遊戯王ZEXAL II  第111話

第111話「終焉のとき…!相棒に託した絆」



続くNo.96とのデュエル。

ガガガガードナーと墓地のタスケルトンの効果で、

カオス・オブ・アームズとブラック・ストームの攻撃を、

ダメージを受けながらもなんとか凌ぐ遊馬とアストラル。

だが、最後のハート・アース・カオスドラゴンの攻撃はかわせず、残りLPは500に。

さらに、ハート・アース・カオスドラゴンの効果で、No.96はLPを大幅に回復してしまう。



カオス・フィールドが二人にダメージを与えていく。

遂に立ち上がれなくなった遊馬に代わり、アストラルがデュエルを引き継ぐ。



No.96が発動した永続魔法により、アストラルが次のターン、ナンバーズを召喚できなければ敗北してしまう。

ナンバーズを召喚するよう誘導されている事に気付きながら、怯まずマジックで墓地のホープを復活させるアストラル。



変身しゼアルとなった二人が、ホープをカオスエクシーズチェンジし、ホープレイを召喚するが、

No.96のトラップ、ナンバーズ・ロックにより、攻撃を封じられ、さらにターン終了時にダメージを受ける事に。

ゼアルがマジックでデッキから四枚をドロー。

この四枚により、ナンバーズ・ロックは無効となり、ホープレイは自身の効果で攻撃力を上げ、

二体のZW(ゼアル・ウエポン)をホープレイに装備、さらに攻撃力を上げて、

No.96の場の3体のモンスター全てに攻撃を可能に。

No.96はトラップで攻撃力を上げ、ハート・アース・カオスドラゴンとカオス・オブ・アームズの破壊ダメージを凌ぐ。

最後に残ったブラック・ストームには、破壊された時、互いにダメージを受ける効果があったが、

ZW-スレイプ・ニールメイルの効果で攻撃力を相手と同じにして、ホープレイとブラック・ストームは相討ちに。

さらに、破壊されたスレイプ・ニールメイルの効果で、墓地のホープを復活させ、

No.96へのダイレクトアタックでゼアルが勝利する。



だが、No.96を受け止めきれず、アストラルは遊馬の目の前で消滅してしまう・・・。









アストラルの消滅。これは一体・・・・!?



もしもアストラルが消滅するとしたら、それはデュエルでの敗北だろうと思ってました。

ゼアルの力で勝利したのに、なぜ??



アストラルは本当に消滅したのか??

これは疑問です。



一つは、アストラルは「お別れだ」とは言ったけど、自身の死を明言し、その理由を説明してない。

何らかの事情で離れなくてはならないだけかも?



もう一つは、ナンバーズが残されている事。

アストラルから遊馬に託されています。

皇の鍵は、確かに遊馬とアストラルを繋ぐアイテムで、これが失われた事は、

アストラルと遊馬を繋ぐものが無くなった事を象徴している様にもみえますが。

今回も言及された通り、ホープは遊馬とアストラルの絆の象徴。

アストラルの化身でもあるそのホープが、まだ手元にあるなら。

アストラルも消滅していないのでは?



さらに、ナンバーズが遊馬達の手元にある事から、アストラル世界やバリアン世界との因縁も、

完全に断たれたわけではない。

今後もバリアン達に狙われるだろうけど。

異世界の者との関わりが完全に無くなった訳じゃない。

もしかしたら、バリアンとの関わりが、アストラルが戻ってくる切っ掛けになるかも・・・?



それと、No.96は、自分を吸収しろ!とは言いましたが、アストラルを殺す!とは明言してません。

おそらく、自分を吸収させた上でアストラルの自我を乗っ取ろうとしたのかな?

アストラルは自分の意思でNo.96の支配をはねのけたように見えます。

が、これがアストラルが遊馬の元を去らなければねらない原因になった・・・のか?



そして、一番気になるのは、これです。

冒頭の遊馬とアストラルのシーン。

「いや〜わりぃわりぃ!遅れちまって!」と、遊馬がアストラルに謝ってます。

まるで待ち合わせをしていたかのように。

しかし、常に一緒にいる遊馬とアストラルが、待ち合わせ??

