遊戯王5D's  第143話

第143話「命の奇跡、ライフ・ストリーム・ドラゴン!!」



新たに進化した龍亞のドラゴン、ライフ・ストリーム・ドラゴンの効果で、

アステリスクによるシンクロ召喚時のダメージは無効化。

さらに龍亞、ジャック、龍可のLPを2000に回復する。

弱っていた龍可も回復して立ち上がり、龍亞がシグナーに覚醒した事を知る。



 龍亞「オレ、頑張って、頑張ったら、シグナーになっちゃった。驚きだろ?」



照れながら言う龍亞に、龍可が答える。



 龍可「驚かないよ。

    龍亞はいつも私を守ってくれてたから。

    自分の事より、私の事をいつも考えてくれてたから。

    ずっと変わらない。

    龍亞は私のヒーローだから!!」



二人を横目に、ジャックは悟る。

愛する者の為にその身を惜しみなく投げ出した龍亞に、赤き竜が答えたのか、と。



龍亞が絶望の先に掴んだ希望を、まやかしの希望だと言い、否定するアポリア

龍亞がライフ・ストリーム・ドラゴンでアステリスクに攻撃宣言する。



ここから三人連携での怒濤の反撃が始まる!!



アポリアは場の機皇兵一体を墓地に送る事で、アステリスクの破壊を回避。

だがダメージを受け、LPを大きく削られる。

ダメージに苦しむアポリアを見て、ジャックが不敵に微笑みながら言う。

「フンっ、お前。

 心の痛みが戻ってきたんじゃないのか?」

それでも、私は心を捨て人間を辞めたのだ!と強がるアポリア



アポリアが永続トラップを発動させ、シンクロモンスターの攻撃を封じてくる。

龍亞はカードを伏せてターンを終了。

ライフ・ストリーム・ドラゴンが全ての効果ダメージを無効化し、

ロックオン・レーザーによるダメージはゼロ。

これでもう、効果ダメージを恐れる事なく行動できる!



龍可を心配して現れたクリボンに、私はもう大丈夫と言って微笑む龍可。

続く龍可のターン。

エンシェントフェアリーの効果でフィールド魔法、機動要塞フォルテシモを破壊し、LPを回復。

さらに、シンクロ召喚時に相手のカード発動を阻止するフィールド魔法、シンクロ・モニュメントを発動させ、

シンクロ召喚を有利に行える条件を整える。



シンクロが有利となったフィールドの変化に、アポリアが動揺する。

「やめろ・・・シンクロ召喚など!

 また私に、絶望を与えようと言うのか!?」



そしてジャックのターン。

トラップで墓地のレッドデーモンズを復活。

マジックを駆使して、アポリアの場のトラップ、マジックを全て破壊。さらに自分の場に二体のチューナーを揃える。

もはやシンクロを妨げるものは無い!

ジャックのあらぶる魂で、スカーレッドノヴァを召喚!

墓地のチューナー四体分攻撃力を上げ、スカーレッドノヴァの攻撃力は5500!



しかし、アポリアもトラップを発動させ、墓地の機皇兵スキエル・アインと、

デッキの機皇神マシニクルインフィニティ・キュービックを特殊召喚

これでアステリスクの攻撃力は8300となり、ジャックのスカーレッドノヴァを大きく上回ってしまう!



「人間共!絶望の果てに悟れ!己の無力を。

 そして預けるのだ。ゾーンに!人類の未来を!」



その時、龍亞と龍可が発動したトラップが、アステリスクの攻撃力を下げ、遂にその攻撃力は2900にまでダウン。

「わたし達の思い、受け取って!ジャック!!」



「何故だ??なぜ人間を辞めた私の心が痛い!?

 また私は、絶望の中にのたうつ巻くっ・・・。」



胸を押さえながら苦しむアポリアに、ジャックが語りかける。



「いいや、お前は絶望などしない!希望を持っているからな!」

「龍亞が龍可の為に戦った様に、お前はゾーンの為に戦っていた。

 ゾーンに繋げた希望がある限り、お前は絶望などしない!

