遊戯王ARC-V  第54話

第54話「シンクロ次元 シティ」



気を失っていた柚子が呼びかける声に気づき、意識を取り戻した時、

柚子の目の前には彼女の顔をのぞき込む、遊矢に似た少年に顔が!

思わず突き飛ばしてしまう柚子!



そこには、尻餅をついてDホールの上で倒れ「心配してやったのに!」と怒っている少年が。



 「Dホイール。

  デュエルディスクを進化させたそのマシンを駆使し闘うライディング・デュエルは

  スピードとスリルに溢れた最高のショーであり、自由の象徴であった。」



今回からOP前の台詞も新しくなってます。

ここからがいよいよ、シンクロ次元編なんですね。

こうした演出も5D'sを彷彿とさせます。



セキュリティと思われる組織、

都市の上に展開するライディングデュエル専用道路、

飛び立つクリアウィングを見送るクロウ、

二体のドラゴンの飛翔を見つめるジャック

新キャラのカットなどが追加されています。

これが完成版のOPアニメだったんですね。



倒れたDホイールに異常がない事を確認し、

これを作るのに苦労したのだと言う少年。



ここは?と問う柚子に、少年は答える。

「シティだ。俺の地元だ。」

そこは柚子が見たこともない発展した都市。

柚子はこの少年と一緒にブレスレットに飛ばされたのだと気づく。

そして、以前に遊矢が言っていた、遊矢にそっくりなもう一人の男、ユーゴの名を思い出し。



それじゃ、あなたも融合と?と柚子が言いかけた途端に、また怒り出す。

「んだとコラッ!!

 誰がユーゴーだ!?俺はユーゴだ!間違えてんじゃねえ!」



ユーゴのこの台詞が定番になってます。(笑)



怒り出すユーゴに、涙目の柚子。

すぐ怒り出す所、怒った時の凄み、口の悪さは、遊矢やユートには無かった性質です。



そして、お前はリンじゃない、リンなら俺の名前を間違えるはずがないとユーゴは言う。

柚子は瑠璃とリンをさらったデュエリストに追われていた事を話す。

遊矢と似た人と一緒にいる時、光りだし、飛ばしてしまうブレスレット。



「初めてなんだろ?次元を飛ばされたのは。」

ユーゴの言葉に、柚子は自分がシンクロ次元へと飛ばされた事を知る。

初めてなんだろ?の台詞からも、ユーゴはこれまで何度か次元を超えてきたのだと分かります。



「ああ、何度も飛ばされてる俺が言うんだ!間違いねえ!」と自信満々なユーゴ。

それは自慢できる事なのか??(笑)

次元を「飛ばされた」のであって、自分の意志で移動出来てない所は問題だと思うのですが。



ユーゴが初めて次元を飛ばされた時の事を語る。



リンは誰かにつけられている気がすると言っていた。

ユーゴはリンを守ろうと警戒していたが。

ユーゴが駆けつけた時、そこには気絶したリンを担ぐ、ユーゴと同じ顔の男がいた。

男はマジック、ヴァイオレット・フラッシュを発動させ、姿を消してしまう。

その時、クリアウィングのカードが輝き、ユーゴは初めて次元を超える。

気づいた時は、エクシーズ次元のハートランドにいた。

リンを探してハートランドを彷徨っていた時、ユーゴはユートと出会う。

自分と同じ顔のユートを、リンをさらった犯人だと思い込んだユーゴは、デュエルを挑み・・・。



 ユーゴ 「見つけたぜ!もう逃がさねえ!」

 ユート 「お前もアカデミアか?」

 ユーゴ 「は??」

 ユート 「融合なのかと聞いている。」

 ユーゴ 「誰がユーゴーだ!?俺はユーゴだ!

