をIVに見せつける。



これは・・・。

昔カイトと遊馬のタッグデュエルで、IVがカイトにしてみせたのと同じ手法です。

苦しむハルトの姿をカイトに見せつけ、動揺と憎しみを誘う手口・・・。

かつてIVがした事を、今はIV自身がされる立場になるとは。



「こいつは俺からのファンサービスだ!」と、ナッシュに言われてしまいました。

「一番のファン」の台詞といい、今回の「ファンサービス」といい、

互いの台詞の奪い合いも、この二人ならではです。



苦戦を強いられる、ドロワ、ゴーシュ、鉄男。

みんな遊馬への思いを語り、立ち向かっている。

闇川の不屈の闘志を、師匠の六十朗が褒めてます。良い師弟に戻ったんだな。

正義は負けない!と言うロビンに対して、愛は勝つ!と言うアンナ。

ここだけ、ちょっと微笑ましい。(笑)

正義と愛、決して負けない、と、必ず勝つ、と対比になってて面白い。

遊馬は俺が守ると言うアンナちゃん、勇ましくてかっこいいな。



敗北していく仲間達。

「俺、もっと献身するつもりだったのに」と言うアンナの台詞が切ない。

敗北した少年少女を相手に、ミザエルは「さらばだ」とたった一言。

相手の年齢性別を問わず、デュエルで手加減をしませんが、敗北した相手を罵ったり嘲笑する事はなく。

そういう所は、確かにミザエルは誇り高い騎士なんだと思わせます。



ゴーシュ相手に「熱い!熱っ苦しいんだよテメエ!!」とアリトが言ってますが。

アリトも十分暑苦しいと思います。(笑)

似たもの同士なのに。

バリアンへの借りを返せなかったゴーシュも無念ですが。

熱血なデュエルバカのこの二人が、何のしがらみも無く、楽しくデュエルできる日が来るといいな・・・。



メラグは、確かに鉄男の思いは伝わったと言ってくれましたが。

それは迷惑でしかない、と、これも酷い言いよう。(汗)

遊馬の為に、璃緒さんを連れて帰るハズだったのに・・・と言う鉄男が見ていて辛い。

しかし、鉄男の魂を見送るメラグの瞳には、涙が・・・・!!

鉄男の思いは、友情は、確かに璃緒の中に届いているし、それを完全に断ち切れていないと感じさせます。



敗北した魂は、光りとなって上空へ消えていく。

これは、徳之助と同じように、バリアン世界を引き寄せる光の柱の一部となってしまったのか?

今の事態が収拾して、あの光の柱が消えれば、吸収されていった仲間達も戻ってくるのでは?



仲間達の敗北を見せつけられたIVが、怒りで拳を震わせる。

  「取り戻す心なんてはなっからねえ外道に成り果ててたのかよ・・!」

取り戻す心なんてないと思える程の外道ぶり。

それは昔のIVにそのまま当てはまる台詞なのですが・・・。



ナッシュはIVに自分を憎ませ、そのIVを倒す事で、自分の中の神代凌牙を断ち切れると信じている。

仮にここで本当にIVを倒せたとして、次に遊馬を前にしても、同じように神代凌牙を捨て去る事が、

本当に出来るのか・・・・?



もう凌牙じゃねえ!とIVに言わせ、再びバリアルフォーゼしてみせるナッシュ。

このデュエルの結末は・・・。





IVのナッシュに対する熱い語りと熱血ぶりに驚きました。

今まで見せなかった意外な一面、内に秘められていた情熱を描くのが雑破さんは得意なのかな?

アリト戦でのドロワ、蚊忍者戦のV、そして今回のIVを見て、そう感じます。

キャラを熱血化させるのが好きなだけかもしれませんが。(笑)



作監:宍倉敏)

(脚本:雑破業