遊戯王ARC-V  第93話

第93話「破滅のデュエルマシン」



アカデミアは去ったが、シティはコモンズの蜂起により混乱していた。



沢渡達が遊矢達と合流し、事態を把握。

素良と月影は柚子救出へと向かう。



ロジェは準決勝第二試合の組み合わせを変更し、セルゲイとジャックの対戦が始まる。

捕らえた柚子に、準決勝を見せ、己の野望を語るセルゲイ。

ジャックがセルゲイに敗北すれば、

この次元の支配というロジェの野望が達成されてしまう。



先攻のジャックが、レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライトをシンクロ召喚

後攻のセルゲイは、マジック、異界共鳴シンクロ・フュージョンを使い、

シンクロ召喚で地縛戒隷 ジオグリフォン

融合召喚で地縛戒隷 ジオクラーケンを同時に呼び出す。



ジオクラーケンの効果でスカーライトを破壊しようとするが、

ジャックはアクションカードでこれを回避。



ジャックのターン、スカーライトの効果でセルゲイの場の二体のモンスターを破壊し、

ダイレクトアタックを仕掛けるが、

セルゲイはダメージを半減させ、フィールド魔法、地縛原を発動。

アクションカードを拾う毎に、相手に300のダメージを与え、攻撃力を300下げる。

双方に効果が及ぶこのフィールド魔法は、アクションカード争奪戦を意味した。



その時、セルゲイが変形したDホイールと一体化する!







革命を叫び、手に武器を持ち行進するコモンズの群衆。

路地裏では身なりの良い子供が泣いていた・・・。

暴動で親とはぐれたトップスの子供を、クロウが保護する。



「いくら革命を起こしても、こんな風に行き場を失ったトップスのガキ共が

 コモンズを憎めば恨みが残る。

 これじゃ今と何も変わらねえだろうが!」



シンジ達の言う、暴力による革命では、新たな悲劇が繰り返されるだけで、解決にならない事に、

クロウは気付いています。



シンジが革命を叫ぶ時、いつも気になっていたのはこの点です。

これまでのトップスへの恨みを晴らす事ができても、

彼らが望むような平和な社会は、この革命では実現できない。

感情に任せて行動するシンジには、そこが分かっていない。



この革命で犠牲になった者達はどうするのか?

トップスを引きずり下ろして、その後は?

すぐに秩序や治安が回復できるはずはなく、コモンズを憎むトップスからの反撃もあり得る。

そうして犠牲者を増やしていき、「革命する前の社会の方がよかった」などと言われるかもしれない。

その時、シンジは革命を扇動した責任を取る事ができるのか?



遊矢達と合流した沢渡は、素良をアカデミアとして敵視してます。

ランサーズは、舞網チャンピオンシップで遊矢とデュエルする素良を見ているので、無理はありません。

この先、素良がランサーズと共闘する時、素良は皆から信頼を得ることが出来るかな?

少し心配な所です。



素良に「その傷じゃ足手まといだ。」と言われて、「忍を見くびるな。」と返す月影。

かっこいいですね。

異様に身体能力の高いこのコンビなら、柚子救出も可能かもしれません。



この非常事態での大会続行に呆れるメリッサも、カメラが回ればすぐに笑顔で司会者の顔に。

この変わり身の早さは、プロの司会者らしいです。



ユーゴは「出場辞退」の扱いに。

ユーゴは柚子のブレスレットの光で飛ばされた後、今どこに居るのか?

以前のユートのように、同じ次元の別の場所に飛ばされたのなら、

Dホイールでデュエルパレスに戻ってくる事も可能な気もしますが。

もしかしたら、別の次元に飛ばされたのか?



準決勝に向かうエレベーターの中で、サムはジャックに話しかける。

サムは、遊矢がみせたカードの可能性を、ちゃんと理解してくれてます。

「全てのカードには役割がある。人も同じだ。」

ジャック自身の口から、調律の魔術師のカードを渡した意味が語られました。



やはり、馬鹿にされたというのはサムの思い込みで、

遊矢が見いだした答えは、ジャックの意図したものでした。

ジャックはサムを見下してなどいなかった。



スラムで怯えて暮らしていたジャックが、このカードで希望を見いだした、のだとしたら、

一見不利になりそうなその効果を活用する戦術を、幼いジャックは即座に思いつく事が出来た、

という事だったのかな?



ジャックがサムに頼んだ、遊矢への伝言とは?



零羅を沢渡と徳松に託し、権現坂と共に柚子救出に向かう遊矢。

居残り組になる事に反発する沢渡を説得する徳松。

リーダーの大切な弟を守り抜くのは、リーダーに最も近い男だと。

この説得の仕方が上手いし、持ち上げられると弱い沢渡の性格もよく分かってる。

流石徳松さん、年の功と言った所です。



「零羅!何なら俺様を兄様と呼んでもいいんだぜ?」と調子づく沢渡に、

怯えて徳松に縋る零羅。そんな零羅に、

「ま、気が向いたら一回ぐれえ呼んでやんなよ。」と宥める徳松。

ここのコミカルシーンが楽しい。



セルゲイとDホイールの一体化!

不気味に笑いながら頭をDホイールに打ち付け、

そのままDホイールに飲み込まれて、変形した先端に上半身が現れる!



Dホイールとの合体!と言えば、5D'sのプラシドとホセがお馴染みですが。

まさか、ARC-Vでも合体をやるとは。(笑)

ある意味、確かにDホイールの究極の進化系ではあります。



一体化といいつつも、両腕を拘束されるようなこの形態は、

束縛拷問好きなセルゲイらしいデザイン。

変形のギミックも楽しい。



そんな異様な光景にも、ジャックは表情を変えない。

常に冷静です。



5D'sとARC-Vのジャックの比較をよく考えてしまいます。

5D'sの序盤のフォーチュンカップ編までのジャックは、コミカルシーンは一切無く、

主人公遊星の前に立ちはだかる、無敵で孤高の王者という風格がありました。

フォーチュンカップ編以降は、敗北を切っ掛けに、意地を張らずに素直になり、

コミカルな所がみられるようになるのですが。



ARC-Vのシンクロ次元のこのジャックは、フォーチュンカップ編のジャック、

という感じがします。

仲間との絆なしに育ち、自らの力だけで王者の座を手に入れたからこそ、

こういうジャックになったんでしょうね。





沢渡を持ち上げる徳松の説得の上手さ、コミカルシーンでの軽快なやり取りなど、

脇役キャラの魅力が出ていて嬉しい。



ブラシで影を付ける絵が多い?今までとは違う演出。





作監:宍倉敏)

(脚本:広田光毅