      お前をぶっ飛ばさねえと気が済まねえ!」

 ユート 「やはり融合か!!」

 ユーゴ 「人の話を聞きやがれ!!」

 ユート/ユーゴ 「デュエル!!」



二人とも、相手の話を聞いてません。(笑)

ユーゴはユートを、リンをさらった犯人だと思い込み、

ユートもユーゴを、瑠璃をさらったアカデミアの手先だと思い込んでいます。

この二人の最初のデュエルが、18話のユートの回想に繋がるんですね。



リンをさらった犯人は、俺と同じ顔をしたエクシーズ使いだと思い込んでいるユーゴに、

それは誤解だと柚子が説明する。

「違うわ!その人はユートよ。」

ユートはさらわれた瑠璃と助けようとしていた事、

そのユートが、あなたの大事な人をさらう訳がない、と。



柚子はユートの事を信じてるんですね。

柚子を巻き込みたくないといい、強くなろうとした努力を「間違っていない」と励まし、

生き抜いて欲しいと言ってくれたユート。

彼が人をさらう悪者であるはずがないと、理解してくれています。



今は遊矢の中にユートの魂がある、という事は、柚子はまだ知らないんだろうな・・。



柚子の「大事な人」の言葉に反応し、頬を染めるユーゴ。

分かりやすい。(笑)

リンはあなたの恋人と言う柚子に、ユーゴは照れながらも否定する。



「いやいやいや・・・!!ただの幼馴染みだよ。

 恋人なんて、そんな・・・。

 だってまだ何もしてねえし・・・。」



モジモジして照れるユーゴが面白い。



ここからユーゴとリンの関係が想像されます。

二人は幼馴染み。遊矢と柚子の関係に似てますね。

「大事なもん」と人前で堂々と言っていた割には、恋人ではない。

まだ正式に告白はしていない、という事かな?



「まだ何もしてない」とは一体???

恋人同士なら当然のあんな事やこんな事・・・を想像してしまいます。(笑)

意外と奥手で初心なんでしょうか。

その割には、リンだと思い込んで柚子に抱きついたりしてましたから、

スキンシップは多かったのかな?

ハグする事が許される程度には親しかったのか、

それとも、ハグしたらハリセン制裁のような反応がいつもあったのか?



リンを助けたい思いが、クリアウィングに通じて、次元を飛ばされたのかもしれない。

だとしたら・・・。二人が同時にある事に思い至る。

ユートとデュエルしたあの時、リンをさらった犯人が側に居たかもしれない!?



遊矢と似た、ユート、ユーゴ、そしてリンをさらった犯人。

それぞれが出会いそうになるのは、偶然ではない・・・。

同じ顔をした者同士が引き寄せ合っているのかもしれないと、柚子は言う。



そして、柚子にもそっくりな者がいる。

リン、瑠璃、そしてセレナ・・・。



四つの次元の存在。それを統一しようとするプロフェッサーの企み。

プロフェッサーが柚子と同じ顔の者を集めようとする理由や、

遊矢と同じ顔の者が存在する理由も、

今の柚子達には分からないまま・・・。



それを聞いたユーゴは、柚子のブレスレットの力で次元を超え、

アカデミアに乗り込んでリンを取り戻す!と言いだすが。

ブレスレットは柚子の意志で光らせる事はできない。

光らせる為には、遊矢が必要だが・・・。



「だって、ここには遊矢は・・・。

 遊矢はいないんだもん!!」



泣き出してしまう柚子・・・。



ユーゴが柚子を泣かせた!(笑)



普段は快活でしっかり者のあの柚子ちゃんが、泣いてます。

遊矢を恋しがって・・・。

やはり女の子なんですね。



いつも強気に振る舞ってますが、一人でユーリに追い回されれば、

恐怖から遊矢の助けを望むし、

こうして遊矢に会えないと分かると、心細くで泣いてしまう・・・。

まるで姉のよう遊矢を守ってきた柚子ですが、実は遊矢を心のよりどころにしていたのが分かります。



同じ頃、スタンダード次元では、遊矢が零児の前で、柚子を思って泣いていて・・・。

次元に引き離された二人が、お互いを思い泣いているのが、何とも切ないです。



離れてみて初めて自覚するお互いの感情があるんだと思います。

二人が再会した時、その感情を照れずにしっかりと相手に伝えて欲しいですね・・・。



女の子にとって、人前で泣くと言う事は、自分の弱い面をさらけ出す事になるので、

本当なら我慢してしまう所です。

ユーゴの前で泣いてしまったのは、遊矢に似ていたせいもあるのかな?