 俺たちの希望は遊星にある。だから俺たちも絶望しない!!」

 

スカーレッドノヴァの攻撃が通り、アステリスクは破壊。アポリアは敗北する。



三人を拘束していた足と胸の器具が外れ。

崩壊するフィールドから脱出するジャックと龍亞・龍可。

アポリアの敗北により遊星ギアは停止。



振り返り、ジャックが見たものは。

崩れ落ちるアポリアの、最後の穏やかな表情。

「この痛みは。絶望ではないのか・・・。

 ・・違う、痛みではない。疼き。

 それは・・・希望。」



一方、最後の遊星ギアを目指す遊星とダークグラス。

遊星はダークグラスに何者なのか?と尋ねるが。

分からない、けどこの先にその答えがあるような気がする、とダークグラスは言う。

遊星ギアで待ち受ける何者かを倒せば、太陽ギアへの道が開かれ、ダークグラスの事も分かるはず。



到着した遊星ギアに、敵の気配はない。

その時、光りが現れ、ダークグラスを包む。

光りの中で、もう一人の自分を見るダークグラス。

はじき飛ばされ、立ち上がったダークグラスは、全てを思い出したと言い、衝撃の告白をする。



サングラスを外し、素顔を見せるブルーノ。

「君と戦うべき相手は、僕だ!」



彼の名はアンチノミー

この遊星ギアを、アーククレイドルを守る者。ゾーンの仲間。



遊星達に近付き仲間になったのは、その力を利用してこのアーククレイドルを呼び出し、

ネオドミノシティを消滅させる為だった。



遊星達の仲間となるため、彼のアンチノミーとしての記憶はゾーンにより消されていた。

そして、遊星を守り、助けるという使命だけが記憶の中に残された。

素顔を隠し、ダークグラスとして遊星を助けたのも、この使命の為だと・・・。



ここにたどり着くまで、ブルーノ自身もチーム5D'sの仲間だと信じていたのだ。

だが、全てを思い出した今、彼はアンチノミーとして遊星の前に立ちはだかる。



「何でだ!?何でお前がそんな事をっ・・・・!ブルーノ!!」

真実を知り、苦悩する遊星。

だがその呼びかけに、アンチノミーは表情を変えない。



アンチノミーを倒さない限り、遊星ギアを止める事も、太陽ギアへ進む事も出来ない。

そしてネオドミノシティを救う事も。

遊星に残された道はアンチノミーとなったブルーノを倒す事。

 遊星「なぜ俺たちが戦わなくてはいけないんだ!?」

 アンチノミー「君が仲間を裏切れない様に、僕も、ゾーンから与えられた使命を裏切れない。」

 遊星「他に道はないのか?ブルーノ!」

 アンチノミー「僕は・・・・ アンチノミーだ!さあ、戦え、遊星!」



共に戦う仲間達を、そしてネオドミノシティの人達を思い起こし、みんなを守る為に戦う決意をする遊星。

例え、立ち塞がる相手が誰であろうとも。



宇宙の様な空間が現れ、灼熱の星を囲むレーンを走る遊星達のDホイール。

このデュエルの為に用意された、死のコースだと言う。

敗北すれば敗者は炎の中に飲み込まれ、勝敗が決し、どちらかが消滅するまでこの空間から出る事は出来ない。



命懸けのライディングデュエル。

果たして、勝つのはどちらなのか?

遊星の死の運命は回避できるのか?







