遊戯王ARC-V  第52話

第52話「蘇る伝説総長!!」



舞網チャンピオンシップ ジュニアユース選手権。

24時間の激戦を勝ち抜いたバトルロイヤルの勝者としてスタジアムに入場する遊矢達。

観客の歓声とは裏腹に、彼らの表情は険しい・・・。



勝者の中に一回戦で敗北した沢渡がいた事から、

市議会議員の父親の力を使ってズルしたのだろうと罵声を浴びるが、

俺は敗者復活戦でランサーズに選ばれたのだと沢渡は観客に向かって言い返す。



日美香が突然、大会の中止を宣言。

別次元からの侵略者の襲来を、中継を通して全世界に公表する。

デュエル中継を中断したのも、パニックを避ける為。

にわかに信じがたい話に動揺する観客達も、バトルロイヤルの録画映像を見せられ、震撼する。



人がカード化される映像から目を背ける者も。

この世界で人をカード化する事は、殺人くらいの衝撃なのでしょう。



黒咲隼と遊矢のデュエルを見せ、アカデミアを撃退し舞網市を守った英雄たる彼らに

ランサーズの称号をおくり讃えると言う。

観客からランサーズ!のコールが巻き起こる中、遊矢は苦々しげに唇を噛みしめる。



今後のアカデミアの襲来に備え、自分の身は自分で守る気構えを持つように、と市民に語りかける日美香。

全世界のレオ・デュエル・スクールは名を改め、ランス・ディフェンス・ソルジャーズとして

防衛の最前線に立つと零児は宣言する。



一方、映像の中で遊矢が素良と対戦していたのを見て、動揺するアユ、タツヤ、フトシ達。

仲間の素良が敵であるはずがない、と・・・。



遂に公表された真実。

しかも、市民にも共に戦うよう上手く扇動しています。

LDSの真の目的、舞網チャンピオンシップの開催も、

全ては、アカデミアに対抗し市民と共に決起するこの日のため・・・。



完璧な情報統制と記憶操作で真実を隠し続けてきたり、

デュエルの映像の一部を見せて、民衆の心理を上手く操る手腕に、恐ろしさを感じます。

観客があの説明を鵜呑みにして信じてしまうのは、日美香と零児のカリスマ性のなせる技なのでしょう。



観客からランサーズのコールを受けて、上機嫌なのは沢渡一人。

遊矢も、全てを公にされてしまい、これではもはや辞退することもできない・・・。

セレナや隼も、複雑な心境のはず。



柚子の行方を聞かれた遊矢は、柚子が着ていた制服を修造に手渡し、守れなかったと告白する。

回想で、セレナから柚子の制服を受け取る遊矢。

セレナは、柚子のお陰でアカデミアの真実を知ることができた、

彼女を救い出す為に全力を尽くすと遊矢に決意を語った。



セレナは素直に真実を受け入れ、戦う覚悟を決めたようです。

今まで信じてきたアカデミアの正義が覆されて、失望して落ち込んでしまわないか心配でしたが。

真面目でしっかりした子ですね。

自分の身を危険にさらしてまで真実を知る切っ掛けをくれた柚子には感謝し、

彼女を救おうと決心しています。



北斗を無情にもカード化したり、バレットを見捨てて去ろうとしたり、最初は残酷な子のように思えましたが。

罪も無い人とカード化した事、この街に騒乱を引き起こす原因となった事を、

今は後悔しているのだと思います。

その罪と向かい合う覚悟があるからこそ、アカデミアを裏切り、

ランサーズとして戦う決心をしたのでしょう。



セレナは赤いジャケットに白のスカートと、新しい衣装です。

これは零児が用意したのかな?

柚子と衣装交換した時のように、また人前で着替えたりしてないと良いのですが。(笑)



遊矢に決意を語った後、零児と一緒に去って行く所をみると、

こちらの次元での生活は零児の世話になっている様子が伺えます。

セレナは零児を信頼している様ですが・・・。

遊矢を煽って戦う決意を引き出させたり、民衆を扇動したりする所をみると、

果たして零児を信用していいのかどうか、少し疑問を感じてしまいます・・・。



一部の視聴者から、

最初にセレナを捕まえてしまっていれば、これ程の騒乱を起こさずに済んだのに、

という疑問もあったようですが、

大会中に現れたセレナを、あの場で力尽くで拘束せずに、自由に行動させる事で、

わざとアカデミア襲来の切っ掛けを作り出し。

その騒乱の中で、ランサーズの選抜と彼らの腕試しを行い、

デュエルを録画して、真実を公表する材料とし。

最終的には対アカデミアの切り札となるセレナを、

強制ではなく自発的にランサーズに加える事ができた訳ですから。

全てが零児の思惑通りだったのかもしれません。



真面目なセレナの性格を考慮して、彼女を自由にさせる事が、彼女の信頼を獲得する最善の手段だと、

零児は知っていたのかな・・・。

セレナは零児に上手く利用されているのではないかと、少し心配になります。



柚子がさらわれたと聞き、慟哭する修造。

遊矢お兄ちゃんがついていながらどうして・・・!と遊矢を責めるアユの言葉が辛い。

ランサーズとなり次元を超えて必ず柚子を取り戻す、敵をやっつけて!と決意する遊矢の言葉に、

洋子は問う。

「敵をやっつけるって、その中に素良もいるのかい?」



洋子が一行を連れてきたのは、廃墟と化した古いアミューズメント施設。

バイクの爆音と共に現れたのは、白の特攻服に身を包んだ洋子!

