遊戯王ZEXAL  第63話

第63話「恐るべき闇の策略!暴かれたトロンの正体!?」



準決勝第二戦、トロンvsカイトのデュエルが始まる。

最初のターン、早速カイトがギャラクシーアイズを召喚。

しかし、カイトの様子がおかしい。

本当は満身創痍である事をトロンに見抜かれる。



トロンは紋章獣とギャラクシーアイズに装備させた装備魔法で、

ギャラクシーアイズの破壊とカイトへのダメージを狙うが、

カイトは、バトルの間自身と相手モンスターを除外できるギャラクシーアイズの効果を使い、

これを回避し、さらにトロンの装備魔法を解除させる。



フェイカーへの復讐を語るトロン。

異世界の狭間を彷徨う内に、こんな姿になってしまったと言う。

そして、全てを無くしてしまったトロンが

大事に守っていたのが、フェイカーへの復讐。



カイトはVのナンバーズ、No.9 天蓋星ダイソン・スフィアをエクシーズ召喚。

装備魔法を使い、攻撃力を上げたギャラクシーアイズでトロンにダイレクトアタックを仕掛けるが、

トロンはトラップを発動、トロンへのダメージは軽減され、場に新たな紋章獣が現れる。



仮面を外したトロンの顔に、ハルトの顔が重なり現れる。

ハルトの声で、僕はハルトだと語るトロン。

トロンが儀式でハルトの力と記憶を奪った時、

お互いの空っぽに心が交わり、トロンとハルトの意識が繋がったと言う。

自分の顔をつねり、ハルトの苦しむ姿を映像でみせつける。



ハルトの元に向かおうとするカイトをトロンが阻止する。

遊馬は、俺がハルトを助けるから、今はデュエルに集中しろ!と言い、

オービタルと共にハルトの元へ向かう。



トロンはハルトの顔と声でデュエルを続ける。

No.8 紋章王ゲノム・ヘリター をエクシーズ召喚。

ゲノム・ヘリターの効果で、ダイソン・スフィアの攻撃力と効果は奪われ、破壊されてしまう。



さらに、このデュエルはその衝撃が実際のものとなって肉体を襲う。

トロンへの衝撃は、ハルトに伝わってしまうという。

カイトは、ハルトを相手に戦う事になる。

フェイカーの前で、二人の息子を潰すという、トロンの恐るべき罠だった。





トロンからしたら、カイトは憎きフェイカーの息子。

カイトをデュエルで心理的に追い詰めて、親子共々苦しめるのを狙っているんだろうけど。

トロンの仕掛ける心理フェイズはいつも残酷。果たしてカイトは大丈夫なのか・・・?



準決勝に向かうカイトに、話しかける遊馬。

絶対負けんじゃねぇぞ!って遊馬が言ってくれてるのに、

アストラルにだけ語りかけ、遊馬をまたスルーして、いつものつれない態度・・・。

と、思ったら。

最後にしっかり「決勝で待っていろよ、お前達」と言ってくれた!「達」って!

以前はアストラルのみをライバルと認めていましたが。

遊馬の事もライバルとして認めてくれた?



間近で観戦しようと追ってきた遊馬を見て、ニヤリ笑いを見せたり。

「見たければ見るがいい。俺の圧倒的なデュエルをな!」



おお!!カイトが!なんかいつもと違う!

いつも深刻な表情で、切羽詰まっていて、

少なくとも遊馬の前では、笑顔を見せたことが無かった気がする・・・。

そのカイトが!遊馬に笑顔を!

Vと決着がついた事で、心に余裕がでてきた?

遊馬に対して、少し心を開いてきてくれたかな??



トロンの仕掛ける心理フェイズ。

フェイカーに復讐する為、息子達を犠牲にした自分と、

弟を助ける為に魂を狩ってきたカイトと、

目的の為には全てを犠牲にしてしまう所は同じだ、

と、トロンはカイトを責めてましたが。

そんな事には動じない。流石カイト。



「悪魔に魂を売った」と自分で言うくらいだから、

弟を救うと決めた時から、全ての罪を背負う覚悟があるんだろうな。

だから、今更人から非難されても、動じない・・・。



カイトの心の強さは、流石のトロンでもなかなか崩せない。

それが分かったからなのか。

トロンが次に使った手段が、ハルトと自分の意識の接続。



特殊な力で、デュエルでの衝撃は直接肉体へのダメージとなる。

トロンへのデュエルのダメージは、繋がったハルトへと伝わってしまう。

これでは、トロンを攻撃できない?