意図せず泣いてしまって、自分の弱さをさらけ出したのを切っ掛けに、

相手に心を開くようになるのもよくある事で。

柚子もユーゴとはこの先の仲良くやっていけそうな気がします。



よく泣く遊矢を、自分が守って励まさなければ、と思っていた柚子は、

これまで遊矢の前で泣いた事は無かったんじゃないかな・・・?

遊矢と再会した時は、遊矢の前でも強がらずに素直に泣けるようになって欲しいな。



泣いている柚子に、ハンカチを渡し、ごめん、悪かったよと謝るユーゴ。

重ねて、本当に悪かった、と謝罪し、

思った事を何でもすぐ口に出してしまい、

ちゃんと考えてから話すよう、リンによく怒られるのだとユーゴは言う。



ハンカチを渡しで慰め、自分が悪かったと言うユーゴは、

不器用ですが、遊矢同様にやはり優しい子です。

がさつそうなユーゴがハンカチを持っていたのも意外ですが。

しっかり者のリンちゃんに持たされたのかな?



ここから話題はリンの事に。



アイツは口やかましくってさ。

いつも、あれはダメ、これはダメって。



まるでお母さんみたいね、と微笑む柚子に、

本当の母親の顔は知らないのだとユーゴは言う。



そこに婦人の悲鳴が。

ユーゴのDホイールに触れようとした幼児を、慌てて引き離す母親。

どうしてそんな事するの!?病気になったらどうするの??などと母親が言ってます。

大声で人を呼ぶ母親、駆けつける大人達。

あそこにコモンズが!!と母親が叫ぶ。

ユーゴは慌ててDホイールを起動させ、柚子にヘルメットを投げ渡し、乗れと言う。



制止を振り切って、Dホイールで逃げ出すユーゴ達。

その理由をユーゴが語る。

あそこはトップス専用の別荘地。

トップスは、シティの富も権力も握る最上級クラスの成功者達。

シティは、完全な自由競争社会の街。

勝った者は全てを手に入れ、負けた者は全てを失う。

勝ち残った者がトップス。

人口はわずか1%の彼らトップスが、この街の富の99%を独占している。



Dホイールで走るハイウェイから、輝くビルの群れの美しさに思わずみとれる柚子。

だがその下には、明かりのない、みすぼらしい建物が・・・。

そこが、競争社会に敗れた者達が住む、スラム街。

ユーゴ達のようにスラム街に住む一般市民はコモンズと呼ばれ、

表向きは平等扱いしているが、心の中では負け犬と蔑んでいる。



シティが実力本位の競争社会なら、実力で勝ち上がればいいと、

ユーゴもリンもデュエルの腕を磨いてきた。

そして、ユーゴの育った施設には、実際にデビューした人もいる。

デュエルキングのジャック・アトラス。

コモンズ出身の初の世界王者。

シティ最大のデュエルの祭典、フレンドシップカップで優勝し、一気に頂点に駆け上がったヒーロー。

そして、ユーゴとリンの目標でもあった。

いつかフレンドシップカップに出場して、ジャックと闘いたい、と。

このDホイールも、リンと一緒に組み立てたと言う。



ユーゴの語るシティの現状が、恐ろしいものでした。

競争社会、というより、貧富の差が激しい格差社会です。

ただ、競争本位というからには、

富裕層のトップスが必ずしも自分達の富を保持し続ける訳では無く、

コモンズに転落する事もあるのかな。

逆に、コモンズからトップスに成り上がるチャンスもあるのか?



ユーゴ達を見つけた母親の、病気になったらどうするの?という台詞が、

コモンズへの差別の酷さを物語ってます・・・。



ユーゴ達のいるシティは、5D'sに登場したネオドミノシティとはどうも違う様です。

サテライトが存在しないし、都市の外観も5D'sのもととは違います。

これは、ゼロ・リバースが無かった世界?

5D'sの物語では、イリアステルが歴史の改ざんを行っていましたが。

そうした歴史改ざんの中で生まれた、もしくは逆に改ざんやイリアステルの介入が無かった世界、かな?