それに、遊馬とアストラルが直接デュエルする事が、今までにあったかな?

そういう事は可能なのか?



もしかして、これは、遊馬の過去回想ではなく、未来の映像なのでは??

アストラルと再会した未来では、遊馬とアストラルは離れる事が出来る。

常に一緒じゃない。

だから、二人は待ち合わせをして、夕焼けの中でデュエルをしている。

絶望の前に、希望の未来を、何者かが遊馬に見せた?



あと、何より。

アストラル消滅に関しては、対III戦で視聴者は一度騙されてます!

もう騙されないぞ!(笑)



仮に本当にこれでアストラルとお別れで、遊馬一人での戦いの物語が最終話まで続く、としたら・・・。

それはそれでドラマチックで良いと思います。

アストラルから教わった事、アストラルとの絆を思い出し、 一人でも困難に立ち向かっていく遊馬。

相棒との別れは、成長と自立の物語の始まりでもある。

かつての武藤遊戯と闇遊戯の物語が、そうであったように・・・。



ただ、アストラルとの別れを乗り越え、遊馬が再び立ち上がれるようになるには、まだ時間が必要な様です。





冒頭でいきなり、遊馬とアストラルの日常のシーン。

これは、遊馬の記憶?白昼夢?

こんな時に、なぜこんな場面を思い出したのか?



二人がデュエルを始めた直後に。



 アストラル「遊馬。君に会えて、ホントに良かった。」

      「遊馬、ナンバーズを頼んだぞ。」

      「ありがとう。」



この最後の二つの台詞が、別れの台詞と同じ。

まるでアストラルとの別れを予見しているかの様です・・・。



勝ち誇るNo.96に、ボロボロになりながら遊馬が立ち上がる。



 遊馬「俺達は、絶対に負けねえ!

    俺とアストラルの絆の力を、お前に見せてやる!」



だが、かっとビングだ!と言い切る前に、遊馬が倒れてしまう・・・。



 アストラル「遊馬、君はいつも諦めない心。

       そして、振り向かず、真っ直ぐに進む意思を持って歩み続けている。

       信じたものへ向かって。」

      「遊馬、どのような形になっても、私たちは共に戦っている。」



「どのような形になっても」だなんて、まるでこの先を暗示するかのような台詞。

遊馬からデッキを引き継いだこの時から、アストラルは覚悟を決めていたのか?



そんなアストラルの戦う覚悟を、No.96はあざ笑う。



 No.96「くだらん。何が諦めない心、真っ直ぐに進む意思だ!

     ・・・アストラル世界に、よく似ている。

    ほんの僅かな悪意のシミで崩壊する脆弱な世界。

    その証拠に、この俺が今やアストラル世界はおろか、

    バリアンや人間世界さえも崩壊させようとしている。

    そうだ。俺は神という存在なのだ!」



真っ直ぐで純粋という点は、アストラル世界と、遊馬は似ているのかもしれません。

そして、遊馬に影響されたアストラル自身も。

サルガッソ戦では、ベクターの策略により、一度は悪意に染まってしまった事もありました。



三つの世界を崩壊させる程の力を持つNo.96は、自分を神だと言う。

悪意は純粋な心よりも強く、

故に、アストラルより自分の方が勝っている、と言いたいのか?



No.96の戦略を警戒しつつも、怯まずホープを復活させたアストラル。

墓地の他の強力なナンバーズを選ばずにホープを選んだ事を、No.96は嘲笑するが。



 遊馬「ホープは・・・!!

    俺とアストラルの最初の絆だ!

    どんなやべぇデュエルの時でも、いつも必ずホープがいた。

    ホープは、俺達と一番長く一緒に戦ってきた、希望の仲間なんだ!!

    だから俺達は、信じるんだ!」



No.96は、その信じる心が、嫉妬や猜疑心を生み、裏切りを生む、愚かなものだと。

 

 No.96「個々の存在という、煩わしく面倒なものを消し去り、だた神である俺だけが居ればいい!