ハルトを人質にとるのが、カイトに対して唯一有効な心理攻撃だろうけど。



ハルトの顔を自分に被せて、ハルトの声を使ってカイトに語りかけるという、

このトロンの演出も、残酷。



トロンの回想が少しありました。

異世界を彷徨う間に、全てを失ったと。

ただ唯一、失わずに守ったものが、フェイカーへの復讐心。



トロンが失った「全て」というのは、大人の肉体だけではなく、

他にもいろいろ失っている気がする。

息子達に対する愛情とか、友との友情とか。そういった、人らしい様々な感情。

もしかしたら、記憶も一部無くしてるかもしれない。

そうでなければ、あれほど優しかった父親が、ここまで残忍に変わってしまうはずがない。

と、信じたいです・・・・。



仮に、感情や記憶を徐々に失っていく状況があったら、

人が最後まで失いたくないと思うのは、

普通なら、愛する人や家族との思い出だと思うけど。

バイロンの場合は、フェイカーへの復讐心だった・・・。

それだけフェイカーの裏切りはバイロンを深く傷つけていた訳で、

裏を返せば、バイロンはフェイカーを本当に信頼していたんだな・・・と思うと、悲しい。



ハルトやドロワの記憶を奪うのも、トロン自身が記憶を失っているから、かもしれない。

他人の記憶を奪う事で、記憶を無くした自分の苦しみや空しさを埋めようとしているのか。

あるいは、自分の味わったのと同じ苦しみを相手に与えようとしているのか。



トロンの使うナンバーズ、

相手の攻撃力・効果・名前を奪う効果を持つ紋章王ゲノム・ヘリターは、

人の力や記憶を奪おうとする、そんなトロンの性格によく似ています。



フェイカーは、トロンの正体が分かった様子。

カイトとVのデュエルを見て知ったのか?

ハルトを人質に取られ、流石のフェイカーも動揺。



ただ気になるのが、フェイカーの息子達に対する態度。

ハルトが倒れた時、そして今回のように人質に取られた時は、あんなに動揺して心配するのに、

何故かカイトに対しては、心配する素振りがない・・・。

カイトの体の事を知らないせいもあるだろうけど。

息子に対して、弟を助けたければナンバーズを狩れと交換条件を出す時点で、

父親のする事とは思えない・・・。

同じ息子なのに、カイトとハルト、二人に対する態度がこうも違うのはなぜなんだろう?

カイトが18才という年齢的なものもあるのかな。



しかしよく考えたら、ハルトにアストラル世界を破壊する力を与え、

その代償に感情を失ったハルトを見て、何とも思わないあたり、

フェイカーには、ハルトに対する愛情があるようには思えない・・・。

ハルトを心配するのは、息子だから、ではなく、野望を達成するための道具だから、なのか?

子供への愛情ではなく、ただのエゴ?



カイトがダイソン・スフィアを使ったのが、意外でした。

V(クリス)が残していった、あのナンバーズを、その父親の前で。

ちゃんとVの最後の言葉を、聞き入れてくれたんだな。



ダイソン・スフィアを召喚した時のカイトのセリフも良かった。



 「皮肉なる運命よ、命じるがいい。

  V、いや、クリスの思いを鉄槌と変え、愚かなる父へ振り落とせ!

  出でよ!No.9 天蓋星ダイソン・スフィア!」



オービタル、カイトの体を心配しつつ、遊馬に知られないよう、

一生懸命口をつぐむ仕草がかわいい。(笑)

カイトの命令を絶対に守ろうとするところ、健気だな。



遊馬、ただの観戦要員じゃなくて、ハルトを救出する重要な役目があって良かった。

オービタルと咄嗟に連携とれる所も、なんか仲良い感じがする。



今回、トロンがハルトの声を使ってデュエルしてました。

いつかハルトが目覚めたら、ハルトもデュエルするのかな?

兄弟仲良く、笑顔でデュエルできる日がくるといいな・・・。





いつも棒立ちが多いトロンも、今回は派手なアクションを見せてくれました。

仮面を付け、表情が見えにくいトロンの、目のアップ、瞳孔の変化での感情表現。

トロンの中の人(國立幸)の強弱のついた演技もいい。

カイトの顔は凛々しく、遊馬や小鳥達女の子はかわいく。

力強いポーズ、上方から見下ろすキャラの構図とか。



作監:Kim Hye-jeong)

(脚本:鈴木やすゆき)