サテライトがない代わりに、コモンズという貧困層と差別がある所、

その過酷さは5D'sと似ています。



OPで示唆されているようにクロウもこの世界に存在しているのなら、遊星も居るはずですが。

ゼロ・リバーズが無かった世界だとすると、

遊星は両親と共にトップスで幸せに暮らしているのでしょうか・・・。



そうなると、この世界のジャックは、5D'sのジャックとはまた違うのかな?

遊星との絆があり、カーリーと出会って愛を知り、シグナーとしての試練を乗り越えてきたからこその、

5D'sのあのジャックになり得たのですから。

ゼロ・リバーズが起こらず、遊星との出会いもないなら、

それは5D'sとは違うジャック・アトラスになりそうです。



回想シーンの幼いユーゴとリンが、楽しそうにデュエルしてます。

親もなく、貧しい暮らしの中で、二人で助け合って生きてきた事が伺えます。

こうした状況なら尚更、ユーゴとリンの絆は深いものなのでしょう。



一緒にDホイールを組み上げた、と言ってますから、

二人共、メカニックに強く、ライディング・デュエルが出来る様子です。



巨大モニターに映し出されるジャック。

コピーに「最高のSatisfactionを貴方に」とあって、笑いました。



追ってくるセキュリティに、スピードを上げるユーゴ。

なぜ止まらないのか?と聞く柚子に、ユーゴは言う。

セキュリティはトップスの犬ども、コモンズを目の敵にしている、

捕まったら不法侵入と傷害の罪で、即、収容所送りだという。



誰も傷つけていないのに、傷害罪に問われて強引に収容所送りとは、何とも酷い。

コモンズ相手には正義も平等も人権もないらしい。



管制室らしき場所で、一人チェスをし、ユーゴ達への強制執行を許可する、謎の男。

セキュリティの長官?かな?



許可を得たデュエルチェイサーが、スピードワールド ネオをセット!

いよいよ、ライディングデュエルが始まる!



このデュエルに負けたら逮捕。

警報がなり響き。

スラム街の上空にデュエルレーンが展開する。



ここで初めてユーゴに名を聞かれて名乗り。

「よし!しっかり掴まってろよ、柚子!

 ライディングデュエルがどんなものか、見せてやるぜ!」

「ライディングデュエル、アクセラレーション!」



このライディングデュエル開始時の盛り上がりが、5D'sを思い出させ、ワクワクしました。

しかし、スピードワールドはここにも存在するのか・・・・。

ユート戦では使われなかったので、無いのかと思ってました。

5D'sの設定だと、Sp(スピードスペル)以外のマジックを使うとダメージを受ける事になります。

もしも同じ効果なら、Spを持たない遊矢達には、この世界でのライディングデュエルは不利になりそうです。

ネオ、と名が付くから、違う効果だと思いますが。





柚子とユーゴの会話で情報交換、現状の確認と、シティで騒動が始まる、という、

シンクロ次元編の導入回でした。

次回はライディングデュエルのお披露目かな?

5D'sを知らない視聴者の為に、ライディングデュエルをどう見せるのか?も楽しみです。



向かい合って会話する二人の顔の距離がやたら近かったり、

ユーゴの前で柚子が泣いてしまったり。

出会って間もないのに、やたら親密です。

お互いの幼馴染みと似ているからかな?

よいコンビになりそうですね。

遊矢とセレナも、同じように打ち解けて仲良くなっていくのでしょうか?



リンの姿も回想で明らかに。

緑の髪のシュートカットでした。

フワフワな髪型で、エレガントな印象をうけます。



柚子、セレナ、リンと、それぞれ髪型と髪色が違っています。

  柚子の瞳の色 = 青 = セレナの髪の色

  セレナの瞳の色 = 緑 = リンの髪の色

なので、未だ登場していない瑠璃は、

  リンの瞳の色 = 茶 = 瑠璃の髪の色?

  瑠璃の瞳の色? = ピンク = 柚子の髪の色

になるのではないか?(色相を90度ずつ変化?)という説が出ていますが、果たして。



ユーゴと柚子のコミカルな表情が楽しい。

泣き顔の柚子や、子供時代のユーゴとリンの可愛さ。

シリアスなシーンでのユーゴ、ユートの凜々しさ。





作監:蛯名秀和)

(脚本:上代務