ライフ・ストリーム・ドラゴンを初めて見た龍可のセリフ。

「あの時の夢に出てきたドラゴン!」と、ちゃんと36話の伏線について触れてます。

実に107話かけた長い伏線でした。(笑)



はしゃいだりせず、戸惑いながら照れる龍亞の反応とか、

龍亞は私のヒーローだから!と言った龍可のセリフとか、良かった。

龍可もいつかこの日が来るのを信じていたんだと思う。



隣で見ていたジャック。

「愛する者の為にその身を惜しみなく投げ出した」龍亞を見て微笑んでますが。

そういうセリフが言えるのは、自身にも愛する人が居て、身に覚えがあるから。

もしかしたらフォーチュンカップの頃のジャックでは理解出来なかったかもしれない。

ジャックに、その愛を教えたのが、カーリーだったんだよなぁ。



心の痛みが戻ってきているとジャックに指摘され、激しく動揺しながら、

人間を辞めたのだと言って強がるアポリアが、なんだか可哀相で。

絶望など感じぬと言いながら、あれほど表情を歪ませ。

絶望はもう嫌だと言わんばかりに敗北を恐れて足掻く姿は、

やはり人間なのだと思わせました。

そして、その奥にある希望を、ジャックはしっかり見抜いてた・・・・。



ゾーンに希望を繋ぐ為戦ったアポリアと、遊星に希望を繋ぐ為戦ったジャック達と。

実は双方とも戦う理由はそんなに変わらない。

ただ、希望の為に。



アポリアは強がって絶望も希望も無いとか言っていたけど、しっかり心を持っていた皮肉。

シンクロ、進化、感情と、彼が今まで否定してきたもの。

しかし、どんなに姿形が変わっても、やはり彼も人間だった事実。

希望を否定しながら、本当は希望を望み、ずっと持ち続けていた。



敗北し、死を目前にしたアポリア相手に、お前は絶望などしない!と言ってくれたジャックの優しさ。



敗北したアポリアの穏やかな表情。

自分の中に希望があるとジャック達に教えられ、

彼は最期、救われたのかな・・・・。



そういえば、プラシドがよく人間を見くだす様な発言を繰り返していたけど、

自身も元は人間なんですよね。

三皇帝に生まれ変わった時に人間を辞めてる?

人間を憎む、という事は、かつての自分を憎んでいる事になり。

人間だった自分を自己嫌悪しているのか?人間であった頃の自分は愚かだった、と思ってる?

もしくは人間を辞めた事で、より進化した存在になったと思い込んでるだけ?



明かされたブルーノの正体。

アンチノミー。ゾーンの仲間。

まさか、ここで敵に回るとは・・・。



遊星達の仲間として受け入れられ、打ち解けるよう、ワザとアンチノミーの記憶を消しておく、ゾーンの用意周到さ。

この事を考えると、ゾーンが遊星に石版で力を与えたのも、同じ理由(アーククレイドルを呼び寄せる為)なのか。

敵だけでなく、仲間の心理をも巧みに利用する、かなりの策士ですね、ゾーンは。

もしかしたら、シェリーにわざわざ破滅の未来を教えたのも、遊星ギアの番人として利用する為だったのかも。



ゾーンがこうまでして策を練っていたのは、それだけこの計画に賭けている、という事なのか。

個人的に気になるのが、ゾーンに人として情とかあるのかな、という事。

次々に仲間が倒れていく中、策を弄して、仲間の思いを利用してまで、未来を変える事に執着する。

たった一人取り残された、ゾーンの孤独な戦い。

死んでいった仲間への思い・・・。

ゾーンは遊星の戦いを見て、何を思うのか?

そして、そんなゾーンに、遊星は何を語るのか?



仲間であったブルーノとデュエルしなくてはならない事に苦悩する遊星。

仲間に対して、ホントに優しいんだなと思えました。



裏切りでも、心変わりでもない。

ただ、本来の姿に戻っただけ。

だからアンチノミーは悪くないし、責める事もできない。

辛いな・・・。



真実を知らされた当初、騙されていたのかと遊星が驚愕してましたが。

そいえば、遊星は今まで、仲間に裏切られた事はない?