自らを、レディースの総長、流れ星のヨーコだと名乗る。

修造によれば、洋子はヤングの頃(笑)、その名を轟かせたレディースチーム、

舞網クイーンズを率いてたのだと言う。



特攻服のヨーコさん、かっこいいです。

第1話の登場時から、元レディースっぽいキャラだと言われていましたが、まさか本当だったとは!(笑)

この洋子の過去を息子の遊矢が今まで知らなかった所とみると、レディースだった過去を捨てて、

遊矢が生まれてからはずっと良き母だったのでしょうね。

修造は、洋子の過去も知っていたんだな。

バイクを乗りこなせて、デュエルも強いなら、いっそライディングデュエルも出来そうですね。



フィールド魔法、ぶっちぎり埠頭を発動させ、遊矢にデュエルしろと迫るヨーコ。

バイクで遊矢を追い回しながら、自身の過去を語り出す。

かつては、敵対するチームも言い寄る男達も、デュエルで打ち負かしてきたと言う。

当時のヨーコにとって、デュエルは自分の力を示す手段だった。



堪らず遊矢はデュエルを受けて立つ事に。

親子のデュエルが始まる。



遊矢は二体のモンスターを召喚。

ヘルプリンセスがヘルという名の割には可愛らしいデザインなのは、

ヘルプとプリンセスを掛けてるからなのか。



続くヨーコの過去話。

毎日ケンカと言う名のデュエルに明け暮れる日々。

ある時、潰したチームから恨みを買い、妹分を人質にとられてしまう。

敵に囲まれながら一人デュエルで立ち向かおうとしたヨーコに前に現れたのは、

若き日の遊勝だった。

「つまらない真似はもうやめたらどうだ?」

デュエルはケンカの道具じゃないと、ヨーコを窘める遊勝。

仲間を見捨てられるか!と言うヨーコに、遊勝は言う。

「どうせデュエルするなら、もっと楽しくいこう!」



ヨーコは爆走天女突攻レディースを召喚。

これをリリースして爆走美神 伝説総長レッドクイーンが現れる。

その効果で遊矢の場の二体のモンスターのコントロールを奪い、

さらにマジック、スマイル・ワールドを発動させる。



フィールド上のモンスターの数に応じて攻撃力を上げる、このスマイル・ワールドは、

ヨーコが遊勝と出会ったあの時、デュエルに介入した遊勝が使ったカードだった。

フィールド上のモンスター達が皆、笑顔になっていく・・・。



スマイル・ワールドの発動に呆気に取られる中、敵から人質を救い出す遊勝。

敵も和やかな雰囲気に飲まれ、自然と笑みがこぼれる。



ヨーコの場の三体のモンスターからダイレクトアタックを受ける遊矢。

妹分を救出し、デュエルを収めたその男こそ、お前の父親、榊遊勝だったのだと、洋子は語る。

誰も傷つけずケンカを収めたその手腕に、ヨーコはどきもを抜かれ、心まで奪われたのだと。





「オラオラオラ!」「かかってこいや!!」と凄む洋子さんが、面白くて。(笑)

普段はおどけた、かわいいお母さんだったのに。

こっちが本性で、それを隠してきたのかと思うと、何だか楽しいです。



かつての遊勝のデュエルを再現してみせるヨーコ。

回想の中のデュエルと現在のデュエルがオーバーラップしています。

洋子が遊矢に伝えたかったのは、あの時、遊勝が自分に伝えてくれたメッセージ、なのでしょうね。

父から子へのメッセージを洋子が繋ぐ、というのも、素敵な話です。



最後は惚気話のようにも見えますが。(笑)

遊勝と洋子の馴れそめ話がみれて嬉しかったです。



洋子さんは一見すると無邪気で、ミッチーにはしゃいだり子供っぽいように見えますが、

悩む息子の前ではしっかりと構えて息子の背中を押し、その成長を見守る、

頼もしく素敵な母親でもあります。

この洋子の二面性は、元レディースでいくつもの修羅場をくぐり抜けてきたから、と考えると、

説得力がありますね。





作監:佐藤道雄・飯飼一幸)

(脚本:上代務