     それこそが、理想の世界なのだ!」



No.96の中の狂気と理想とは、こういうものだったのか・・・。

嫉妬や猜疑心、裏切りで傷ついた人の心が暴走したかのような思想。



そんなくだらない理想の世界などいらない!と、遊馬は言い切る。

みんなバラバラで、いろんな奴が居るからいいんだ。

誰だって失敗や間違いはある。でも間違ったら誰かが教えてやればいいんだ。

その為に友達が、仲間が居るのだ!と。



父親として間違っていたトロンやフェイカーを諭したのは遊馬でした。

遊馬自身も、間違ってしまったり、挫けそうになる事があった。

それでも、仲間達に支えられ、今ここにいる。

そんな遊馬が語るからこそ、説得力がある台詞です。



 遊馬「みんなで生きるから楽しいんだ!おもしれぇんじゃねえのかよ!!」



ついにゼアルとなる、遊馬とアストラル。



ゼアルの逆転劇はいつも爽快で良いです。

マジックを使い、新たにドローした四枚のカードで次々と難関を突破し、No.96へとどめを刺していく。

次々とカード効果を発動していく展開はテンポ良く、BGMと相まって盛り上がる。



敗北し、呆然とするNo.96。

本気で自身を最強の神だと思っていたのか。

次の瞬間、アストラルに「この俺を受け止めてみせろ!」と。



遊馬を守ろうと、即座にゼアルを解除したアストラルに、No.96が突き刺さる。

敗北したNo.96はアストラルの元に戻る運命。

それを逆手にとって、自分を吸収させ、内側からアストラルを侵食しようとしたのか?



全て消し去ってやる!お前も、お前の仲間も!というNo.96の言葉。

一瞬、No.96の影がアストラルの輝きに打ち消され、No.96の支配をはねのけたかにも見えましたが。



No.96の浸食を拒みきれなかった??

このままNo.96に支配されれば、

アストラルを乗っ取ったNo.96により、遊馬も、世界も破壊されてしまうと考え、

アストラルは自ら消滅を選んだ・・・・??



消えかけたアストラルの、儚い輝き。

遊馬を巻き込むまいとゼアルを解いたアストラルに、「仲間だろ!」と言う遊馬。



 アストラル「仲間か・・・。

       そう、君はかけがえのない仲間だから。

       君には繰り返し教えられたな。

       仲間の大切さ、仲間を信じる心。

       ・・・お別れだ、遊馬。」



       「ナンバーズを頼んだぞ。」



唐突な別れ。

しかし、アストラルは落ち着いて、穏やかな表情をしています。

別れを告げる時に悲しみをみせないのは、自分の消滅を、自分で決め、覚悟したから?



それでも、泣く遊馬を前に、消えていく瞬間は、悲しそうな表情をしていました。

最後に無言で遊馬に手を伸ばすアストラル。

その手は、遊馬に触れる事なく、消えてゆく・・・。

この描写も、切ない。

ゼアル化する時、堅く繋いだ二人の手が、今は届かない。



最後のアストラルの言葉は「ありがとう。」の一言。

アストラルが消えたのと同時に、皇の鍵が遊馬から離れ、光の中へ落ちて消え去る。



人間世界に戻り、戸惑う遊馬の前で、アストラルが見えているはずの三人、

小鳥は泣き、シャークは目を逸らし、カイトは背を向けている。

そして、胸に手をやる遊馬。

いつもあるはずの皇の鍵が、そこにない・・・。

全てが夢や幻などではなく、アストラルが消えた事が事実である事を物語っています。



これを影から見届けたベクターは、これからどうするのか?

他のバリアン達は、アストラルの消滅を知っているのか?

残されたナンバーズはどうなる??

そして遊馬は、この悲しみを乗り越えられるのか?





第1話から一緒に活躍し続けたアストラルが消える、という衝撃的な展開でしたが。

消えるアストラルが遊馬に手を伸ばす仕草。

アストラルが消えた後の、各キャラの反応に、その衝撃が伝わってくる。

短いシーンでのキャラ描写が良かったと思います。



作監:横田明美

(脚本:広田光毅