仲間以外でなら、クラッシュタウン編のバーバラに騙されたり。

シティに来たばかりの頃(フォーチュンカップ編)は、シティの人達に心許さず、警戒してたけど。

本当に心を許した仲間に裏切られたのは、初めてなのかもしれない・・・。



ブルーノがアンチノミーとしての記憶を取り戻す時の描写。

二人のブルーノが向かい合うシーンが、意味ありげ。

遊星達の仲間としてのブルーノ、ゾーンの仲間としてのアンチノミー

二つの記憶と感情が彼の中で対立していた様に思えます。

アンチノミー自身の中でも、葛藤があったんでしょうね・・・・。

アンチノミーの記憶を取り戻しても、ブルーノであった時の記憶を忘れた訳ではないのだし。

(光りの中のアンチノミーの表情が邪悪な笑みだったのも気になる・・。)



アンチノミーはゾーンの仲間、と言う事は。

135話の回想で出てきた、ゾーンの仲間の一人、年老いたサングラスの男が、アンチノミー

あの時の、ブルーノはゾーンの仲間、という予想は当たってましたが。

アンチノミーは仲間でありながらもゾーンとは意見の対立があり、ゾーンの計画を阻止する為に

独自にブルーノをこの時代に送った、のかと思ってました。

アポリア同様、アンチノミーも死に際に自分を使うようゾーンに頼んで、

若返った姿のブルーノがゾーンによって作られた、と考えていいのかな?



93話でブルーノが、どこかに僕を待っている人がいる気がすると言っていたのも、

今にして思えば、ゾーンの事だったのか。



107話で、ダークグラスの「貴様達を倒すため、この世界に送り込まれた者だ」のセリフ。

アンチノミーとしての記憶が無く、遊星を守る使命だけが記憶に残されたから、と考えれば納得。

しかし、この時のダークグラスvsプラシド戦って、お互い正体を知らずに仲間同士で戦っていたって事??



僕との戦いで迷う様では到底ゾーンには勝てない、とアンチノミーが言ってました。

ゾーンの戦う理由、未来を救いたい悲痛なゾーンの思いを遊星が知ったら、

今回同様に迷うだろうと、アンチノミーは見抜いているのかも。

遊星は優しいから・・・。



このデュエルの勝敗が決した時、どちらかが消える(死ぬ?)事になる。

ブルーノ(アンチノミー)との別れは決定的?

何とか両者とも助かる道はないのかな・・・・。(汗)





記憶を消して仲間になったけど、実は敵だった、という展開、見覚えあるなと思ったら。

WOLF'S RAINにもそんなエピソードがあったのを思い出しました。



もしも5D'sの仲間達の前でアンチノミーが正体を明かしたとしても、彼らなら受け入れてくれそう。

龍亞なら、それでもブルーノはブルーノだよ!って言ってくれそうな気がします。



これもツイッター情報ですが。

機械対人間、生命という対比も、このアポリア戦に含まれているそうです。

なるほど、言われてみれば納得。



クリボン、久しぶりにちょっとだけ登場。

一応龍可のマスコット的存在。のハズなのに、出番今まで少なかったな。

(龍可の活躍自体が少ないから仕方ない?)

エンシェントフェアリーも効果を生かして活躍できて良かった。



龍亞シグナー化により、OP前の「5D'sと呼んだ」のカットのアザのマークが変化。

OPのブルーノの悲しげな表情は、アンチノミー覚醒の伏線だったのか。





作画・演出が気合い入ってる。

ジャックのアクションの派手さ。

スカーレッドノヴァ召喚時、一瞬目を見開いたジャックの表情のあらぶる演出とか。

トラップ発動で、スカーレッドノヴァを迎え撃つ、必死なアポリアの顔の凄み、歪み、気迫の表情。(通称・顔芸)

お前は絶望などしない!とアポリアに語る時のジャックの力強い仕草とか。

斜め上方や斜め下方からのキャラのポーズを描く構図のかっこよさ。

歓喜する双子のイキイキした表情。

作監:Lee Suk In)